思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

【読書メモ】2013年7月 ①『ハサミ男』

2020-07-31 14:24:46 | 【読書メモ】2013年
<読書メモ 2013年7月①>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『ハサミ男』殊能将之
とてもよくできてたし、面白かった!
が、この性格の主人公(?)は自分のことを
「でぶ」と認識はしないんじゃないかな。どうかな。
と、文句を言ってみたが、とても面白かった!

(殊能将之氏のデビュー作にして代表作ですね。
 本格ミステリとして、ものすごくよくできてます。
 一気読み必須!おもしろい!!
 なんで『黒い仏』まで突き抜けちゃったんでしょうね笑
 あれはあれで良いと思いますが。

 『ハサミ男』は初めて読んだときにびっくりしたなあ。
 久しぶりに再読したくなった。
 めちゃくちゃ忘れっぽい脳みそなので、
 良い感じにディテールを忘れている頃合い!

 第13回メフィスト賞受賞作品(1999)
 いわゆる「セカイ系」は苦手ですが、
 メフィスト賞はちょこちょこ面白い人を発掘してすごいなあ〜と。)
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『ジェニィ』猫好きのための小説(文字通り)!

2020-07-30 12:09:35 | 日記
ポール・ギャリコの『ジェニィ』読了です。

猫好きのための猫小説!
あーーー猫を肩にのせてエリマキにしたい。
暑いけど。
猫の水晶みたいな透明のゼリーみたいなあの目玉を
ジーーーーっと至近距離で見つめてたい。
ついでに在宅勤務のPCワークやテレカンを
超絶ジャマされたい。
こらーって怒ったフリしてふもふしたい。

私、疲れてるな…。

それはさておき猫好きのための「猫小説」と言えば、で
『吾輩は猫である』の次くらいに出てくるやつです。
『ジェニィ』。
多分、猫好きじゃないと読了できないんじゃないですかね…。
(私は昔飼ってた超絶賢い猫しか好きじゃないけど)

ハインライン『夏への扉』は「猫好きにも楽しい名作SF小説」
じゃないですか。
重心は「名作SF」にかかってるわけです。
猫好きじゃなくても面白い!という名作です。
楽しい!!名作!!!

『ジェニィ』は「猫小説」ですから。
そもそも重心が一個しかないよ!
全力で猫!猫の話!
そういう本だと知ってから読むのが、
全人類の平和のためにも良いと思います。
まあ、そもそも、猫嫌いは絶対に手に取らない装丁と帯だけど。

で、猫の話。
冒頭、いきなり主人公のピーター少年(8歳)は白猫になり、
家を追い出されてしまいます。
いきなりだなあ。
いきなりずぶぬれになってドラ猫にやっつけられて
いきなり死にかけたところを、
やさしくって姉貴肌のジェニィに助けられる。
という、人間のままだったら無いだろう怒涛の展開ですが、
猫なのでOKです。

そこから長々と、猫としての日常と冒険が描かれます。
ちょっと中盤、長いね。
とはいえ8歳の「男の子」だったピーターが、
一本立ちした「成猫」へと育っていくのは、
読んでいて楽しい。もふもふしたい。

ジェニィへの想いも、
お母さんみたいなものかな?姉貴かな?恋かな?どうかな〜?
って感じの淡さと真っ直ぐさで、かわいい。もふもふしたい。

という猫好きじゃないと読了できないんじゃなかろうかという内容で
徹頭徹尾できております。
最後は猫って尊い!ジェニィは最高に尊い!って感じです。
個人的にはもうちょっと甘めのラストでも良いと思うんだけど。

ちなみに私が読んだのは新潮文庫版の
古沢安二郎 訳、1979年初出のもの。

大和書房の矢川澄子 訳、1983年初出、
『さすらいのジェニー』という版もあるようです。

ぶっちゃけ言うと、古沢訳は、私はちょっと読みにくかった。
日本語としてあってる?(標準語の表現ではないような…?)
と思われる単語がちょこちょこ見受けられたり、
三人称の文章に唐突に一人称「ぼく」が乱入したり
(そういう演出だったのかもしれないけど)、
読んでいて「む?」と思うところがあって。

言葉の時代性もあるし、そろそろ新訳を出しても良いのでは?
と思っていたところ、刊行はほんの数年の差ですが
矢川版は現代的で読みやすいという情報が。

こちらはハードカバーしか出ていないみたいですね。
ついつい文庫を重宝してしまう私ですが、
メモメモ。
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中勘助『銀の匙』

2020-07-27 15:01:54 | 日記
中勘助の自伝的小説。

生まれつき虚弱で腫れ物も多かった幼少期。
体調がすぐれない母にかわって叔母に大切に育てられた勘助少年の、
幼いながらに周囲を観察した風物の描写や考えた内容が
かざらない文章で描かれています。

1910年(明治43年)(1912年説もある)、
25歳(or27歳)に回想しながら執筆したようです。

「よく覚えてるな!」というのが最初の感想。
すごいわ。

あと、文化風俗に時代を感じるところはありますが
(文明開化から20年経ってないんだもんなあ)
文章はとっても読みやすいです。
子どもの感受性というか、何に腹を立てて
何に喜ぶか、というのも、時代は感じないですね。
スッと共感できる。
こういうこと思うよなあ子ども時代って、と。
勘助少年の感性、だいぶ独特だけど。

とにかく病弱で、文字通り頭でっかちのひょろっとした子どもで、
叔母さんに甘やかされまくって超絶内気で。

ってとこまで読んで、ちょっとごつめの面相を想像しつつ
wikiを見てしまいました。

意外とイケメンな写真が出てきてびっくりした笑。
誰だお前!

