思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

【読書メモ】2016年2月 ①陰陽師

2022-03-31 18:26:24 | 【読書メモ】2016年
<読書メモ 2016年2月 ①>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。


『陰陽師』夢枕獏
陰陽師の一巻を会社の共用本棚で発掘。ラッキー。
あれ?酒に「ささ」というルビが無いな。
別に良いのだけど…。
博雅と晴明、いつも庭の草木を堪能しながら酒(ささ)呑んでる。
いいなあ!!
意外と血なまぐさいシーンや、どうにも救われない話しが多いのだけど、
でも、やっぱり、いいなあ平安貴族、という雰囲気漂う短編集である。
鮎が食べたい。


大好きな割に読んでない。
 という、何言ってんだ?状態の『陰陽師』です笑

 文庫の初版は1991年、短編初出は1986年なんですね。
 文藝春秋に35周年記念ページができています。すごいな。
 読まなくちゃな。)
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『アコーディオン弾きの息子』バスク文学

2022-03-29 14:37:31 | 日記
『アコーディオン弾きの息子』
ベルナルド・アチャガ
金子奈美:訳

作者のアチャガは1951年生まれ。
「話者数が百万人にも満たない母語で創作をしながら
世界的な高評を博している稀有な作家」だそうです。

バスク語は、スペイン・バスク地方に伝わる
歴史の古い孤立言語。

バスク語で書かれた文学作品が原書から訳されているのも
大変に貴重なことらしいです。
そもそも、アチャガ本人が、バスク語で書いた自作の
スペイン語版も出しているとか。

『アコーディオン弾きの息子』は、
主人公ダビの回顧録「アコーディオン弾きの息子」を
親友のヨシェバが再編したという体裁。

第一の作者ダビは、1950年代にバスク地方、
ゲルニカに近い「オババ」村に生まれたアコーディオン弾きの息子
「ダビ・イマス」。
第二の作者は、ダビの幼なじみで長じて作家になった
「ヨシェバ(本名ホセ)」。

ちなみに作者(アチャガ)の本名もホセであり、
自伝的色合いも濃い作品のようです。

主人公ダビの少年時代を振り返るパートは、
合っているのかわかんないですが、なんともヘッセ文学ぽい。
繊細な思春期の自分語り?
のどかな農村と、教育と、親との葛藤?
わからんけど。

この作品の特色でもある、バスク地方の複雑な社会状況と、
農村ののんびりした暮らしのせめぎ合い。
読んでいてハラハラしつつも、どこか牧歌的でもある。

そんな少年期の回想後は、死の直前、ヨシェバとの再会に
一気に飛びます。
ETA(「バスク祖国と自由」という独立運動団体。というか、
テロ組織と言っていいのかな?)の活動内容詳細は
切れ切れに描かれるに留まっている。

ダビは少年期に、ずっと、実の父が
ファシズムの手先で人殺しの仲間では?という
煩悶と共に過ごすのだけれど、
彼自身は、結局、どうだったのだろう。
という部分が(まあ、十分に匂わせられてはいるけれど)
靄の中という感じで、不思議な配分である。

不思議な読後感だけど、良い小説だと思う。

ちなみにバスク地方の「都市」はビルバオなのね。
(バスク語では「ビルボ」)
フランク・O・ゲーリーの建築「グッゲンハイム美術館」を見に
学生時代に行きましたわ。
「スペインの都市」というザックリした感覚でしか捉えてなかったので
こういう歴史があるんだな、と今更ながらに学びました。
おせーよ、というツッコミはさておき。
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『時の子供たち』王道かつ強いSF作品

2022-03-28 13:55:19 | 日記
『時の子供たち』
エイドリアン・チャイコフスキー
内田昌之:訳

ザ・SF〜!という感じのSFです。
満足である。

進化したテクノロジーの末に自滅した人類。
その後の数千年後から、何世代にも渡る壮大な物語。

古代人類がテラフォーミングした惑星で、
独自の進化を遂げた「蜘蛛」。
地球の滅亡から、安住の地を求めて彷徨う最後の人類。
ふたつの生物の物語が並走し、最後に惑星を求めてかち合う。

