みちのくの山野草

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1313 昭和6年7月の異常低温

2009-12-29 13:16:29 | 岩手の冷害・旱害
    <↑ Fig.1 昭和6年7月11日付 岩手日報>

 前回、7/8付岩手日報に依れば”気温漸く順調 心配ない稲”ということであったが、このブログの先頭の記事によればそうとばかりももいえないようだ。

 その記事内容は以下のとおり。
【昭和6年7月11日付 岩手日報】
 夏・七月の寒さ 例年より十五、六低い此の頃 夏は何時来る?
十日の気温は十六度一分、華氏六十一度で例年より十五、六から低い気象状態について福井測候所長は語る…(以下略)
とあるように、例年より気温が15~16度低いというわけだから、現在の気温摂氏に直すと約8~9℃も低いことになる。なお、こう語っているのは福井測候所長とあるから、盛岡測候所の福井氏のことであり、この低温とは岩手県のことになろう。
 そして、この記事に続けて
 晴れた日がただ一日 五月から月毎に気温下る
宮古地方に於ける天候は昨今変調つゞきで気温もぐつと下りいんうつに閉ぢこめられてゐる五月七日には華氏八十八度までのぼつた気温は六月最高が八十二度七月に入つてからは七十六度で逆比例してゐる…(以下略)

 県当局もこの低温を心配して次のような警告をした。
【Fig.2 昭和6年7月14日付 岩手日報】

 寒さに悩む農作物 どう注意すべきか きのふ対策協議会で決定し 県下全農家に警告
悪天候に悩む米麦作物は斯くせよと十三日県庁に開かれた作物対策協議会に於て左記の如き具体的方針を決定し直ちに全県下の農家に対し警告をなつことになつた。注意事項左の如し
 米に関する事項
△肥料
 …
△潅漑
 …
△除草
 …
 麦に関する事項
 …


 また、翌日には次のような記事もあった。
【Fig.3 昭和6年7月15日付 岩手日報】

 心配な一、二週間 お百姓御用心 恢復さへすればもう大丈夫 水沢、池田技師の談
昨今の悪天候にお百姓さん達も養蚕家も少なからず悩まされ尚この状態が長く続くと農作物にどう影響するかと心配する向もあるが、水沢緯度観測所の池田技師は左の如く語つた
 本年は…梅雨の状態が長く続いた為に冷湿の天気も続いた七月に入つて一時平常に復したので稍安心して居たが五日頃から再び低温となつて昨今益々甚だしい、特に十日から十二日迄の間は平年よりも六度低温であつた、七月一日から十三日迄の平均をとつて見れば例年より二度六分の低温でかゝる事はめづらしい今尚千島の高気圧がくづれないから当分此の状態が続くと思はれるが、いつ頃から恢復するか断言できない…

 前回、7月8日付岩手日報の記事の中で『今後は心配するような気候とはならないだらう』と語った人がこの池田技師であった。残念ながら池田氏の予想とは裏腹な状況になってしまったようだ。

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