若かりし頃の野上弥生子が、同じく若かりし頃の中勘助に
懸想したというのを何かで読んだ記憶があり、
「またまた〜、超絶才女の弥生子様ですよ!」と失笑していたんですが。
これは、ちょっと女好きのする顔かもしらん。
頷ける…!

ちなみに中勘助、生涯を通じて文壇には興味がなく、
距離をとっていたというのもどこかで読んだ。
なので、ご隠居感というか、仙人ぽさ(熊楠!)も併せて想像していたので、
意外と(?)シュッと洗練された感のあるナイスミドルじゃないか、と。
勝手に裏切られた気分である。
ホントに勝手ですけど笑

夏目漱石に絶賛され、文庫の解説を和辻哲郎が書いているあたりも
なんか、愛され系なんだろうな。

幼少時代の描写や人間関係は、ぜんぶが真実とは思わないけれど、
とても綺麗な文章で、読みやすいです。
ページ数もそんなに多くないので、
外出自粛の午後なんぞにのんびり読むのに良いかと。
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【読書メモ】2013年6月③ ジロリアン3冊

2020-07-21 17:00:30 | 【読書メモ】2013年
<読書メモ 2013年6月③>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。
どうでもいいですが、ラーメンで言うとジロリアンよりも
中本派です。
北極で汗かきたい!!
ラーメン屋さんって、この世情だと行きづらいですよね…。
(セブン&アイのカップラーメンを買いだめしました)

『王妃の館』浅田次郎
華麗なるフランス王朝の話しかと思ったら
日本からのパック旅行の話しででもやっぱりルイ14世も出てきて。
ふたつの時代のストーリーを交錯させるのは浅田次郎方式だけど、
文体はめちゃくちゃ軽くて登場人物もポップで読みやすい。
相変わらず笑わせるし泣かせる。
ニューハーフと警官がくっついたのは意外だなあ。

(ユーモア系の長編作品です。
 ありえない設定だと思いつつ、ぐいぐい読んじゃうんですよね。
 うまいわあ)


『シェエラザード』浅田次郎
相変わらずタイトルと内容の連想がしにくい人だと思う。
メインテーマが「沈没船の引き揚げ」かと思いきや、
そこにまつわる深い話しで。
金塊の引き揚げまで描かないところがお上手だと思う。

(こちらは男の矜持!と、終戦直前の悲劇&謎!
 シリアスにぐいぐい読ませる長編。
 うまいわあ)


『プリズンホテル冬』浅田次郎
4から逆戻りしての3だが、
まだ母親とケンカしていたのか…という印象。
いや、おもしろかったけど。

(プリズンホテルは「夏」が「1」です。
 全4冊、夏秋冬春の順番ね。
 って分かってるはずなのに、
 なぜか「夏(1)」を読んだ後に「春(4)」を読みました。
 私の脳みそ、どうなってんでしょうね…)
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『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』おなかすいた。

2020-07-20 10:02:16 | 日記
料理エッセイの名作と言われています。
シャンソン歌手石井好子のフランス留学時代と
ヨーロッパの美味しい料理の思い出&つくりかたが
上質な文章で綴られている
『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』

めっちゃお腹が空くか、
美味しい気分になってまどろみたくなる、
贅沢な本です。
(余談ですけど、最近、年齢のせいなのか
 流れるような上手な文章を読むと気持ちよくなって眠くなります)

初出は『暮らしの手帖』の連載エッセイで、
著者が、戦後間も無く(1951年で、当時29歳である。すごいな)
アメリカ・フランスに渡った際の思い出と食べ物、
その作り方まで紹介してくれます。

おいしいものを山盛り食べたくなる!

留学当初は、あまり料理が得意ではなかった様子。
あちらで珍しいもの美味しいものにたくさん出会って、
ついでに日本食も恋しくなって、
いろいろと工夫しながら料理を身につけたらしいが、
その後は台所に立つのが大好きだったそうで。
文章が「自分で毎日つくる人」の表現なんですよね。
卵の焼ける描写(やわらかい卵のひだをつくる)とか、
あつあつのスープを食べて欲しいから土鍋でサーブする、とか。
なにそれおいしそう!

欧米での「初めて食べた味!」の食欲旺盛な体験に加えて、
その後、なんどもつくって「自分の味にした」と思われる
簡単なレシピというかつくりかたが、ものすごく良い。

この人が美味しい、簡単だからやってみて、と言うなら、
つくりたいし食べたいなと思わせられます。
おなかすいた。

檀一雄がレシピを現実的にしたというか、
女心に気づいたというか笑、そんな感じもします。しないか。

渡仏が51年、執筆が63年。
というわけで「生ハム」「パエリア」という言葉が
日本で通じなかった(存在しなかった)のでしょう、
わかりやすく説明してくれている箇所などもあり、
時代を感じて楽しかったりもします。
一方で、今も鮮度抜群の香り立つエッセイ。

すごい。
あと、おなかすく。
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