思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

三浦しをん『舟を編む』

2018-01-30 22:35:07 | 日記
本屋大賞受賞ってことで、結構有名になりましたよね。

と言いつつ、図書館でちゃっかり予約してみた。
あれ、『御松茸騒動』より早く予約順番来てしまうの?
意外…。

図書館の予約人気はさておき、
個人的には、本屋大賞も納得ですし、
マルチメディア化したくなるファン心理もわかる、
というくらい、良い世界観のある一冊でした。

もっとシンプルに言えば、おもしろかった。

辞書の編纂を軸にしつつ、同時代をだらだら描くことに
固執しなかったのがとにかく良いですよね!!
あちこちで言い尽くされているかもしれませんが。

ディテールも、すごく良かったです。

個人的には料理の感想をあれこれ言われるより
「おいしい」とシンプルに言えば良いってとこ。
反面、つくる側にはレシピだので、
細やかな言葉がもろもろ必要で…
って、女高倉健みたいなしゃべり下手な板前さんが
訥々と語る感じ、良いよね!!

他にも、辞書のちょっとした表記や違いなど
(男は、女ではないほうとか、新解さんの斜め上を行ってるな)
へええと思うようなうんちく満載で、読んでいてずっと楽しかった。

こういう読書って、本当に貴重だと思う。

こういう本を、今後も読みたいなあと、思います。
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柳 広司『ダブル・ジョーカー』を読みました。

2018-01-27 22:45:23 | 日記
新年ということで、お酒を控えてます!
私、えらい!!

まあ、約4年ぶりに二日連続断酒ができたあたりで
お祝いしちゃう程度のものです。

それはそれとして。
粛々と読書は続いております。

年末に続いてD機関シリーズの続編
柳 広司『ダブル・ジョーカー』を読みました。

なんか、天皇やら陸軍やらの絶対的崇拝を否定していた
気持ち良さがシュリンクしてきたかなという危惧はありました。
まあ、それは、第一話目で抱く不安で
それを軽やかに無視するツンデレっぷりが
ジョーカーシリズの魅力であるわけですが。

そもそもの設定が苦しいよなあ、と
余計な心配しつつも読むと、
なかなか楽しませてくれます。

作者も、読者の図々しい想いは承知で
書いてくださっているのでしょうね。

一作目を呼んだときは、シリーズ全部読むとは思わなかったのですが。
もう、三部作の全てを読んでおくべきだなというとこまでは
作品世界への執着や愛着が湧いてしまいました。
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デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』

2018-01-23 10:18:54 | 日記
数年前の「このミステリーがすごい!」や
「週刊文春ミステリーベスト10」で1位になったとか。
ついでに日本で映画化・舞台化もされているようです。
おまけに、これがこの作者のデビュー作。
華やかなデビューですね。

内容は、売れない二流小説家の一人称で、
突然巻き込まれた猟奇的な事件の回想録という体裁。

前半は、自己紹介というか、
数々のペンネームでB級小説を書く「私」ことハリー・ブロックの
ダメ男っぷりや元彼女やビジネスパートナーの女子高生(いいキャラしている)
ついでに「私」なりの思想みたいなものをゆるやかに語ってます。

そこそこ面白く読んではいたのだけど、
このミス1位とかの前情報を持って読み始めたので、
「ミステリーですよね?」と思って読むわけじゃないですか。
3分の1くらいを読んでも事件が起きる気配がなく、
この物語はどこへ行くのか、と、ちょっと不安になりました。

それとですね、
ハリーが書いたとされる小説作品がちょこちょこ挿入されるのです。
それはそれで良いのだけど、あまり物語上の意味はない内容なんですよね。
寓意とか本筋とのリンクとかあれば面白いのかもしれないけど、
ただ、唐突に、入ってるだけ。
おまけに主人公のハリーは自分の作品を「紙くず」とか言って
(それなりにプライドは持っているようだけど)
何かと卑下するわけです。

