新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

芦生の原生林からの便りです(終):かやぶきの里美山町

2005-05-22 07:19:58 | 植物観察1日1題
<芦生の森の玄関口、かやぶきの里美山町>
芦生の森の玄関口、京都府美山町はかやぶきの里でも有名です。
川に沿って建てられた民家のうちおよそ250棟は、昔ながらの茅葺き民家で、自然景観と、茅葺き民家がうまく調和して、日本の農村の原風景とも言うべき風情を呈しています。この集落は、文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。
この時期、かやぶきの屋根高くこいのぼりが泳ぎ、早苗田と蓮華田が入り混じってのどかな田園風景が広がっていました。
このかやぶき屋根、昔は中で囲炉裏で薪を燻すべたので防虫効果があり50年以上ももったのが今では15年位しかもたないとのこと、一回の葺き替えが800万円と聞いては景観の保全も大変だなと同情したことでした。
すばらしかった芦生の森、再訪を心に誓ってかやぶきの里に別れを告げました。
(これで10回にわたった芦生の森シリーズを終わります)

木々と花々と:芦生の原生林からの便りです:その9 バイケイソウの群落

2005-05-21 06:29:29 | 植物観察1日1題
やはり秘境、バイケイソウ(梅草)の群落
ところどころ残雪が残る谷のほとりにバイケイソウ(梅草)の群落がありました。
ユリ科シュロソウ属のこの花は、金剛山など関西でも見られるそうですが、自分は見たことがなかったので、信州の高原へ来たような気分でうれしくなりました。おなじみのコバイケイソウより、茎も葉も大振りで、花は緑色なのもコバイケイソウと区別される点です。
梅の梅は花の形、は蘭という蘭に似ていることからこの名があるそうです。この辺5月初めまでは一面の残雪だったといいますから芽生え間もないと思われ、花芽はまだ認められませんでしたが、この群生がいっせいに花開く様を想像したことでした。(続く)

木々と花々と:芦生の原生林からの便りです:その8

2005-05-20 06:58:13 | 植物観察1日1題
<赤花もあったヤマエンゴサク:(山延湖策)>
コースの入り口で、ヤマエンゴサクを見つけたときは大喜びでしたが、行く道筋にずっと咲いているのを見る頃には感激も薄らいでいました。
ケシ科キケマン属のヤマエンゴサクは、はかなげな薄い葉をもち、薄紫色の筒状の花をつけます。延湖策という名は、漢方薬からきたもので、塊茎を煮て陰干して用い腹痛や、婦人病に効くとあります。
歩くうちに、一箇所赤花のヤマエンゴサクを見つけ大喜びでガイドさんにいうと、「花には結構バリーエーションありますからね」と一言で終わりでした。(続く)

木々と花々と:芦生の原生林からの便りです:その7

2005-05-19 15:27:49 | 植物観察1日1題
<共生か寄生か:芦生の森に生きる樹木の生>
芦生の森には、いくつかの巨木が保存木として指定されています。何百年の風雪に耐えてきた巨木たちは、それぞれに哲人を思わせるような風格があります。(写真1)は、カツラで、その巨大な幹のあちこちから10種類以上の他の木が根付き成長しています。
(写真2)はトチノキとこれにまつわりついたツルアジサイです。巻きついたほうもここまで来ると巨木といわざるを得ません。これらの木の関係は共生なのか寄生なのか(相利共生と片利共生という言葉があるそうです)よくわかりませんが、長い年月を共に暮らしてきたのですから、すくなくとも何らかの折れ合いがついているのでしょう。(写真3)は、まだ若いミズナラに巻きついたツルアジサイです。何百年後には双方どんな形になっているのでしょうか。(続く)

木々と花々と:芦生の原生林からの便りです:その6

2005-05-18 06:00:02 | 植物観察1日1題
<岩場を飾る日本海型植物:オオイワカガミ(大岩鏡)>
岩の斜面に、オオイワカガミ(イワウメ科イワカガミ属)が赤い簪のような花をつけて倭私たちを迎えてくれました。本州中央部の日本海側を中心に分布し、滋賀の山など日本海型の気候のところだけではなく六甲でも見られるそうです。尾根筋のやや乾燥した場所や、岩場、ブナ林の下などによくみられ、イワカガミより大きくて花数も多いとのこと。先端に総状花序5~10個もつけ、鮮やかな朱紅色のこの花は、登山客の歓声を浴びていました。(続く)

木々と花々と:芦生の原生林からの便りです:その5

2005-05-17 07:04:57 | 植物観察1日1題
<すさまじい生命力:倒木、枯れ木?も花をつけて>
昨秋の台風と今年の豪雪で、森のあちこちで倒木や、枝折れが目立ちます。
驚いたことに、根のない枝からも芽が吹き花さえ咲いていました。何とかして子孫を残そうとする木の執念に驚嘆の思いしきりでした。
おかげで、樹齢80年以上の高い成木にしかつかないといわれる普通では見られないブナの花も倒木のおかげで真近く見ることが出来ました。
ブナの木は、倒木の跡にできるギャップに幼木が芽生え育って、やがて成木になり入れ替わるいわゆる倒伏更新が多いそうです。一見災難に見える台風による倒木のような自然撹乱も、実は種にとっては大事な天の恵みかもしれません。
今年は花付きの良さから何年ぶりかのブナの実の当たり年になりそうとのこと。ある年に大量に実を付け野鼠などの害からのがれ切るというブナの知恵だそうです。(続く)


木々と花々と:芦生の原生林からの便りです:その4

2005-05-16 05:43:19 | 植物観察1日1題
<冬を生き抜く壮絶な営み:ツキノワグマの杉の樹皮剥奪>
あちこちで杉の古木の根元が縦に大きくへこんだり時には穴が開いたりしています。
冬、餌に困ったツキノワグマが杉の木の根元の樹皮を剥ぎ、中に出る甘い樹液を吸います。その結果樹皮の剥がれた箇所が腐って行き、やがては大きく窪んだり、ひどいものは株の真ん中に大きな穴を生じています。
そのほか、木の幹の熊の爪あと(クマハギ)や、木肌に積雪の高さより上についた鹿の食べ跡など、厳冬を生き抜く獣たちの必死の生き様がいたるところで見られます。
そういえば、最近にない豪雪で、今年は飢えで行き倒れたシカの死骸があちこちで見られるとのことでした。一見平和なような原生林も実は壮絶な生きる闘いの場でした。(続く)


木々と花々と:芦生の原生林からの便りです:その3

2005-05-15 05:25:02 | 植物観察1日1題
<満目緑中白一点:オオカメノキ>
芽吹きから新緑に移ったばかりの緑一色の中に、ひときわ目立つ白い花をつけた木を見ました。
オオカメノキ(スイカズラ科ガマズミ属)です。花序の周囲にアジサイに見るような大型の白い不登花(装飾花)をつけています。葉の展開直後に花をつけるため、まだ花の少ない森の中では目立つ存在です。
オオカメノキノ名は、卵形の丸い葉を亀甲に見立てたとする説や大神の木だという説があります。別名のムシカリは、虫に食われる葉が多いからとの説がありますがいずれも定かではありません。(続く)