どうしても夕張の駅まで戻りたかったのだが・・・。
わざわざマイカーで、「石炭の歴史村」まで送ってくれた観光センターの女性職員に、
挨拶もせず帰ることになってしまった。
お礼を言い、何か土産でも買おうと思いながらできなくなってしまったことに、何か
後ろめたさを感じながら、途中の鹿ノ谷から列車に乗り込んだ。
そこで思いがけず、来るときにも一緒だった夫婦連れに再会する。
早い電車に乗るとばかり思っていたので、もうお目にかかることも無いであろうと
考えていたから意外であった。
聞けば自転車もあの坂には手こずったらしく、「途中で押して歩いたりして時間が
かかった」のだと言う。
マイカーで京都の宇治から来たと言うお二人は、車の中でも寝泊まりしながら、
駅前の駐車場に車を停め、所々で鉄道の旅を楽しんでいると言う。
その後お二人は、『大雪山系旭岳中腹を散策後、宗谷本線「旭川」から「塩狩」へ、
美深では「とろっこ電車」に乗車、松山湿原山開きイベントに参加、網走から知床五
湖散策の後、車を苫小牧に駐車、室蘭本線の「苫小牧」と「白老」を往復し、白老で
ポロコタン散策。更に車を室蘭に駐車、室蘭本線「室蘭」と「東室蘭」を往復の後、
洞爺湖サミットが開催された「ウィンザーホテル」でティータイム。松前城下を散策し、
函館から青森まで津軽海峡フェリーで渡り、太平洋側を南下、新潟を経由して帰宅し
た』と、2週間以上も経った頃、写真入りのメールを送ってくれた。
「あの車が、そう・・・」、ご主人が指さして教えてくれた。
その新夕張の駅前に停めてある黒い車を、ホームから見下ろしながら手を振って
お二人を見送った。
仲良く寄り添って、北海道をゆったりのんびりとドライブと鉄道旅行で楽しもうと
言うお二人が何とも羨ましい。
こんなお二人と、又どこかで出会えないものかと思いながら、特急で帯広に向かう
のである。(続)
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