蔵元「美冨久酒造」の酒蔵横から北に延びる参道があり、奥には柏木
神社が鎮座している。創建が白鳳期という古社で、古くから「若宮八幡
宮」と称し、柏木荘近隣16ケ村の総鎮守として崇められてきた。
水口城の築城以降は、歴代城主の守護神・祈願所として崇め、明治4
(1871)年に現社名に改められ、地元では「わかみやさん」と呼ばれ、
親しまれているという。
趣のある家並みを見せる街道も、この辺り迄で来ると民家は途切れ途
切れになる。
道の両側は視界が開け、遙か彼方が見通せるようになり、広大な田畑の
広がりの中、街道は一直線に西に向かって延びている。
右手の奥に見える、大小の建物の帯状の連なりは、国道1号線が通り、
沿道が商店などで開けているからだ。その奥の小高い緑の固まりが水口
丘陵であろうか。また左手には野洲川が流れているはずだが、ここから
はその流れを定かに確認する事が出来ない。
この辺り江戸時代には、「北脇縄手」と呼ばれた松並木の美しい道が
延びていたそうだ。
今でもその痕跡らしい大きな切り株が所々に残されている。
縄手とは田んぼの中を貫く一本道の事で、東海道の整備に伴い、 曲が
りくねった旧伊勢大路を廃し、見通しの良い今日の姿に変更され「北脇
縄手」と呼ばれるようになったという。
街道を維持する為、近隣の村々に清掃場所が割り当てられていたそうだ。
そのため、街道は、何時も綺麗に保たれていたという。
「北脇縄手」が見事なまでの直線で続いているのは、元々この辺りの地
勢が起伏に乏しい平坦地だからだ。
沿道に民家も少ないので、随分先の信号機までもが視認できる程だ。
地図で確認しても見附川を渡る辺りから、西に向けてほぼ直線が泉地区
まで延びていて、その距離は3㎞程もある。(続)
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