みちのくの山野草

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「賢治学会代表理事名の文書」全員送付の恐怖

2024-08-03 12:00:00 | 菲才でも賢治研究は出来る
《コマクサ》(2021年6月25日撮影、岩手)

 前回私は、
    そして同時に、あのことを思い出した。
と口走ってしまったが、この「思い出したあのこと」とは、かつての〝「賢治学会代表理事名の文書」全員送付の恐怖〟という、下掲のような投稿だ。

**************************** 「賢治学会代表理事名の文書」全員送付の恐怖   2022-11-15 12:00:00 | 賢治渉猟 ***************************
 ところが、その『本統の賢治と本当の露』を出版して約一ヶ月が過ぎた頃、次のような6ページにわたる「宮沢賢治学会イーハトーブセンター 代表理事名の文書」(ただし、個人名の一部はプライバシーに関わるので投稿者がアルファベットにし直した)が私の許に送付されてきた。そして、この文書は学会員全員にも送付されていたのだった。
 またこの文書が届いたのと同時に、私のところにある方から、

 あの文書は問題ですよ。一般会員が読んでもよくわからない内容ですが、あれは鈴木さんに対する個人攻撃であって、代表理事が辞任せねばならないようなやり方です。

という怒りの電話をよこしてくれた。またその方からは、『このような件に関しては無料で弁護士が相談に乗ってくれる制度もありますよ』というアドバイスもいただいた。

1p

2p

3p

4p

5p

6p


 さて、皆さんはこの文書をご覧になってどのようにお感じになられるでしょうか。
 私はまず、この文書の中にこれだけ私の名前鈴木守が登場する(私に対しては事前に一言の相談も連絡もなしにである)ので、非対称性を使っての私を狙い撃ちにした理不尽な個人攻撃であると受け止め、正直恐怖を感じた。凄まじい世界であり、このやり方はアンフェアだということも。だから逆に私は、
 鈴木守著『本統の賢治と本当の露』が全国的に読まれて賢治の「本当」のことが知れ渡ってしまうこと、特に〈悪女・高瀬露〉は濡れ衣だということが知られては困るので、その対策としてこの私を誹謗するような文書が賢治学会全会員宛に配られたのではないか。
という見方までついしてしまった。
 ちなみに、ある先輩は、
 こんな奇妙な文書を賢治学会員全員に送付したということは、あんな大人げない文書をわざわざ学会員に送ったということであり、学会はそのようなことまでしてあまりにも大人げない、ということだわな。
 おそらく、この度『本統の賢治と本当の露』が全国に向けて出版されたので、これでますます鈴木さんの主張がいよいよ無視できなくなってきた。だが、それを認めれば今まで築き上げてきたものが一気に崩れ始めてしまう。それは困るわな。とりわけ、「仮説検証型研究」という手法によって実証されたものだからそれを否定するためには反例を突きつけねばならぬのだがそれは見つからないのだから困っているはずだ。というよりは、反例を何とか見つけ出さねばならないと四苦八苦しているのならばまだマシな方で、おそらく、そもそも少なからぬ賢治研究家はこの「仮説検証型研究」が何たるものかを殆どわかっていない。だから、論理では敵わないものだからこんな奇妙な文書で個人攻撃をやって来るのだよ。
 しかも、鈴木さん自身がしばしば表現する「田舎の老いぼれ、しかも理系のできそこない」によって、つまり正統派ではなくて異端によってそれが為されたのでおそらく歯ぎしりして悔しがっているんだろう。だから、こんな「らしからぬ事」をなり振り構わずやってくる、そう解釈すれば多くのことがすんなりと腑に落ちるってわけだ。
と私を慰めてくれた。

 とまれ、この文書が会員全員に送付されたという事実は衝撃であり、この世界はなんとまあ恐ろしい世界だと私は悄然とするしかなかった。
                                                           (終わり)
******************************************************************************************************************************
 そして、この世界の非対称性に私は不条理と虚しさを思い知らされつつも、いつかは蟻の一穴が開き、そこから見える光景は一変するかもしれないという淡い期待があったのだが、前回の投稿〝「Copilot」に私の賢治研究の評価を訊いてみた〟をしながら、もしかするとその余りにも小さい穴だが開き始めたのかもしれないぞと、私ははしたないことを考え始めていた。

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 ある著名な賢治研究者が私(鈴木守)の研究に関して、私の性格がおかしい(偏屈という意味?)から、その研究結果を受け容れがたいと言っているという。まあ、人間的に至らない点が多々あるはずの私だからおかしいかも知れないが、研究内容やその結果と私の性格とは関係がないはずである。
 おかしいと仰るのであれば、そもそも、私の研究は基本的には「仮説検証型」研究ですから、たったこれだけで十分です。私の検証結果に対してこのような反例があると、たった一つの反例を突きつけていただけば、私は素直に引き下がります。間違っていましたと。
 一方で、私は自分の研究結果には多少自信がないわけでもない。それは、石井洋二郎氏が鳴らす、
 あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること
という警鐘、つまり研究の基本を常に心掛けているつもりだからである。そしてまたそれは自恃ともなっている。
 そして実際、従前の定説や通説に鑑みれば、荒唐無稽だと言われそうな私の研究結果について、入沢康夫氏や大内秀明氏そして森義真氏からの支持もあるので、なおさらにである。

【新刊案内】
 そのようなことも訴えたいと願って著したのが『このままでいいのですか 『校本宮澤賢治全集』の杜撰』(鈴木 守著、録繙堂出版、1,000円(税込み))

であり、その目次は下掲のとおりである。

 現在、岩手県内の書店で販売されております。
 なお、岩手県外にお住まいの方も含め、本書の購入をご希望の場合は葉書か電話にて、入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金として1,000円分(送料無料)の切手を送って下さい。
            〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守  ☎ 0198-24-9813

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