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Expressing My Inspirations

a Lady men-ya ningyo final

2011-01-18 | bookshelf
***箱入娘面屋人魚 完***
さても釣舟夫婦、難儀のところへ、浦島太郎、鯉を同道して現れ出、かの子供となりし平次に、玉手箱のふたを開けさせければ、相変はらず年の寄る玉手箱の威徳にて、丁度好い加減の男盛り、勘平殿になるかならずといふ年恰好になりければ、平次大きに喜びける。
(中略)
さて、女房人魚も、若ひ手合が手を付けたり、足を付けたがりし一念にて、袴を脱ぎたるごとく一皮むけ、足手ができて本当の人間となりけるこそ、もつとも、あまりこじつけにて、うますぎたるほど不思議なり。

      
平次は人魚と中睦まじく、有徳の身となり、堺丁辺へ住宅をこしらへ、引越しける。此所を人魚丁と言ひしが、今は人形丁と誤りける。
最後は、京伝先生お得意のこじつけで、うまいことオチつきました。
現在の日本橋人形町は、人形師が多く住んでいたところから付いた名称で、「面屋」という人形屋があったそうです。その店の人形が箱入りで売られていたところからタイトルを付けたのだということです。
京伝先生云うに、この物語は7900年ほど昔の事だけれども、人魚は不老不死なので平次は老けると女房を嘗め嘗めして今でもこの夫婦は存命で、京伝先生の隣りに住居している―そうです。この上いくら生きることやら…お金もたんとあり、誠に草双紙の終わりはいつもめでた尽くしのことなので、これはとびきりめでたく締めくくっています。
コメント
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