芦ノ牧温泉駅で列車を降りた。
決して大きな駅ではないのにここでは10人ほどが降り、同じくらいの数の乗客が乗
り込んでいった。女性の駅員にフリーパスを見せ、木造の駅舎に入ると賑やかな光
景が目に飛び込んできた。
余り広くはない内部は雑然とした雰囲気でお土産品が並べられ、切符売り場と観
光案内所らしきものが並び合っている。
部屋の片隅には待合の長椅子も置かれていて、そこには若い女性のグループが腰
を下ろし休んでいる。土産を選ぶグループもいたりして、狭い通路を窮屈そうに行き
来している。それはこれまで沿線で見てきた駅の中では湯野上温泉駅に次ぐような賑
わいで、目を見張るものであった。
会津鉄道の発足と同時に芦ノ牧温泉駅と改称された駅であるが、近頃温泉を訪
れる客はもっぱらマイカーと大型の観光バスが主流で、鉄道で訪れる客は非常に
少ないのだそうだ。
ここから温泉へは少し距離が有り、旅館の送迎を頼むか、タクシーを呼ぶか、駅か
ら二三百メートル離れたバス停「上三寄」で一日数本のバスを待つことになる。
因みにこの「上三寄」は、旧国鉄時代のこの駅の名称でもあった。
この駅の賑わいのわけは、芦ノ牧温泉ではなくどうやら駅長にあるらしい。
かつてここには「ばす」と言うネコがいて、駅長として7年間君臨したがその後引退し
永眠、社葬が行われ「初代ご長寿あっぱれ名誉駅長」の称号が送られた。
今ではそれを引き継いだ「らぶ」が、昨年二代目駅長に就任し、駅構内の巡回など
の業務に付いていると言う。
訪れたこの日も「らぶ」が駅務室で業務に付いていたが、撮影は禁止とのことだ
った。その代わり駅の売店では沢山のブロマイドやグツッの販売が行われていて、
これを目当ての客も多いようで、それも混雑の一因のようだ。(続)
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