思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

天藤真『大誘拐』

2019-05-27 15:03:33 | 日記
文春ミステリー20世紀国内編で第1位の作品です。
って聞くとすごいですね。

初っ端から誘拐犯の3人の素性は明らかなのですが、
誘拐のターゲットである刀自という表現がよく似合う
82歳のおばあちゃんが犯人に協力して…
というか、手玉に取り、警察やら世論やらも転がしまくって
100億円をゲットする、という痛快エンタメミステリです。

私は寡聞にして作品どころが、作者の名前すら知りませんでした…。
のですが、こどもの頃に映画版を金曜ロードショウか何かで
実家のテレビで観た記憶がおぼろげにあります…。

(いきなりネタバレなこと書きますが、
ラストカットの日本庭園で灯篭を建てているシーンを
覚えてるぞ…と思ったら、原作はお堂でした)

ちなみに初出は1978年。
映画化は1991年です。

最後の100億円の回収方法は、さすがに人里離れた家とはいえ、
怪しむ人がいそうだけどなあと思ったけど、
まあ、いいか。いいと思います。

ネタバレついでに書きますが、最後に明らかになった
おばあちゃんの心理がとても良かった。
体重が減ったって。そりゃ怖いよね。

エンタメミステリとして、とてもおもしろかった。
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【読書メモ】2011年2月 ③

2019-05-24 10:48:06 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年2月 ③>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『若かった日々』レベッカ・ブラウン
柴田元幸 訳。
自伝的短編集というもの。
ひとつひとつの短編がおもしろくてみずみずしかった。
よく覚えてるなあ、と。
しかし、子どもに描かれる親の気持ちってどんなだろうか。

(アメリカで1956年生まれ、レズビアンであることを公表している
 女性作家の自伝的短編集。
 少女期、思春期、両親との軋轢、葛藤、別れ。
 どの短編も良いのだけれど、なんででしょうかね、
 私は「親」の方に感情移入して読んでしまった。歳かな…)


『三四郎はそれから門を出た』三浦しをん

(メモなし。
 活字中毒でホンモノの本読みで本大好きな著者による
 本にまつわるブックレビュー。
 単なる書評に留まらず、エッセイとしても楽しめます。
 正直、本の好みはあまり合わないところもあるのだけれど
 そんなことは関係なく、エッセイの端々に溢れる
 三浦しをん節
はおもしろいです)
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【読書メモ】2011年2月 ②

2019-05-23 15:12:19 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年2月 ②>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『乱紋(上)』永井路子
大河ドラマで主役のお江のおはなし。
通説では仲の良い美人三姉妹らしいが、この小説では
お江だけ大した美貌も無い鈍くさい末っ子として書かれている。
おもしろくて一気に読んだけど、
あまりお江を好きになれないのはなぜでしょう。

竜馬のおかげで盛り上がった上司との飲み会にて、
薦められたので素直に読みました。
薦められた本をちゃんと読む私、ちゃんとした社会人だな…)


『天国はまだ遠く』瀬尾まいこ
何もない田舎で都会の女の子が癒される話。
よくありそうな設定だけど、いい。
書き込みすぎてないのがいいのかな。
鶏は絞められない。

(仕事に疲れた23歳女子が山奥の民宿で自殺を図ったものの
 田舎の素朴な暮らしに触れて考えが変わり…
 という、ざっくりプロットだけ読むと、あまりそそられない感じですが。
 そこは瀬尾まいこさんですから。
 お話しそのものは淡々と、するする~っと、進んでいくんですが
 なんだか癒される。なんとなくがんばろうかなって思える。
 ごはん食べてぐっすり寝なくっちゃという気になれます。
 さすがの瀬尾まいこさんです。
 短絡的に恋愛させないところとか、すごく良いですよね。良いんですよ。)


『乱紋(下)』永井路子
やっぱりお江に共感できないまま終わった。おちかにも。
女の描き方が、なんだか浅はかすぎる気がするのだけれど。
書かれた時代の問題?(初版1979年)

