思惟石

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『サルなりに思い出す事など』ケニアでヒヒ観察!なんだそれ!

2021-11-30 19:02:06 | 日記
『サルなりに思い出す事など
神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々』

ロバート・M・サポルスキー
大沢章子:訳

神経科学者(というより生物学研究者だと思うけど)である
著者の20年以上に渡るフィールドワーク&アフリカ体験記。
なにこれ、超おもしろい!!
下手な小説よりも俄然おもしろい笑

こどもの頃の夢が「ゴリラになること」だったサポルスキー博士は
大学を卒業してすぐの20代前半から40代までを
ケニアの国立公園でのヒヒ観察に捧げます。
これは1970年代〜1990年代にかけての23年間。
当時のアフリカの社会や文化も記されていて、興味深い。

フィールドワークは、とあるヒヒの群れ(本人が「わたしの群れ」と呼ぶ一群)
の社会的関係性の観察とストレス性物質の血液検査。
それぞれの個体に名前をつけて慈しんだり悪口言ったり。
ヒヒへの愛情が溢れちゃってます。
筆者が自己投影しちゃうウダツの上がらなそうなオスヒヒもいれば、
愛してやまないメスや、好きになれない性悪もいる笑

本は、大きくは4つの年代に分けて構成されています。
それぞれの時代での、アフリカ体験記もおもしろい。
スーダンやナイロビを旅した上に、
内戦に突入しつつあるルワンダまで向かってみたり。

そしてしょっちゅうアフリカの地元民に騙され脅され、
文化的相違で振り回されたりしている。
事実を描きながらも、程よい皮肉をきかせたり、
とはいえ「しょうがないなあ」という諦めというか許容も見えて、
サポルスキー博士を応援したくなる。

いや、結構な頻度で、銃で脅されたりぶん殴られたり
お金を取られたりしてるけど。
アフリカ、怖いよ!
そして博士は懲りなすぎである。
前向きな人だな!
いや、よく怒ってるけど。

マサイ族が意外と凶暴で粗野だったのは、ビックリだった。
(昔、マサイ族がぴょんぴょん跳ねてるCMがあったよね。
 だからって呑気にとび跳ねるだけの部族なわけないけど、
 なんか、イメージが引っ張られていたなあ)

文章は軽やかで面白くて、読みやすい。
結構なボリュームですが、数日で読了しました楽しかったです!

とはいえ邦訳は全訳ではないみたい。
確かにアメリカの本って分厚いイメージあるし
重量も評価に関係あるのかよと、常々思っているが。
この作品に関しては、全訳も読んでみたいなあと思います。
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【読書メモ】2015年10月 ③ 『残虐なる月』

2021-11-26 10:39:01 | 【読書メモ】2015年
<読書メモ 2015年10月 ③>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。


『残虐なる月』クリス・シムズ
<マンチェスター警察殺人課ファイル>シリーズの3作目らしい。
リックのキャラクターがいまいちピンとこなかったけど、
シリーズ前作とかで活躍したのであろう。
前半もたっとするなあと思ったけれど、後半は面白く読めた。
ケニア独立の悲しい歴史とかは勉強になりました。
イギリスは、アメリカとはまた違った人種問題があるのだろうけれど、
ちょっと理解しきれていないかも。
レトルトのミルクをレンジで温めるやつはラクそうでいいなあと思った。
日本にもあるのかしら。

(イギリス・マンチェスター警察のお話し。
 シリーズ3作目と言いつつ、邦訳されているのは
 これと『剥がされた皮膚』の2作のみのようです。
 『残虐なる月』はマンチェスター郊外で発見された
 “黒豹に喉を掻っ切られた”らしき惨殺死体の捜査。
 猟奇的な事件を描くのが特徴のシリーズっぽい。
 事件の真相とか、物語の展開とか、トリックとかは、
 う〜ん…、そうなんだね…ワカッタヨ。という感じである)
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相場英雄2作『アンダークラス』『トップリーグ』

2021-11-25 15:04:47 | 日記
すごい勢いで相場英雄作品を読んでいる笑

『アンダークラス』は自称窓際刑事でメモ魔である
<田川のオジサンがんばる>シリーズ第3作。

今回もオジサンがんばった!
地取り鑑取りを愚直に地道にがんばった!
ついでに地元のおいしいB級グルメもいっぱい食べた!
よかったね!!

