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dissection of a pregnant uterus

2010-01-16 | art
『医学と芸術展』には、Wellcome Libraryから数多くの紙もの資料(医学書類、版画、油絵など)が提供されていました。

 カメラのなかった時代、また実際の解剖自体が貴重だった時代、こういった解剖図を専門の画家に描かせていました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロの時代はペン、インク、チョークで描いた素描でしたが、18世紀には多色刷り版画技術が開発されました。
 画像は、engravingエングレーヴィングという凹版版画技法で描かれた「妊娠した子宮の解剖図」です。この技法は銅版をニードルのようなもので線を彫り溝にインクを埋め込んで印刷するのですが、エッティングより精密に描けるとあって、モノクロ写真のような印象を受けます。サイズは62.5cm×46cmという大判図版。

 最先端の人体解剖模型標本技術を開発したドイツのフォン・ハーゲンス博士による、人体切断片もありましたが、樹脂とシリコンに置き換えられた人体は本物であるのにもかかわらず、どこか作り物のような印象を受けましたが、エングレーヴィングの図は内臓のヌメリ感などカラーでもないのに濃淡だけでこれほどまで生々しく表現できるというのに感嘆しました。下絵を描いた画家と彫った人は同じ人物なのでしょうか。とにかく驚異の職人技です。