気の向くままに

山、花、人生を讃える

もう一つのとっておき

2011年07月07日 | 信仰
若い頃に子母澤 寛の小説「勝海舟」を読んで感動し、すっかり海舟ファンになったのだが、感動させられた一つにこんな話があった。

勝海舟は貧乏旗本で正月の餅も変えないぐらいだったから、読みたい本があっても買うことができなかった。当時は「これからは勉強するなら蘭学だ」という時代の流れだった。そして、勝海舟は熱心に本屋へ通っては立ち読みしていた。すると店の主人が、貧乏若侍の勉学への熱心さに感心したらしく、親切にも「貸してやるから好きな本をもっていけ」とかなんとか言ってくれたので、勝海舟は喜び勇んでオランダ語の辞書を借りた。

借りてどうしたかというと、その辞書をすべて書き写し、綴じて一冊の本となし、さらに同じものをもう一冊作り、その一冊を人に売って、そのお金で他の本を買ったという話だった。
これは有名な話で、勝海舟自身の談話にもあるから小説家の作り話ではない。

ところが今度宇治で練成を受けたら、それ以上の話を聞かされた。
『人類無罪宣言』(初版昭和48年)を読んで感激したことは前に書かせてもらったが、本文に感激したのはもちろんだが、それを編纂した楠本先生の「はしがき」を読んだ最初から感動した。
その「はしがき」には、『生命の実相』全40巻はもちろん、谷口雅春先生のたくさんの著書から「罪本来なし」について書かれた部分を抜き書きしたことや、それをまとめるのがそれ以上に大変で、投げ出したくなったこと、祈りを続けているうちに「目次」が浮かんで、まとめることができたことなどが書かれていた。

ところが、今度その楠本先生のお話を聞いたら、それで「おわり」ではなかった。
先生はいつから始まったか話されなかったが、ともかく今は「人間神の子」について書かれているところを抜き書きされているとのことだった。そして、こうも言われた。
「谷口雅春先生のご本はおよそ300冊、清超先生は150冊、清超先生のももうじき終わる」と。

つまり、「人間神の子」について書かれているところを、合わせて450冊の本から抜き書きし、もうじきそれが完了するということだった。

勝海舟は有名な先生の蘭学塾に入門を乞うた時、「江戸っ子侍は根気がないからダメだ」とけんもホロロに突き返された(後に入門した)ことに発奮し、辞書を二冊も書き写すぐらいに根気を鍛え、外国人から「世界でも第一級の人物」と言われるほどになった。

楠本先生は御年90歳。今なお練成には毎日の講話を受け持ち、公務の合間に、地道にこのような作業を続けておられる。そして、全国から悩みを抱えた人、もっと神性開発したいという人たちが先生を慕って集まってくる。

「奇跡の手帳」というのは先生の発案らしいが、その「奇跡の手帳」には、必ず毎日二つの事を書いているとのことだった。その一つは忘れたが、もう一つは、
「神様、どうぞわたしをお使いください」だった。

忘れたと書いたが、念のためにノートを見たらメモしておりました。(良かった)
いま一つは「人間は神の子である」でした。(じーん、涙目)

これを「奇跡の手帳」に書き始めてから今年30年になるそうだ。

先生は階段も普通に上がり降りされるし、歩くのだって早い。
別の若い先生が、これを「ペンギン走り」と言ったので、笑ってしまった。

それはともかく、こんな地味なことを続けておられるとは知らなかった。
このような立派な先生は、もう神想観だけで足りると思っていたのである。
そうではなく、このようなことを地道に続けられているからこそ、今の先生があるんだと知って、本当に勉強になりました。
コメント
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