TheProsaicProductions

Expressing My Inspirations

a Lady men-ya ningyo Ⅳ

2011-01-17 | bookshelf
***箱入娘面屋人魚 4***
人形浄瑠璃の人形よろしく、義足手をつけた人魚の遊女・魚人(うをんど)は黒子に操られ花魁道中。怪しまれないように夕暮れ時にしましたが、ちょうど茶屋に来ていた京伝と戯作仲間の梅暮里谷峨(うめぼりこくが:吉原遊女と客が遊びから本気の恋愛へと発展していく人情をテーマにした作風が得意な洒落本作家)がそれを見て「顔は美しひが、道中が変だぜ」などとしゃべったりしています。そして人魚の初のお床入りでは、煙草に火をつけたりするサービスは黒子がやってばれないようにしていましたが、余りの生臭さにお客は逃げようとしました。黒子が客の着物をひっぱりますが、当の魚人は蒲団の中で、手だけが引っ張るのでお客は更に驚いて行ってしまいました。そんな騒動の最中、道中の疲れもあって魚人はすやすや。
 人魚の遊女は大失敗に終わり、女郎屋の主人は平次を呼んで人魚を引き取ってもらいました。

          当時流行った女達磨みたい
平次の近所に博学者が住んでいて、「昔より言ひ伝ふるに、人魚を嘗めたる者は千歳の寿命を保つと言へば、何にもせよ、金になる代物じゃ」とアドバイスしてくれたので、早速「寿命薬 人魚御なめ所」と看板を出し、一人金一両一分で嘗めさせました。これが評判となり流行するといつの世でも模倣と偽物で儲けようという業突く張りがいるもので、自分の女房を人魚に化けさせる輩も出現したりしました。
          
平次夫婦は大金持ちになり、欲が募った平次は自分も若くなりたいと思って暇をみては女房を嘗めていましたが、嘗めすぎて遂に7歳の子供になってしまいました。
あまりゆき過ぎたるものを嘗め過ぎたやつだと言ふも、こんな事から言ひ出せしなるべし。なぁ~んてね。
平次「かかァや、これまあどうしたもんだ。アヽ乳が飲みたくなった」―と言っても魚の体には乳はないです。

コメント
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