思惟石

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『ボトルネック』米澤穂信 ネタバレ気味感想

2014-04-23 16:10:56 | 日記
米澤穂信の『ボトルネック』読みました。
おもしろかったです。
で、ひさしぶりに読書感想でも書いてみようかと。


 多分ネタバレっぽい内容の感想なので、
 未読の方はこの続きは読まない方がいいかと。


結末を読者に投げるスタイルなので、
ネットに様々な解釈が載っていて
そこらへんを一周するのも楽しかったです。

んで意外に感じたのが、
バッドエンド(死亡)派が圧倒的に多いんですね。

私は最後のメールを読んで
「生きる事を決めたなこりゃ」
と思いましたけど。

主人公の信条だった
「大抵のことは考えないで済ませる」
「受け入れるだけ」なんて
達観でもないし失望でもない、
思春期の特権じゃないですか。

そこから卒業しただけだと思ったけど。

なによりも、この主人公は想像力たっぷり持ってます。
バカでもない。
五年後十年後五十年後を想像して絶望するなんて、
想像力豊かすぎ。

想像力が無い主人公ってのは
梶龍雄の書く青春ミステリの一人称ですよ。
(梶作品、10代のなーんも見てない考えてない感じが秀逸。
 もっと再版しないかなあ)

ボトルネックの主人公は自分で言う程
想像力欠如してないし、考える力持ってます。
恋人の悪意も、両親のダメっぷりも、
生きるに値しないと思ってしまった自分のいる世界も、
すべて理解したうえで生き続けるでしょう。

ああいうメールを送る母親に対して、
「優秀な息子として成功する」という
迂遠な復讐を思いついて実行できるくらいには
優秀だと思った。

まあ、生きるという選択が非バッドエンドかというと
一概にそうとは言えないと思うけど。
コメント
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