邦画ブラボー

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こたつがある風景・「毛糸の指輪」

2009年12月08日 | ●面白かったTVドラマ
子供がいないシニア夫婦(森繁久弥:乙羽信子)の前に
身寄りの無い少女(大竹しのぶ)が現れる。

夫婦は少女を実の子供のように可愛がり
少女も素直にその愛を受けて
三人は実の親子のように仲睦まじく接し合っていた。

向田邦子脚本、当代きっての名優揃いとあって
メルヘンのようなストーリーもリアリティを帯びて胸に迫ってくる。

舞台は冬。

木造家屋の居間の真ん中には
デンと、こたつが置かれている。
外は冷たい木枯らしでもその中はぽかぽかと暖かそう。

このごろあまりみられなくなってしまったけど
ついこのあいだまでお茶の間の主役だった
「こたつ」
ドラマの中に頻繁に登場。

来客とのおしゃべり、娘と一緒の楽しい夕餉、
老夫婦二人だけのささやかな酒盛りもこたつの上で行われる。
乙羽が、向かい合った客と話しながら縫い物の手を動かしている
さりげないけどいいシーンがあった。

こたつって
人との距離を縮めてくれる
最良のコミュニケーションツールかもしれない。

と、やたら
こたつこたつと言っていますが
三人の名優の味が絡み合い
身も心もほっこり温まる、
激旨「鍋物」のようなドラマは大いに楽しめる。

私が物心ついた頃に見ていた乙羽さんは、
このドラマのように
ひっつめ髪、ウールの着物にうわっぱり
というようないでたちの役ばかりだったので、
昔の新藤兼人作品の中の
ど根性生一本・パンクな乙羽さんを最近になって見て仰天した。

一見地味な役をやってもびし~~っと一本太い筋が通っている。
役に徹するすごい女優さんなのだ。森繁さんとも
まるで40年連れ添った夫婦のよう。

森繁さんの上手さは言うに及ばずで、
台詞を台詞と思わせないところがいつもながらすごくて
目配せひとつ、言いよどみひとつで
その人となり、
夫婦の情愛をじわ~~っと感じさせる演技がなんとも言えない。

そんな大俳優たちを相手に
堂々と渡り合っている大竹しのぶ
この時ハタチそこそこだって言うんだから、どうでしょう。
毛糸で編んだ野暮ったいマフラーがとても似合う。
この天才女優をリアルタイムで今現在も見られる幸せを
私たちはもっとかみしめてもいいと思う。

1977年の1月3日に放送されたそうだ。
まさに
こたつに入って
おせちの残りやみかんを食べながら見るのにふさわしいドラマ。

そんなお正月が懐かしくなるドラマ。

そして
こたつが恋しくなる(しつこい?)ドラマ!

追記:NHKさんはお蔵にたんまりしまってある
アーカイブスをどんどん放送してください!!


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