スナブログ

砂川自動車商会のドモドモ日記

スナブログ:「私を離さないで」

2018-03-28 19:16:51 | 本と雑誌

ども、砂川です。

カズオ・イシグロの2冊目、「私を離さないで」を読み終わりました。

先に読んだ「日の名残り」がとても爽やかな読後感だったので、似たカンジを想像してました。

イングランドのある施設出身の「介護人」キャシーは「提供者」と呼ばれる人たちの世話をしています。

かつて同じ施設で同級生だった友人ともその関係で再会し、施設での思い出を回想します。

主人公が回想録というカタチで語りかけてくる文体は「日の名残り」と同じで、これがイシグロの手法なんでしょうね。

学校のようなその施設で、先生や同級生たちとのとりとめもない思い出はやや冗長で、小説の前半部分は退屈な感があります。

ところが、あるトコロで話が急展開!

え”---っっっ!!! そんな内容だったのーーーっっっ???

予備知識がないまま読み始めたので、その驚きは凄まじかったです。

「提供者」たちは臓器提供のために造られたクローンで、施設の卒業後も職業の自由はなく、住む場所も制限され、もちろん提供を拒絶するコトもできない存在だったのです。

主人公とその友人たちが、クローン細胞を提供した「オリジナル」に会いに旅に出る場面など、本来ならばとても感情的になりそうなのですケド、抑制された文体で淡々と描いてます。

世間での評価は、イシグロの最高傑作と絶賛、あるいは問題外のワースト作品、と両極端のようですケド、私はコレほど驚いた作品はかつてなかったように思います。

あと、前半と後半で読むスピードが全然違ったのも・・・。(笑)


 


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