思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

映画的小説の話し。

2015-08-28 12:34:06 | 日記
グレイヴディッガーでふと気づきましたけど、
脚本家出身で小説を書いている人、結構いるんですね。
といっても読んだのは下川博と秦健日子(たけひこ)
くらいでしょうか。

下川博「弩(ど)」はおもしろかったです。
石弓が出てこないなあとは思ったけど。
南北朝時代の貧しい農村の村人が主役で、
情報も教育も娯楽もない時代の
無知な村民たちやその苦労やあがきが良く書けていて
小説としてとても面白い作品でした。

秦健日子の「推理小説」は酷い出来でした。
そういう意味でおもしろかったです。
これをよく映像化しようと思ったな。と失礼なこと考えましたが、
ドラマの「アンフェア」はヒット作なんだねよかったね。
ちなみに解説にいいこと書いてあって、
野心的にジャンル名をタイトルにしている作品は難しい、と。
ホントです。
この内容でこのタイトルをつける勇気。
そういう意味でおもしろい作品でした。

あ、悪口書きたいわけじゃなかった。

そしてこの二人は主題ではないのです。

高野和明「グレイヴディッガー」を読んで
すごく映像的で映画的な小説だなあと思ったんです。
で、脚本家出身だからかな、と思ったのだけど
わたしが読んだ脚本家出身のふたりは、そうでもないなと。

むしろ和田竜とか福井晴敏とかが近いイメージか?
あ、もしや「映画好き小説家」という括りでしょうか。
そうか。それだ。
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グレイヴディッガー

2015-08-28 10:46:41 | 日記
会社のリサイクル本棚で
高野和明「グレイヴディッガー」をゲットしたのは約半年前…。

お?始祖鳥記の人?と思ってゲットしたら違ったのです。
それは飯嶋和一だ。
一文字しか合ってないぜ私。
安定のポンコツだぜ私。

まあ、表紙のデザイン見た時点で「違うな」と
うすうす感づいていたけどね!言い訳!
(ちなみに「グレイヴディッガー」は講談社文庫版
ひと昔前の海外B級ミステリ並のダサさです)

そんなわけでデスクで所謂「積読」となっていたのですが
ようやくボッシュシリーズがひと段落ついたので
積読消化にとりかかったのです。

ていか、ボッシュ、4ヵ月もかかったぜ…。
それはまた今度。

「グレイヴディッガー」おもしろかった。
作中時間約12時間の、スピード感あふれる逃走ミステリーです。
一気読みしたくなる展開と爽快感。
主人公がとにかくいいんですよね。
小悪党なのに、
こどもの夢を踏みつぶすようなちんけな詐欺を後悔したり、
命がけの逃走中なのに美人女医にマメに電話かけたり。
そうそう、最終的に女医にお金を借りるというオチもすごく良かった。
500円。

あとスタートとゴールがきっちり設定されてるので
東京都内でのリアル双六感も楽しかったです。
北区赤羽から大田区六郷までを電車やら船やらモノレールやら。
進まないーっ!と思うと一気に進んで3マス戻る!おい!
みたいなゲーム感覚というか。楽しい。

犯人の動機と犯行の猟奇性に乖離がある気がしましたが、
(そういう動機で、ここまで手が込んだことするー?
 準備も実行も超大変だよ?という)
エンタメ小説としては本当に面白いし一気に読めます。

この作者、寡聞にして知らなかったので
他の作品も読んでみようかな。
と思って調べたら直木賞候補にあがってたよ。
無知ですみません。ははは。

しかし候補作の「ジェノサイド」は賛否両論なのですね。
政治的思想がからむ話って、苦手なんだよなあ。
あと子どもが痛い目に遭う話しも。
他の作品を読むことにしましょう。
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マーロウ、かっこいい。マーロウ。

2015-08-26 11:22:10 | 日記
レイモンド・チャンドラーの「大いなる眠り」を読みました。
マーロウかっこいいよマーロウ。

チャンドラーは、清水俊二訳の
「さらば愛しき女よ」と「長いお別れ」を学生の頃に読んだあと、
村上春樹の訳が出ると聞いて「さよなら、愛しい人」を読みました。

ふたりの訳を読み比べしてみると、
清水版はいろいろと省略されている部分があるんですね。
確かに村上版を読んだとき
「言い回ししつこいなあ」
と思うところがありました。
だからと言って読みにくいわけでもなく、めちゃくちゃ面白いけど。

読み比べも楽しけど、今回は、せっかくなので未読の
「大いなる眠り」を購入。
マーロウかっこいいよ。
というか長編デビュー作なのに、ホントに、
マーロウという人物がぶれない。文章もうまい。かっこいい。

あと解説長い。
春樹のチャンドラー愛がほとばしる内容、というか文字数です。
いや、内容もおもしろいんですけどね。
本編を読み終わったはずなのに、
文庫の未読側にまだ相当な厚みが残っていてびっくりしましたよ。
巻末のおまけでもついているのかと思ったら
ぜーんぶ訳者解説。
春樹チャンドラー好きすぎ。

次も未読の「リトルシスター」を読んでから
「ロンググッドバイ」を読もう。
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ジェントルゴースト

2015-08-20 15:36:52 | 日記
怪談話のジャンルのひとつに、
ジェントル・ゴースト・ストーリーというものが
あるそうです。

ジェントル・ゴースト。
怖くない幽霊といったところでしょうか。
恨みつらみや執着を持っているわけでなく、
愛する人への未練だったりなんらかの心残りがあって
成仏しそびれてしまったような人々。
有名なところだと「雨月物語」や「ぽっぽや」だそうです。

個人的には絲山秋子の「沖で待つ」じゃないかなと思います。
PCに残した恥ずかしいポエムのデータが気になって
成仏できないなんて、ジェントルすぎです。
しゃっくりが止まらないのもジェントルかはさておき最高です。
「花まんま」もジェントル・ゴーストに近くないですか。
普通に怖い話ですかね。わからないな。
あとは「生ける屍の死」か。
ジェントルじゃなくてパンクですけど。
ゾンビですけど。
そもそも個人的にあまり評価してませんけど。

というか日本ではそんなに確立されていないようですが
イギリスではひとつの小説ジャンルとして認識されているとか。
イギリスの人、幽霊話し好きですもんね。

古いお屋敷に幽霊が出ると言われても、
それも由緒ある証拠と考えられるとかなんとか。
ポジティブ!
幽霊屋敷巡りツアーとかもありますし。
ポジティブ!!
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