思惟石

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【読書メモ】2011年3月 ①『遠野夢詩人』

2019-06-18 13:53:38 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年3月 ①>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『遠野夢詩人 -佐々木喜善と柳田国男-』三好京三
柳田國男『遠野物語』の語り部・佐々木喜善の物語。
語り部の存在に想いを馳せたことなどなかったので、新鮮だった。

(直木賞作家・三好京三による評伝小説。
 主人公の佐々木喜善(ささききぜん)は、実在の人物でもあります。
 岩手の裕福な家庭に生まれ、近在の民話や伝承を収集した研究家。

 有名すぎる『遠野物語』の冒頭が、以下。
 
 この話はすべで遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり。

 ここで「語り部」として紹介されてしまったおかげで、
 遠野に住む「地元の誰かさん」というイメージの佐々木喜善。
 ですが、本人は小説家を目指しており、いくつか著作も残しているようで。

 「語り部」として執筆者として民間伝承を残す自分と、
 文学を志す想いとの葛藤と、柳田國男への複雑な想い。
 なかなかおもしろい話しです。

 ちなみに佐々木氏は、柳田國男の『遠野物語』を読んだ際に
 方言の土臭さが無くなったと感じたそうで、
 訛りや独特の言葉遣いをそのまま描こうと試みた
 『聴耳草紙』という 話集を刊行しています。

 ちなみにちなみに童話繋がりで宮沢賢治とも交流があったそうです。
 こういうおもしろい人を知れる読書は楽しいな)
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30GBのブラックホール

2019-06-17 16:24:56 | 日記
しばらく前から会社のPCの空き容量が
どう頑張っても確保できず
起動するたびに
「空き容量を確保してください」
のアラート画面が出る始末でした。

終了済みの作業フォルダを消すだけでは足らず、
作業途中ファイルも外付けに保存してちまちま消す日々…。
もうデスクトップに捨てられるものは無いです!
堪忍してください!!
という状態。

というわけでシステム管理部署にみてもらったところ
以前使っていたネットワークプリンタの
印刷待機データが30GBもあったとのこと。

おおぅ…。

プリンタが混んでいたり、
印刷取り消しが不完全だったりした
過去の企画書データたちが、
最早存在していないネットワークプリンタに向かって
毎日、起動のたび、何年間も、
発信し続けられていたというのです。
届かないリピート。

なにそれ!
なんか、ディストピアSFっぽくない?!
ヨハネスブルグの天使たち』っぽくない?


そうでもないか…。
というか、作業に支障をきたす前に
さっさとシステム管理部に連絡しろって話しですね。
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横山秀夫『64(ロクヨン)』働くオジサンがんばれ!

2019-06-14 11:41:13 | 日記
刑事から広報官へと異動(不本意)したオッサンの葛藤小説。
と言ったら語弊がありますかね。
秀逸な警察小説であり、緻密な推理小説であり、
壮大な中年男性応援小説ですよ!
やっぱり語弊があるかな…。

まあ、なにはともあれ、おもしろいですよ!
文庫で上下巻だけど、一気に読めます。

もちろん主人公は悩める中年の組織人。
相変わらずの横山節で、私的には、
「オジサンってこんなに日々コマゴマ悶々としてるんだなあ…」
という驚きと学びが満載である。
私も良い歳の組織人なので、共感も多々あるけど。

刑事部VS警務部、本庁キャリアVS地方の生え抜き組という対立と、
さらに、マスコミとの共存問題に翻弄される広報部。
って、もう辛いことしかないじゃん。
仕事って大変!

さらに複雑に絡まってくる14年前の未解決誘拐事件「64(ろくよん)」と、
主人公の家庭の事情(娘の家出、って、ヘビー!)。
複雑!
オジサン大変!!

