スターアニスの 『大和路 里の光彩』

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山斎  宴飲遊山斎

2023-09-01 05:00:00 | 筆文字に親しむ


『万葉集』より先立つこと八年前に成った日本最初の漢詩集『懐風藻』。
中臣朝臣大島は漢詩人として『懐風藻』に漢詩作品2首が採録されています。
また、中臣朝臣大島という名は、奈良県桜井市・談山神社所蔵の「栗原寺三重塔伏鉢」(国宝)銘文に
草壁皇子のために粟原寺の建立を発願する人として出てきます。

山斎
 大納言直大二中臣朝臣大島

宴飲遊山斎
遨遊臨野池
雲岸寒猨嘯
霧浦ダ(木偏に施の旁)聲悲
葉落山逾静
風涼琴益微
各得朝野趣
莫論攀桂期


宴飲 山斎に遊び
遨遊 野池に臨む
雲岸 寒猨(かんえん)嘯(うそぶ)き
霧浦 ダ声悲し
葉落ちて山いよいよ静かに
風涼しうして琴ますます微なり
おのおの朝野の趣きをえたり
攀桂(はんけい)の期を論ずるなかれ

〔酒宴を開いて、山荘に遊び、遊び楽しんで野池に臨んだ。
雲のかかる池の岸には秋の寒さの中、猿が啼き、霧がたつ池の浦には舟を漕ぐ舵の音が悲しく聞こえる。
木の葉が散って、山はいよいよ静かになり、吹く風は涼しく琴の音はますます冴えて微妙である。
朝廷や俗なる風趣を各々知ることができた。桂を手折る<官吏の登用試験>ような機会について、
もはや論ずる必要はない〕




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