《『校本宮澤賢治全集第十二巻(下)』(筑摩書房)の口絵写真より》
昨日(10/11)、この度の第73回岩手芸術祭の一環である「文芸評論大会」(於:上田公民館)に行ってきた。私が応募した作品〝宮澤賢治の「稲作と石灰」について〟が、末席に入賞し、その作品についての発表を仰せつかったからだ。そして、大体次のような形で話を展開した(多少記憶が曖昧な点もあるが)。
私はまず、
この応募作品は研究というジャンルのものです。評論とは違って、検証に耐え得るものでなければなりません。…投稿者略…さて、私の作品は検証に耐えるのでしょうか。
と始めた。そしてポイントとしては、
仮説検証型研究という手法によって、仮説
〝賢治は、「稲の土壌の最適pH領域は5.5~6.5である」という事実を知らなかった〟
を検証できました。つまり、この仮説の反例は見つかりませんから、この仮説は今後反例が見つからない限り、という限定付きの真実となることを明らかにしたのがこの論文です。
ということを述べ、さらに、〝賢治は、「稲の土壌の最適pH領域は5.5~6.5である」という事実を知らなかった〟
を検証できました。つまり、この仮説の反例は見つかりませんから、この仮説は今後反例が見つからない限り、という限定付きの真実となることを明らかにしたのがこの論文です。
この研究によって、「石灰岩抹といわぬ日はなかった」と言われている花巻農学校時代、無料で肥料設計をしてやったという羅須地人協会時代、貧しい農民にタンカルを安く豊富に供給し、それによって酸えたる土壌を中性にし、稲の収量を増してやったと言われている東北砕石工場時代の、それぞれの定説の根底が揺らいでしまったことになります。言い換えれば、賢治は自分では米一粒も作らなかったけれども、稲作指導者としては高く評価されてきたわけですが、どうもそうとは言いがたいので、抜本的再検証が必要だということを提起できたと思います。
しかも今回の論文は、かなり新規性もあり、私は結構自信を持って提出したのですが、Aさん(作品選者)からは高く評価して頂けなかったようです。ということは、この論文と同じようなことを公的に論じた人が既にいたということになると思うのですが、それは誰なのか教えて頂けないでしょうか。あるいは、Aさんはこれの反例を現在お持ちでしょうか。
と問いかけて私の話を終えた。しかも今回の論文は、かなり新規性もあり、私は結構自信を持って提出したのですが、Aさん(作品選者)からは高く評価して頂けなかったようです。ということは、この論文と同じようなことを公的に論じた人が既にいたということになると思うのですが、それは誰なのか教えて頂けないでしょうか。あるいは、Aさんはこれの反例を現在お持ちでしょうか。
すると、Aさんはこう答えてくださった。
(高く評価しなかったのは)分野が違うからです。
と。私には意味がよく解らなかった。「分野が違う」って何、「文芸評論」部門なのに「研究」を応募したからだというのだろうか。しかし、応募要項には、とある。そして、この「限定付きの真実となった」仮説の反例を持っているということも明言してくださらなかった。ただし、発表時間も残り少なかったので、私はそれ以上の反論はその時にはしなかった。が、やはり心残りなので発表会が終わってから、質問の仕方を変えて、
Aさんが、稲の最適土壌は弱酸性~微酸性であるということをお知りになったのはいつ頃だったのでしょうか。
と訊ねたみたならば、賢治のあの得業論文の話を持ち出してきて、結局何時頃知ったのかは教えてくださらなかった。私は、成る程そういうことかと覚って、それ以上の質問をすることは止めた。
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《出版案内》
この度、『宮沢賢治と高瀬露―露は〈聖女〉だった―』(「露草協会」、ツーワンライフ出版、価格(本体価格1,000円+税))
を出版しました。
本書の購入を希望なさる方は、葉書か電話にて、入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金として当該金額分の切手を送って下さい(送料は無料)。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
電話 0198-24-9813
なお、岩手県内の書店における店頭販売は10月10日頃から、アマゾンでの取り扱いは10月末頃からとなります。
私は非専門家。
************先頃、「非専門家の調査研究・報告書」だからという理由で「宮城県図書館」から寄贈を拒否された『本統の賢治と本当の露』です***********
本書出版の主な狙いは次の二つ。1 創られた賢治ではなくて本統(本当)の賢治を、もうそろそろ私たちの手に取り戻すこと。
例えば、賢治は「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」し「寒サノ夏ニオロオロ歩ケナカッタ」ことを実証できた。だからこそ、賢治はそのようなことを悔い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と手帳に書いたのだと言える。
2 高瀬露に着せられた濡れ衣を少しでも晴らすこと。 賢治がいろいろと助けてもらった女性・高瀬露が、客観的な根拠もなしに〈悪女〉の濡れ衣を着せられているということを実証できた。そこで、その理不尽な実態を読者に知ってもらうこと(賢治もまたそれをひたすら願っているはずだ)によって露の濡れ衣を晴らし、尊厳を回復したい。
葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,650円(本体価格1,500円+税150円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
電話 0198-24-9813
この度は、大島丈志著『宮沢賢治の農業と文学』の御紹介ありがとうございます。
同書はたまたま所蔵しておりました。と申しますのは、かつて自費出版しました拙著『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』を入手したいということでお届けしたことがございまして、お名前を存じ上げていたからでした。
ただし、同書を完全には読み尽くしてはおりませんので、この際、もう一度読み直してみたいと思っております。
なお、明日は欠席すると既に連絡しておりました。
これからも、どうぞご教示賜りとう存じます。
鈴木 守