《ルリソウ》(平成31年5月25日撮影)
〈子どもたちに嘘の賢治はもう教えたくない〉
〈子どもたちに嘘の賢治はもう教えたくない〉
ところで、心象スケッチ『春と修羅』などは難しすぎてよくわからない私がどうして賢治を尊敬し、賢治に惹かれたのかその訳を今になって振り返ってみれば、特に、巷間いわれてきた〔雨ニモマケズ〕の評価によってであり、そしてこれまた巷間いわれてきた、賢治が昭和3年8月10日に実家へ戻った際の経緯によってだったような気がする。
若い頃の私には、〔雨ニモマケズ〕の終盤の「サウイウモノニ/ワタシハナリタイ」という連は、なにゆえかは解らぬがどっかに吹っ飛んでしまって、全く意識していなかった。その頃の私にとっては、「雨ニモマケズ」とは、
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
…(略)…
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
までであった。
あるいは、この〔雨ニモマケズ〕をあの手帳に書いた、昭和6年11月3日まで賢治はまさに、
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
…(略)…
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
していたのだ、と私は勝手に思い込んでいたような気もする。言い換えれば、それまでの賢治は常に「サウイウモノニ/ワタシハナリタイ」と心掛けてきたし、これからもそうありたいと賢治は願って、〔雨ニモマケズ〕の最後の方に「サウイウモノニ/ワタシハナリタイ」と書いたのだ、と私は解釈していたような気がする。
また一方で、若い頃の私の賢治像は、自然を相手に日々苦労している近隣の貧しくい農民たちのために、
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
するような、ひたむきで献身的な人物でもあった。
そしてこのような賢治の献身はやがて賢治の健康をむしばみ、昭和3年8月10日、
心身の疲勞を癒す暇もなく、氣候不順に依る稻作の不良を心痛し、風雨の中を徹宵東奔西走し、遂に風邪、やがて肋膜炎に罹り、歸宅して父母のもとに病臥す。
〈『宮澤賢治研究』(草野心平編、十字屋書店)所収の「宮澤賢治年譜」より〉ことになったのだと、そう私は信じていた。
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賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました。
そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
電話 0198-24-9813
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