なんでお前は、そんな自称・駄作を作中に挿入するんだよ。
読者に読んでもらう以上は、自信を持って薦めろよ。

と、イラッとする私。

愛せないダメ男だなあとイライラしてたら、
猟奇的な事件が起きました。

あ。ミステリだったっけこれ。

後半のバタバタは、まあ、良くできたミステリでした。
嫌味なFBI捜査官と、最終的にちょっとだけ分かり合えたのは良かったです。

しかし、女子高生クレアの退場の仕方は雑ではなかろうか。
あと花屋で「裏庭だ!」って閃くの、無理がないか。
ついでに文句言うと
今までダリアンの10代〜20代の生活がまったく謎のまま放置されてたって、
アメリカ警察の無能っぷりにビックリしたよ。
本当にそんな感じなのか、アメリカ。大丈夫か。
里親の身辺くらい調べませんか。
弁護士の身分くらい確認しませんか。
(どうやって資格を取ったんだろう・・・)

いろいろと腑に落ちないことありましたが、
クレアはいい子だと思う。
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2017年の読書ふりかえり

2018-01-11 16:04:20 | 日記
2017年は、自分の記憶力がポンコツだとようやく気づき、
(30数年かかったわ)
読書メモをこまめに取るように改めました。

そのついでのようにブログにもぽちぽちと書いて
この一年、自分的にはマメに更新した気がします。

で、
せっかくなので、2017年に読んで良かったなあ
と思った本を振り返ろうかと。

どうにも好みが偏っているらしいので
何の参考にもならないと思いますが。

◆2017年ベスト!!!
小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』
上期のベストがそのまま駆け抜けました。
とにかく、読んで良かった。楽しかった。

◇読んで良かった!!
ダン・シモンズ『ハイペリオン』
続編は読まなくていいと思います。

ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
新訳、良かったです。

熊谷達也『邂逅の森』
他の森シリーズも読まなくちゃ。

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』
普段は小説しか読まない私ですが、すごく楽しめました。

佐藤亜紀『鏡の影』
この作者に関しては、私は、何を読んでも楽しいんですけどね。

檀一雄『火宅の人』
いまさらですが…。

皆川博子『開かせていただき光栄です』
この人の作品、なんで最近まであまり読んでなかったんだろう。



ざっとこんなもんでしょうか。
ブログに書いてない読書作品もあるんですが、
やっぱり印象に残ってる作品は
わざわざブログに感想を書き残したものだったなと思います。
(感想を書き残す原動力って、「良かった〜!」って気持ちか、
 真逆の「ふざけるな!」って気持ちなことが多い)

2018年も良い読書がたくさんできるといいなあ。
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エマニュエル・ボーヴ『ぼくのともだち』

2018-01-11 15:36:07 | 日記
1920年代のフランスに生きる
ザ・ダメ男ヴィクトール・バトンくんの
おともだち探しの手記です。

第一次世界大戦で負傷し、
その軍人年金だけでのんべんだらりと
パリの安アパートで暮らしています。

訳者あとがきによると、
バトンくんが住んでいるエリアは郊外のようで
「ともだち」に出会うため毎日
一時間近くかけて中心街までお散歩している様子。

それでいて友達候補に対して
冷静というよりも穿った視点で酷評したり
(紳士なので心の中だけでね)
彼らの恋人や娘にちょっかいかけようとしたり。

ホント、ダメ男だなあ…。

しかしですね、なんだか妙なリアリティがあって、
出版当時は主人公=作者だと思われていたようです。
人間的本質は不明ですが、執筆当時の作者は既婚で子持ちで
もちろん働いてたわけで、これは純斬たる創作小説。
なのに、妙に他人事と思えない心の機微がてんこ盛りで、
私が男だったら確実に自分の前世だと思うところです。

この本、訳者の渋谷豊氏がフランスで原書に出会い、
出版社に持ち込んだのが邦訳出版のきっかけだそうで。
ありがたや〜。

ちなみにこの訳者、とあるインタビューで
「訳す本すべて”ダメ男小説”」的なこと言われている人。

ダメ男小説というジャンルの定義を聞きたいところですが、
バトンくんのようなダメ男は、ホントずるい。
腹立つし絶対友達になりたくないけど、
だんだん愛しくなっちゃうんだよなあ。
ずるい。
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