思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

戦国鍋TV

2016-07-28 19:18:22 | 日記
数年前に、ローカル局で深夜に放送されていた
「戦国鍋TV -なんとなく歴史が学べる映像-」という
名番組がありまして。

その頃、仕事が辛くて辛くて生活全般とにかく辛くて
毎日残業して毎日泣きながら深夜に帰宅して
録画した「戦国鍋TV」(と「あらびき団」)を
観る時間だけが心の支えという、カオスな頃がありまして。
(いまになって振り返ると、ちょっと、どうかしてた)

そんな個人ブラック事情はどうでもいいとして
とにかく「戦国鍋TV」にハマっていたのです。
DVD全部買って、舞台にも行っちゃうくらい。

その番組内コーナーに「ミュージック・トゥナイト」という
音楽番組形式のコンテンツがありまして。
戦国武将たちがユニット組んで、歌うんですよ。
その歌詞がまたね、勉強になるんです。
なんとなくどころじゃなく、学べるわけです。

私の日本史の知識は、97%がミュージック・トゥナイトです。
のこり2%が杉浦日向子先生で、1%が司馬遼太郎御大です。

自分で書いててどうかと思いますけど、
それくらい勉強になるんですよミュージック・トゥナイト!

という痛々しいベースが私という人間にはあってだ。

辻惟雄の「奇想の図譜」をよんでいたところ、
奇想の画家・岩佐又兵衛は、一説によると
荒木村重の妾腹の子であるという記述があったわけです。

もうね、すぐに「お前の父ちゃん、利休七哲じゃん!!」と。
高校時代に日本史で赤点を連発した私とは思えぬ記憶力。
そこらへんの歴女もビックリじゃないですか。
すごいな、私!
すごいな、ミュージック・トゥナイト!!

まあ、荒木村重に関する知識はミュージック・トゥナイトで
学んだ「たぶん利休七哲」(諸説あるんだ)という一点に限られています。

ちなみに「奇想の図譜」は、
名著「奇想の系譜」の続編と銘打たれているのですが、
前作に比べると、既出の文章を編纂した一冊という感じが強いので
ちょっと私、期待しすぎてしまったな、と。
もちろん、本の内容は面白かったですが。

なにはともあれ、あの時期に「戦国鍋TV」があって良かった。
というか学生のころにあればもっと良かったかもしらん。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私を離さないで

2016-07-21 16:00:57 | 日記
村上春樹が好きです。
と、ちょっとした知り合いとかに言うと、
「うわあ、読書が趣味と名乗る人間のテンプレ~」
みたいな反応をされますよね。
されませんか?
(まさか私だけではなかろうな…)

まあ、いいんですが。

いや、どうでもいいわけではないけど、
どうもこの話題というのは
飲み屋でしてはいけない話題(政治・宗教・野球)の
次点あたりに位置していそうですし、
めんどくさそうだし、
うん、やっぱりどうでもいい。

で、先日、村上春樹の雑文集を読んでいたら、
珍しく村上さんが同時代(しかも同世代)の人について
言及していたわけです。
誉めていたわけです。

ものすごく珍しいな…!!と思って
ものすごく印象に残ったのです。

で、
カズオ・イシグロの「私を離さないで」を読みました。
という話しです。

感想までの導入が長くてすみません。

作家本人はこの作品に関して「ネタばらし」という概念はない
とおっしゃっているようですが、
これはもう間違いなく先入観無しで読んだ方がいい逸品ですんで
未読の方は、以下は読まないでください。


(以下、ネタバレ感想ですよ)


物語の体裁は、主人公の女性(30歳くらい?)が語る
こども時代の回想がベースとなって、
彼女が生きている社会の「特殊な仕組み」が
読者に明らかにされていくというもの。

読み始めてしばらくは「提供者」という表現が、
なんらかの抽象的な概念とか役割なのかと思っていたのですが、
冗談抜きで、文字通り、「提供者」であるということに
じわじわ気づかされます。

読了後、とにかくいろいろと考えさせられる感じがまたすごい。
結構な衝撃なのに、ゆっくり効いてくるというか。

主人公の語りの背後に広がっているであろう
沢山の人々の今までの人生とか、これからとか、
あれやこれや・・・
とにかく考えさせられて、混乱してしまいました。

私にしては珍しく(本当に珍しく)
本を閉じた後も小説に引っ張られてしまって、
仕事や家事がおろそかになるくらいでした。


ヘールシャムだって主人公の回想ほどの楽園ではないだろうし、
ヘールシャム以外の施設というものを想像するだけで
身がすくみます。

キャシーは、来年、どうなるのだろう。
臓器にも鮮度があるだろうから、
30歳を超えた提供者は引退できるとか、
そういう救いというか別のルートがあることを望みます。



とにかく名作!そしてヘビー!
重いよ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フロスト気質 -警部、それはブラックです!!-

2016-07-20 16:58:34 | 日記
フロスト警部シリーズ四作目です。

予告通り、とびましたよ!とほほ。
しかし、とびとびで読んでも問題ないのがフロスト警部シリーズ!
ありがたや。

そして今回もブラック!

警部、それはサービス残業です!!
ついでに残業の強要です!アウトです!
労基署に怒られます!!
ていうか、明らかに過労の症状が出ています!
というくらいずっとおうちに帰らない警部。
大丈夫か。

というのがフロスト警部シリーズの醍醐味なわけですが。
もうひとつのお約束、フロスト警部をバカにする後輩役。
今回は、いい感じに効いていました。
上昇志向の塊のような女性刑事リズと、
わが子を死なせてしまったトラウマ持ちの成果主義者キャシディ刑事。
個性的なふたりに加えて、健在の鼻持ちならないマレット署長。
嫌味な奴らが勝手に角突き合わせて三つ巴になりながら
いい感じにフロスト警部の周りをちょろちょろして
座を盛り上げてくれます。

で、相変わらずいくつもの事件が錯そうして混乱して、
まあ、なんとか解決へ。

しかしフロスト警部への風当たりがきつくなってないか?
もうちょっと警部に良い目をみさせてあげても
いいんじゃないでしょうかと思ってしまう。
作者はもう鬼籍に入ってしまったのだけど。

あと、これ大事ですが、
いろんな書評サイトでも言われていることですが、
訳がいいです。芹澤恵さん。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする