邦画ブラボー

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「遠い国から来た男」

2007年07月24日 | ★TV番組
途中から見た。

ネタバレ含みます!!**********


杉浦直樹、仲代達矢、栗原小巻、三人の名優による贅沢な山田太一ドラマ。
歌声喫茶や安保闘争、
小室等が音楽監修するなど、団塊世代への直球勝負。

46年ぶりに会ったかつての恋人同士って、
どんな会話を交わすのだろうか??

私はその世代には遥か遠いので(!)
革命とか中国とか云々は肌感覚としてはぴんとこなかったけど
互いを思いやりながら想い出を語る
巧みな台詞に思わず引き込まれる。

身を乗り出して見始めたのは
栗原小巻の歌!がきっかけだったのですが。
あんなに美しい歌声をお持ちだとは今の今まで知らなかった!

最初はぎこちなかった二人(仲代&栗原)が
昔を語るうち、甘いノスタルジーにどっぷり浸って陶然となる。
思い出シーンが老いたそのままの二人というのも面白く、
ファンタスティックな効果をあげていた。

その頂点にひとりだけ「しらふ」の栗原の夫(杉浦春樹)が、
のこのこ間に入ってくるのが可笑しい。

栗原は突然「私、ブラジルに行くわ」と言い出す。
あわてる夫の説得も現実味があった。
わたしたちいつ死んでも可笑しくない年だし・・と言う妻。
死んだと思えと言うの?という夫。
杉浦可笑しい。

そこで先ほどまでうっとりしていた仲代達矢はどうしたかというと、
「はい、上手いお芝居ありがとう!」と幕を引いてしまうのだった。
そして
三人の大人は阿吽の呼吸でそれぞれの思いを呑み込んでしまうのである。

う~む。いいも悪いも山田太一的だ。
と言うより世代的なものなのだろうか?
結局何も起こらなかったじゃないのと
物足りなさを感じながらも起こらなくてよかったねと安心してしまう
わたしたちがいるからだろうか??

栗原小巻の中国語の歌は本当に天使のようだったし
絶妙に絡み合う
三人の芝居にうっとりしてしまったのは紛れもない事実なのだけど
夢だけ見させられて放り出されたみたいで
スカッとしないんですよね~
なかなか梅雨も明けないしさ!

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