第1作の『震える牛』は
大規模SC焼畑出店(地方都市の均一化)と
食品偽装問題(加工品の怖い話しは、マジ怖い)。

第2作の『ガラパゴス』は
派遣労働問題と
デフレ&エコの問題(第3の、とか、物は良いようである)。
あと、個人的には脂肪吸引で死亡例があるのが衝撃だった。
電車の中吊りを見るたびに「やりたい〜」と思うけど
施術に対するリスクというものを想像したことなかったわ…。

そして第3作の『アンダークラス』は
外国人技術実習生問題です。
深い!
闇が深い!!!

そして、明らかにアマゾンがモチーフの大企業「サバンナ」の
プラットフォーマービジネスの闇も深い。

勉強になるなあ…。

ラスト、選民思想の権化みたいな真犯人に対して、
田川のオジサンが人情説教タイムするんだけど、
多分、絶対、ぜんぜん響いてないと思った。

もう一作は別シリーズの『トップリーグ』。
こちらは新聞社と週刊誌などのメディア記者の話。
冒頭、経済系の取材をする兜町トピックから、
異動して官邸取材を専門とする政治部へ。

どちらも、まったく、興味がない分野…。

官僚の思惑とか、ほんとに、興味湧かねえ…。
ということで、最後まであまり気持ちが乗らなかったすみません。
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【読書メモ】2015年10月 ② ホラーかスリラーか

2021-11-22 15:40:05 | 【読書メモ】2015年
<読書メモ 2015年10月 ②>
カッコ内は、2021年現在の補足コメントです。


『眠れぬイヴのために』ジェフリー・ディーヴァー
一行目から変な訳文だったので、大丈夫か?となった。
以降はそんなにひどい文章ではなかったけれど。
上下巻にするほどではないのではなかろうか。
ホラーサスペンスだからか、お色気シーンが長くてくどいな。
ぴちぴちの美女が出てくるわけではないので、
そんなに需要ないんじゃないか?私だけか?
(この一行は一応ネタバレなので、文字色反転です)
ルーベックが殺人への関与ゼロというのは意外だったけれど、
大筋はだいたい読めていたので、
そういう意味でももう少しコンパクトでよかったと思う。
初期作品らしいけれど、ライムシリーズの作者とは思えぬ
たどたどしさ。

(<リンカーン・ライム>シリーズで有名なディーヴァーの
 初期長編小説です。1994年初版。

 精神病院に収容されていた凶悪殺人犯が逃走するところから
 物語が始まります。
 彼の目当ては、裁判で証言台に立った女性に会うこと。
 そして彼を追う警官や主治医たち、それぞれの事情。
 嵐の夜の追走劇。

 ハラハラする展開が惜しげもなく続き、
 ラストのどんでん返しも鮮やかな、ディーヴァーらしい小説です。
 ホラーサスペンスというより、サイコスリラーというのかな?
 詳しい分類はよく分からないけど。
 読書メモは辛口ですが、ちゃんとおもしろいです)
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『すべての見えない光』長いね…

2021-11-18 18:37:52 | 日記
『すべての見えない光』
アンソニー・ドーア
藤井光:訳

2015年度のピュリツァー賞の受賞作で
アメリカではベストセラーになった作品だそうです。
アマゾンの評価もめちゃ高い。

作者のアンソニー・ドーアはアメリカ人作家ですが
内容は、ドイツ軍の少年兵とフランス人で盲目の少女のお話し。

ふたりの邂逅をクライマックスとして、
二人の人生を細やかに描写する長編物語。

主人公のひとり、ヴェルナーは、ドイツの田舎生まれの孤児。
機械いじりが得意なおかげでナチス少年兵学校に進学する。
もう一人の主人公は6歳で盲目になるマリー=ロール。
父親が博物館の錠前係で、目が見えない娘を支え導く、
超いいお父さん。
パリがドイツ占領下になり、親娘で避難した街サン・マロでは
大叔父のエティエンヌやお世話係のマネック夫人に
愛情を注がれ、教育を受け、賢く育ちます。
よかったね。

一方でヴェルナーは最初から最後までハードモード。
かわいそすぎじゃない…。
何この落差…。

そんな二人の邂逅までが、超絶長いのだけど…。
章立てが短く、表現も読みやすいのでスイスイ進むけど、
文章の繰り返しやディテールのクドさと
主人公の扱いの差(笑)は、ちょっと、だいぶ、気になった。

100ページくらいの中篇だったら良かったのではなかろうか。
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