思惟石

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デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』

2018-01-23 10:18:54 | 日記
数年前の「このミステリーがすごい!」や
「週刊文春ミステリーベスト10」で1位になったとか。
ついでに日本で映画化・舞台化もされているようです。
おまけに、これがこの作者のデビュー作。
華やかなデビューですね。

内容は、売れない二流小説家の一人称で、
突然巻き込まれた猟奇的な事件の回想録という体裁。

前半は、自己紹介というか、
数々のペンネームでB級小説を書く「私」ことハリー・ブロックの
ダメ男っぷりや元彼女やビジネスパートナーの女子高生(いいキャラしている)
ついでに「私」なりの思想みたいなものをゆるやかに語ってます。

そこそこ面白く読んではいたのだけど、
このミス1位とかの前情報を持って読み始めたので、
「ミステリーですよね?」と思って読むわけじゃないですか。
3分の1くらいを読んでも事件が起きる気配がなく、
この物語はどこへ行くのか、と、ちょっと不安になりました。

それとですね、
ハリーが書いたとされる小説作品がちょこちょこ挿入されるのです。
それはそれで良いのだけど、あまり物語上の意味はない内容なんですよね。
寓意とか本筋とのリンクとかあれば面白いのかもしれないけど、
ただ、唐突に、入ってるだけ。
おまけに主人公のハリーは自分の作品を「紙くず」とか言って
(それなりにプライドは持っているようだけど)
何かと卑下するわけです。

なんでお前は、そんな自称・駄作を作中に挿入するんだよ。
読者に読んでもらう以上は、自信を持って薦めろよ。

と、イラッとする私。

愛せないダメ男だなあとイライラしてたら、
猟奇的な事件が起きました。

あ。ミステリだったっけこれ。

後半のバタバタは、まあ、良くできたミステリでした。
嫌味なFBI捜査官と、最終的にちょっとだけ分かり合えたのは良かったです。

しかし、女子高生クレアの退場の仕方は雑ではなかろうか。
あと花屋で「裏庭だ!」って閃くの、無理がないか。
ついでに文句言うと
今までダリアンの10代〜20代の生活がまったく謎のまま放置されてたって、
アメリカ警察の無能っぷりにビックリしたよ。
本当にそんな感じなのか、アメリカ。大丈夫か。
里親の身辺くらい調べませんか。
弁護士の身分くらい確認しませんか。
(どうやって資格を取ったんだろう・・・)

いろいろと腑に落ちないことありましたが、
クレアはいい子だと思う。

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