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《「脱皮したばかりのカマキリ」振りかざす斧も弱々しい》(平成25年7月26日撮影)
鈴木
では今度は、「賢治をヒーロー扱いする児童書」の221p~の次の記述についてだ。
(なんてすばらし教えだろう!)
その日から、賢治は法華経の熱心な信者になりました。
しかし、熱心に教えを研究すればするほで、お金を貸してもうける質屋という実家の仕事がその教えから遠いように思えてしまい、ますます商売をつぐ気がうせていくのです。
(それよりも、農業をもっと知って、少しでも農民の助けになりたい)
…(投稿者略)…
とうとう、父も、あとをつがせることをあきらめました。
「しかたない。上の学校に行きなさい」
「おとうさん、ありがとうございます!農業を一生懸命勉強して、人の助けになるようにがんばります」
荒木その日から、賢治は法華経の熱心な信者になりました。
しかし、熱心に教えを研究すればするほで、お金を貸してもうける質屋という実家の仕事がその教えから遠いように思えてしまい、ますます商売をつぐ気がうせていくのです。
(それよりも、農業をもっと知って、少しでも農民の助けになりたい)
…(投稿者略)…
とうとう、父も、あとをつがせることをあきらめました。
「しかたない。上の学校に行きなさい」
「おとうさん、ありがとうございます!農業を一生懸命勉強して、人の助けになるようにがんばります」
でもさ、鈴木が先に引例した佐々木多喜雄氏の論考によれば、
(盛岡高等農林時代の賢治は)この時期に農業関係にそれほど深い関心を持っていなかったとみるのが適当と考えられる。
ということだったよな。そこで、佐々木氏のこの論考に従えば、賢治が質屋の跡継ぎを嫌って高等農林に進学したということは是としても、「農業をもっと知って、少しでも農民の助けになりたい」から賢治は進学したという理由も、「農業を一生懸命勉強して、人の助けになるようにがんばります」という決意も共に疑問だよな。
吉田
そうそう、荒木の訝るとおり。
そしてまた、
「しかし、熱心に教えを研究すればするほで……ますます商売をつぐ気がうせていくのです」
→「(それよりも、農業をもっと知って、少しでも農民の助けになりたい)」
という論理にも飛躍がある。賢治が質屋を継ぐ気がなかったということはほぼ明らかだが、だからといって当時の賢治が農業に関心を持っていて、しかも、「少しでも農民の助けになりたい」と考えていたなどということを裏付ける証言や資料を僕は知らない。
鈴木
私も知らない。
逆に、そうでなかったということならば先に引例した佐々木多喜雄氏の論考の中で「盛岡高等農林」の受験に関してこんなことなどが述べられている。
・肥厚性鼻炎で岩手病院で手術を受け(大正3年)5月末に退院したが、家業への嫌悪や父の反対で進学の見込みもないことから、ノイローゼ状態になる。父は前途を憂い希望した高農受験を許した(堀尾1991)。
・賢治を県外に出したくない父親の意向からすると、県内には旧制高校に近い高農以外にはなく、賢治は小学校の頃から岩石の採集に熱中していたことや、高農入学前2月に片山正夫『科学本論』が刊行され、以来愛読書となったことから、農学科でも土壌学、地質鉱学や化学関係の第二部(農芸化学)を選考したものと思われる。
・以上から推察すると、高農受験は将来農業関係の仕事を前提としてのこととは考えられないのである。
〈『北農 第73巻1号』(北農会、平成18年1月)93p〉・賢治を県外に出したくない父親の意向からすると、県内には旧制高校に近い高農以外にはなく、賢治は小学校の頃から岩石の採集に熱中していたことや、高農入学前2月に片山正夫『科学本論』が刊行され、以来愛読書となったことから、農学科でも土壌学、地質鉱学や化学関係の第二部(農芸化学)を選考したものと思われる。
・以上から推察すると、高農受験は将来農業関係の仕事を前提としてのこととは考えられないのである。
荒木
ということであれば、賢治は農業を一生懸命勉強するために高等農林に進学したという説は、どうも危うい説だな。
吉田
まして、この「賢治をヒーロー扱いする児童書」には、限りなくフィクションに近いことを書いている、と言われても仕方ないことが先に明らかになったところだから、なおさらにだ。
荒木
やれやれ、今回の場合もかなり眉唾物という可能性大か。もしそうだったとすれば、可哀想なのはこれを読む子どもたちだよな……。
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賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
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〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました。
そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
電話 0198-24-9813
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