(時代というか、相性の問題ではなかろうか。
 どんまい)
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【読書メモ】2011年2月 ①

2019-05-22 15:06:30 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年2月 ①>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。

『恋文の技術』森見登美彦
吉田神社にお参りすると、受験も単位も落ちるから恋にも落ちる、
という話しが良かった。
コヒブミー教授も良かった。

(「文通武者修行」と称してひたすら手紙を書く
 くされ大学院生、守田一郎くんによる、書簡体小説。
 家庭教師をしていた少年への手紙は、
 『ペンギン・ハイウェイ』のアオヤマくんに通じるものを感じる。
 …かも。(適当)

 読んでいると、学生の頃、私も手紙書くの好きだったなあ、
 なんて、懐かしい気もちになります。
 守田くんほどに文章が達者ではないけど。

 森見作品に何かと登場する「丸くて赤いもの」(リンゴやダルマや金魚)、
 今作では赤い風船です。ホント好き)


『水車館の殺人』綾辻行人
十角館にかなり劣る。
なんとなーく犯人わかったし、
設定がマンガっぽいというかできすぎというか。

(デビュー作が名作『十角館の殺人』って、ある種、大変ですよね…。
 私は綾辻行人作品に対して求めるハードルが、
 めちゃくちゃ厳しくなってしまったよ申し訳ない…)
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高島雄哉『ランドスケープと夏の定理』これがハードSFってやつか!

2019-05-21 13:48:12 | 日記
第5回創元SF短編賞受賞作にして、高島雄哉のデビュー作でもある
『ランドスケープと夏の定理』。
好意的な書評が多く、気になっていたので、読んでみました。

これがハードSFってやつか…!

想像以上に理論部分がゴリゴリで、
私の脳みそでは大部分が理解できませんでした…っ!!

でも、感想としては、すごくおもしろかった。
理解はさておき、読めたし、楽しめた!

三つの物語と、三つの定理。
姉と弟と、妹。
夏と冬と、再びの夏。

天才宇宙物理学者の姉テオと、
その姉に人生まるごと振り回されている
自称「天才ではない」けど、まあ、それなりにだいぶ天才だろ、
と突っ込みたくなる弟ネルス。

と書くと、なんだかキャラモノっぽく見えると思いますが、
ハードな物理というか数学というか哲学というか、、、
脳みそ使う系のゴリッとした部分が多いので
読んでいる方も話しに付いていくのに必死と言うか、
キャラ萌えみたいなことをしているヒマはない。
(というのは私だけか…!?)

知性定理(?)とか量子ゼノン効果(?)とか、
存在可能な宇宙の総体としてのランドスケープ(?)とか
理論の籠(?)とか「情報=演算対」(?)とか、
自称「天才ではない」主人公の一人称で、
読みやすくライトなテンションで説明されるのだけれど、
まあ、わからないな!
わからないなりに、楽しく読めた。
小難しいと言いつつ、おもしろかった!

三つの定理は、
解説でとてもわかりやすく整理されていたので
メモっておきます。

(ちなみに解説では
「ネタバレが気になる方は本編読了後にお読みいただきたい」
とも書かれているのですが、
私の理解力では何がネタバレに直結するのか理解できませんすみません。
が、一応、自己責任で読んで頂ければと)

第一定理:あらゆる知性の型が互いに翻訳可能。
第二定理:現存する様々な理論は強制的に時間発展することが可能。
第三定理:未来の理論を翻訳して理解できるようにすることが可能。
(引用ここまで〜)

で、第一定理が「夏の定理」(夏に発見したから)。
第二定理が「冬の定理」(冬に発見したから)。
もうね、難しいことはさっぱりわからないけれど、
こういう「気分」があるのが魅力的である。ありがたい。

あと、ネタバレついでの感想ですが、
突飛な姉がアウスゲイルをゲットしたのは理解できますが、
基本的にシスコンでへたれで姉並に人の機微に疎い
弟ネルスがベアトリスをゲットできたのは、解せないな。
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