こんなムリゲー感漂う設定の元、主人公のオジサン三上ががんばります。
彼は、ストーリーの端々で色々と推論して前進しますが、
大きな謎解き役ではありません。
最後まで振り回されて、悶々として、言い訳じみた葛藤もします。
でも、自分を騙すような選択だけはしない。
ヒーローのようにかっこよくはないけど、魅力的なオジサンなのである。

この作品は<D県警シリーズ>と呼ばれているシリーズものの
4作目、初の長編とのこと。
前3作『陰の季節』『動機』『顔FACE』は短編集、
主人公やテーマもそれぞれなので『64』前に
必読というものではありませんが、おすすめ。
ちなみに今回、暗躍(?)していた二渡(ふたわたり)は
『陰の季節』表題作の主人公だそうです。
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木皿泉『昨夜のカレー、明日のパン』ホッとする…

2019-06-13 10:43:49 | 日記
結婚してたった2年で夫・一樹に先立たれてしまったテツコと、
一樹の父・ギフの、なんとなく続いているふたり暮らし。

過去に囚われているわけではないし、
日常は平和で幸せそうで、ちょっとコミカルで。

ですが、沁みます。
心にじんわり沁みこんできて、
それは心地いいばかりの感情ではないのだけれど、
すごくホッとします。
ちょっと泣けます。

しみじみ読みながら、私、近ごろ疲れてたな…。
日々の暮らしも雑になってたな。
でもまあいいか。

って感じで、前向きに振り返りができます。
反省はない。

主人公のふたりと、彼らを取り巻く人々に焦点を当てた
連作短編集。
なので、時代や視点も様々。

虎尾(としか書かれていないが、苗字かな?名前かな?)の章で
一樹の恋愛事情がさらっと書かれていたのとか、おもしろかった。
若くして亡くなったから、記号的に美化していたところを
気持ちよく蹴手繰り入れられたというか。

作者の本職は脚本家で、これが小説処女作だそうです。
ちなみに木皿泉(きざらいずみ)は、
和泉務(いずみつとむ)と妻鹿年季子(めがときこ)夫妻の
共作ペンネーム。

ドラマ化もされているそうで、
連作短編だから難しそうだなあと思ったところ、
本職であるご本人が脚本化しているようで(そりゃそうだ)
評判も良さそう。
というかwikiに載っているあらすじだけでも流石と思います。

また、疲れが溜まった頃にでも、観たいなあ。
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【読書メモ】2011年2月 ⑤

2019-06-09 16:38:03 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年2月 ⑤>
意外とたくさんあった2011年2月の読書量。
仕事で、ちょっと大きめな節目があり、
ストレス多めの日々だったので、逃避していたのかもしらん。
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『きのうの世界』恩田陸
いわゆる「バカミス」とめった斬りに書かれていたのと、
他の恩田作品からの学習で、ミステリーとしての整合性は
期待はしていなかったので、楽しめました。
雨は「ひと雨くる」と言うけれど、ひと雨ふた雨と数えるの?というエピソードと、
「風が吹けば桶屋が儲かる」は「バタフライ・エフェクト」というのと、
水無月はもともとは「水の月」の意だったという話しが好き。

(章ごとに語り手が変わる体裁。
 一応、”突然失踪して死体で発見された男がいて、
 彼は「とある町」について調べていたようなのだが… ”
 というワクワクするミステリっぽい下地はあります。
 が、まあ、ミステリ的なハラオチへの期待無しで読めば
 楽しめると思います。
 としか言いようのない恩田ワールド全開の作品である)


『変愛小説集2』岸本佐知子 編訳

(メモなし。
 岸本佐知子氏が編集&翻訳した「変」な「愛」の短編集。
 『変愛小説集』の2冊目です。タイトル見ればわかるけど。
 今回はあまり印象に残った作品が無かったのだけれど、
 収録タイトルをメモっておきます。

 『彼氏島』 ステイシー・リクター
 『スペシャリスト』 アリソン・スミス
 『妹』 ミランダ・ジュライ
 これ、主人公の老人が、会ったこともない友人の妹に
 妄想内で愛を捧ぐみたいなヤツです。
 お前、ボーヴ『きみのいもうと』のアルマン(バトン)じゃないか…?!
 『私が西部にやって来て、そこの住人になったわけ』 アリソン・ベイカー
 『道にて』 スティーヴン・ディクソン
 『ヴードゥー・ハート』 スコット・スナイダー
 『ミルドレッド』 レナード・マイケルズ
 『マネキン』 ポール・グレノン
 『「人類学・その他 100の物語」より』 ダン・ローズ
 『歯好症(デンタフィリア)』 ジュリア・スラヴィン
 『シュワルツさんのために』 ジョージ・ソーンダーズ

 ご参考までに)
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