王道的な構成かもしれないけれど、とにかく「蜘蛛」の進化がおもしろい。
「蜘蛛」の進化と文明の歴史が主人公といっても過言では無いくらいです。

基本は蜘蛛なので、コミュニケーション方法も
独特(糸と振動)な進化をします。
というわけで、人類とニアミスしつつも、
お互いに意思の疎通が図れるようには、なかなかならない。
おお、まどろっこしい。

惑星の衛生軌道上には、蜘蛛たちの保護者(?)的な
古文明の生き残り(肉体はもうない)のカーン博士が存在するのだけど。
蜘蛛には人間の言葉が通じないし、蜘蛛は思うように進化しないし、
なんなら「猿」だと思ってたのに「蜘蛛」かよ!と遅まきながら気づくし、
という。
真面目でド直球なSFなのだけど、ちょっと笑える。

読んでいる間中、手塚治虫の『火の鳥 未来編』の、
なめくじが進化するエピソードを思い出していました。
猿や人類が常に知的生命体としてのトップに君臨するはずない、
というのって、意外な盲点だなあと思って。
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【読書メモ】2016年1月 ⑤ 池波正太郎

2022-03-25 18:29:18 | 日記
<読書メモ 2016年1月 ⑤>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。


『人斬り半次郎 幕末編』池波正太郎
薩摩藩の中村半次郎、後の桐野利秋が主人公の幕末伝。
上巻は維新前の若年時代を描く。下巻は「賊将編」。

桐野利秋と改名した後、明治政府初の陸軍少将になったというから、
てっきり、西郷の死後も生きながらえた人かと思ってた。
西南戦争は明治10年であった。
相変わらず歴史に疎いな、私。

冒頭、筆者が鹿児島に取材に行くくだりから始まるので、
なんだか司馬遼太郎っぽい構成だなあと思いつつ、
やっぱり「小説」感があって、これが池波ワールドなのね〜と。
楽しめた。
禁門の変、霧雨と花園の描写はデジャヴ。
司馬遼太郎の『燃えよ剣』や『竜馬がゆく』でも
読んでいたな、と思い出す。

(中村半次郎は、
 西郷隆盛を師と仰いで最期まで付き従った人。
 薩摩藩の貧乏郷士の家に生まれた苦労人。
 青年期に、幕末期は島津久光に従って上京、
 新選組や坂本龍馬のいる京都にいた人。

 池波正太郎は『西郷隆盛』も書いているので、
 この周辺に興味があったのでしょうね)
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【読書メモ】2016年1月 ④ アメリカ的ミステリ

2022-03-24 11:31:29 | 日記
<読書メモ 2016年1月 ④>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。


『ブルー・ブラッド』デイヴィッド・ハンドラー
北沢あかね:訳

32歳の男やもめ、人付き合いが苦手な映画批評家ミッチ・バーガーと、
黒人ドレッドヘアで気が強いマイノリティ警部補・デジリーの
シリーズ第一作。
アメリカの映画や風俗ネタが多く、まったくピンとこないけど、
文句を言ってもしょうがない。
地の文で「マジ」を多用するのは違和感あるからやめろと思っても、
それも訳のせいなのでしょうがない。

文句をまず並べたけど、内容はおもしろかった。
アメリカの身分階級(でも金はない)の身内心理とか、
ミッチの会話(実際の映画の例えが多い)とか、猫とか。
ちょっと恋に落ちるのがいきなりすぎるけど、
社会的背景の違いと性格の違いがいい感じのギャップになって、
まあいいのか、と思った。

(ニューヨークの売れっ子映画評論家が田舎暮らしを始め、
 ガーデニングしようと思ったら死体を掘り返してしまった〜
 という、良い感じの始まりです。
 映画の○○のようだ、ニューヨークで人気のブランド○○だ、
 みたいな表現が意図的に多用されていて、
 「知らないけど、なんか、アメリカっぽい〜!」
 となります。知らないけど。
 ついでに、田舎に住む自称セレブたちの村意識みたいのも、
 アメリカドラマを観ている感じで良い。
 「知らないけど、なんか、アメリカっぽい〜笑」
 となっておもしろいです。知らないけど笑)
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