みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

真偽を自分の目で確認してみること

2018-11-14 10:00:00 | 蟷螂の斧ではありますが
《自分から仰向けになった「褐色のカマキリ》(平成30年11月2日撮影、イギリス海岸)

鈴木
 では今度は64pだ。そこには、
 その農村指導の実践として、旧盆の八(ママ)月十六日に羅須地人協会を設立しました。(64p)
という断定がある。
荒木
 えっ、設立した日はいままでのところは確定していなかったのではなかったベが。
鈴木
 うん、例えばいわゆる「旧校本年譜」には、
八月二三日(月) 旧暦七月一六日、お盆の中日に当たる。この日を羅須地人協会の創立日としたい旨を六月末頃菊池信一に語ったが、実際に何か催されたという記録ない。
なっている。
荒木
 というのであれば、普通は「羅須地人協会を設立しました」とは言えねえべ。
鈴木
 普通はそうだよな。
 一方、HJ氏のこの著書の発行は
   昭和62年8月20日
となっているから、この設立に関しては少なくとも「旧校本年譜」で確認できたはずだ。なぜなら、この年譜が所収されているのはあの『校本宮澤賢治全集第十四巻』(筑摩書房、昭和52年)だからだ。
荒木
 ということは、HJ氏は「旧校本年譜」で確認していなかったということか。
吉田
 これは僕のあくまでも推測だが、『宮沢賢治全集十一』(筑摩書房、昭和32年)所収の「賢治年譜」の大正15年の8月の項の中に、
 舊盆十六日、「羅須地人協會」を設立し、この日を農民祭日と定めた。
という記載があるから、同氏はそのような年譜に基づいているのだろう。
 言い換えれば、HJ氏はどうやら慎重さに欠けるというか、物書きとしての基本を軽んじているという誹りを受けかねない。先に引例したように、「仮説でしかない世界を確定したものとみなすのは、単なるごまかしにすぎません。それは精神の「死」を意味するといっても過言でありません」という竹内氏の警鐘どおりのことが起こっていた、ということになりそうだ。
荒木
 ところで、『新校本年譜』ではどうなってるんだ。
鈴木
八月二三日(月) 旧暦七月一六日、お盆の中日に当たる。この日を羅須地人協会の創立日としたい旨を六月末頃菊池信一に語ったが、実際に何か催されたという記録ない。
となっていて、全く同じだ。
荒木
 ということであれば、
    舊盆十六日、「羅須地人協會」を設立し
は少なくとも歴史的事実とは言い難く、ここは『新校本年譜』や「旧校本年譜」に書かれていることが定説となるだろうから、先のHJ氏の記述には問題があり、「旧盆の八(ママ)月十六日に羅須地人協会を設立しました」とは断定はできないということになるんじゃないのか。
吉田
 だろうな。ちょっと安易だったのではなかろうか。
鈴木
 ヒヤヒヤ、私も安易な断定は慎もう。人の振り見て我が振り直せだ。そうそう、石井洋二郎氏の指摘、
を肝に銘ずべし。まして、一つの資料だけで安易に判断など絶対せぬように。

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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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