《コマクサ》(平成27年7月7日、岩手山)
それでは今回は、拙著『本統の賢治と本当の露』の「第一章 本統の宮澤賢治」の〝2.「賢治神話」検証七点」〟の二番目の項
㈡ 「羅須地人協会時代」の上京について
の最後の次のような記述に関してである。
なお、この節の私の主張は、いわば「賢治昭和二年上京説」は、拙ブログ『みちのくの山野草』においてかつて投稿した「賢治の10回目の上京の可能性」に当たる。その投稿の最終回において入沢康夫氏から、
というコメントを頂いた。しかもご自身のツイッター上で、
入沢康夫 2012年2月6日
とツイートしていることも偶々私は知った。そこで私は、同氏からこの〈仮説2〉<*1>に、そしておのずから、チェロ猛勉強のための「賢治昭和二年上京説」に強力な支持を得ているものと認識している。
〈『本統の賢治と本当の露』(鈴木守著、ツーワンライフ出版)42p~〉 祝 完結 (入沢康夫)2012-02-07 09:08:09「賢治の十回目の上京の可能性」に関するシリーズの完結をお慶び申します。「賢治と一緒に暮らした男」同様に、冊子として、ご事情もありましょうがなるべく早く上梓なさることを期待致します。
というコメントを頂いた。しかもご自身のツイッター上で、
入沢康夫 2012年2月6日
「みちのくの山野草」http://blog.goo.ne.jp/suzukishuhoku というブログで「賢治の10回目の上京の可能性」という、40回余にわたって展開された論考が完結しました。価値ある新説だと思いますので、諸賢のご検討を期待しております。
とツイートしていることも偶々私は知った。そこで私は、同氏からこの〈仮説2〉<*1>に、そしておのずから、チェロ猛勉強のための「賢治昭和二年上京説」に強力な支持を得ているものと認識している。
そこで私は、入沢氏からいただいたこのコメント及び、入沢氏がご自身のツイッター上で「価値ある新説」とわざわざ私の「賢治昭和二年上京説」を紹介して下さったことから、チェロ猛勉強のためのこの「賢治昭和二年上京説」はそれ程荒唐無稽なことでもないのだと自信が持てた。しかも、入沢氏は「冊子として、ご事情もありましょうがなるべく早く上梓なさることを期待致します」ということもコメントして下さったので、出版を慫慂して下さっているのだと私は受け止めた。そこでそのことを、『羅須地人協会の真実-賢治昭和二年の上京-』というタイトルの一冊の本まとめて平成25年2月に自費出版したのだった。
このことについても、私は改めて入沢氏に今感謝している。それはこのことに関連してはある事があったので、なおさらにである。ただしそのことについては、次回以降に述べたい。
<*1:註> 〈仮説2〉とは、
賢治は昭和2年11月頃の霙の降る日に澤里一人に見送られながらチェロを持って上京、しばらくチェロを猛勉強していたが病気となり、三ヶ月後の昭和3年1月頃に帰花した。
という仮説のことである。そしてこの仮説は検証できたので、これに伴って現在の、
(大正15年12月2日)一二月二日(木) セロを持ち上京するため花巻駅へゆく。みぞれの降る寒い日で、教え子の高橋(のち沢里と改姓)武治がひとり見送る。「今度はおれもしんけんだ、とにかくおれはやる。君もヴァイオリンを勉強していてくれ」といい、「風邪をひくといけないからもう帰ってくれ、おれはもう一人でいいのだ」といったが高橋は離れがたく冷たい腰かけによりそっていた(*)。
<『新校本宮澤賢治全集第十六巻(下)年譜篇』(筑摩書房)>は棄却されねばならない。それはもちろん、現定説の典拠となっている「ものと見られる」というところの、〝関『随聞』二一五頁〟自体が実は同年譜の「大正15年12月2日」の記載内容の反例になっているからである。
そしておのずから、
・大正15年12月2日:〔柳原、〕澤里に見送られながら上京(この時に「セロを持ち」という保証はない)。
・昭和2年11月頃:霙の降る寒い夜、「今度はおれもしんけんだ、少なくとも三か月は滞在する、とにかくおれはやる」と賢治は言い残し、澤里一人に見送られながらチェロを持って上京。
・昭和3年1月頃:約三ヶ月間滞京しながらチェロを猛勉強したがそれがたたって病気となり、帰花。漸次身軆衰弱。
というように「賢治年譜」は修訂されねばならない。・昭和2年11月頃:霙の降る寒い夜、「今度はおれもしんけんだ、少なくとも三か月は滞在する、とにかくおれはやる」と賢治は言い残し、澤里一人に見送られながらチェロを持って上京。
・昭和3年1月頃:約三ヶ月間滞京しながらチェロを猛勉強したがそれがたたって病気となり、帰花。漸次身軆衰弱。
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『このままでいいのですか 『校本宮澤賢治全集』の杜撰』(鈴木 守著、録繙堂出版、1,000円(税込み))
目次は下掲のとおりで、
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