思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

まことに恩田陸的な『月の裏側』

2020-11-30 13:48:38 | 日記
久しぶりに恩田陸を読もうと思い、
恩田陸的であると評されている作品を読んだところ、
まことに恩田陸であった笑

恩田陸『月の裏側』読みました。

水路が町中に巡っている九州の水郷都市が舞台。
初夏、しとしとと雨が続く夜の蒸し暑さと、
得体の知れないナニカが其処此処にたゆたっている
ぞわぞわする感じが凄いです。

音楽プロデューサーであり変人でもある多聞さんの
ヘンテコなものの考え方や飛躍した会話がおもしろいし、
救いにもなります。

ラストは、登場人物内で「常識人」枠の藍子の視点。
というわけで、ちょっと「怯え」「不安」を感じつつ
謎を受け入れるというか甘受しちゃうというか、
うーん、これで良かったのかな。
もうちょっと能天気な捉え方で幕を下ろしても
良かったんじゃないのかな。

SFホラーといった感じの物語です。
ワクワクしながら一気に読めるけどすっきりハラオチはしない
安定の、あの感じ笑

こういう「謎は謎のまま楽しむ」系ホラーだと
森見登美彦の怪異シリーズに通じるところがありますよね。
とはいえ、恩田陸はミステリっぽい誘導がうますぎるので
謎解きまで期待しちゃうというか。
私はもう学習しましたけどね!
「ハラオチは期待しない!」と笑

ちなみに多聞氏の説明に
「何かと変なことに巻き込まれる」
的なことが何回も書かれているので、
これは他にも登場する人かな?と思いましたがビンゴです。
『不連続の世界』という連作短編集にも登場しているようです。
こちらも恩田陸的ホラーだそうで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『富士日記』と二拠点生活

2020-11-26 11:43:01 | 日記
会社の上司が年内で早期退職するんですが。
都内のマンションをキープしつつ、
実家である岐阜の農家を手伝うそうで。
いわゆる二拠点生活。
それ、いいなあ!!!

ちなみに今、武田百合子の『富士日記』を読んでいます。
作家・武田泰淳の妻で、エッセイで有名な武田百合子の
デビュー作。

こちらは夫婦と娘の花ちゃんと愛犬ポコが
都内&富士山嶺別荘で二拠点生活をしています。
いいなあ!!!

この日記帳は富士山嶺の別荘に置かれていたので、
そちらでの暮らしが主に綴られています。
昭和39年(1964年)から13年分(!)
文庫上中下のボリューム(!)

図書館で上巻を借りてきたのですが、
まだ真ん中、昭和40年10月である。
期限内に読み切らないな…。

というか、
一気読みしたらもったいないな、という本なので
全巻揃えて平日の仕事の息抜きにちょこちょこ読もう。
仕事に飽きたら、ちょっと富士まで。である。
ふふふ。


別荘ほしい…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『時空旅行者の砂時計』トンデモミステリ〜

2020-11-24 16:45:57 | 日記
方丈貴恵の『時空旅行者の砂時計』を読みました。
第29回鮎川哲也賞受賞作で、作者のデビュー作。

バラバラ殺人や密室殺人、クローズドサークル、見立て等、
本格推理小説のお題に加えて
タイムトラベル(!)というSF要素がサービスされていて
これでもかってくらいの、てんこ盛りです。
ギャル曽根ちゃんの大食いチャレンジメニューみたいだ笑

というか、作風としては初期の西澤保彦を思い出しますね。
最近、読んでないなあ。

それはさておき、物語は現代から始まります。
愛妻が病気で死に瀕している状態の主人公・加茂さんが
トートツに「マイスター・ホラ」を名乗る砂時計に導かれ
(この一行に詰まったトートツ感たるや!)
1960年代の金田一耕助っぽい惨劇の現場に移動し、
にわか探偵としてお邪魔します、と。

なんだかんだで、タイムトラベルものが守るべき
制約とかも設けられていて。
トートツ展開にも理屈が通っていて。
その上で、
金田一的金持ち一族の惨劇と隠された過去と推理がある。

意外とちゃんとしてる笑

トンデモ設定は必須とは思わないけど
(ルール説明等が冗長なのが個人的にはひっかかる)
とはいえ面白く読めました。
こういう作風の人らしいので、今後の作品も期待したいなと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【読書メモ】2014年5月 ②

2020-11-18 15:59:02 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年5月 ②>


『三匹のおっさん』有川浩
エンタメとしておもしろかったです。
人物描写がどうしてもラノベっぽくなる作者なので、
ムリして悪役を描かなかったのは良い判断ではないかと。


『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾
やっぱりおもしろいし、うまい。
一気に読んでしまう。
犯人はどっちでもいい。


『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
会話がうまいなあ。
有川浩の会話はラノベっぽくて好まないんだけど、
伊坂幸太郎の会話は登場人物に好感が持てる。
なんでだろ。
伏線と言う程でもない会話を、丁寧に拾うのがすごく良い。


『クドリャフカの順番』米澤穂信
うーむ。
思春期の学生生活のあれこれなんぞ
30代にもなって読みたくないんだよなあ。
というわけで個人的にはイマイチ。


『白銀ジャック』東野圭吾
なんかこぢんまりした話しだったなあ。
あまりのめりこめなかった。


『妃は船を沈める』有栖川有栖
シリーズのなかではマレー鉄道の次くらいに面白かった。
妃のキャラが最初は鼻についたけど、
だんだんよくなってきた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【読書メモ】2014年5月 ①

2020-11-16 11:29:52 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年5月 ①>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『バーにかかってきた電話』東直己
シリーズ2作目なので俺が30歳。若い!
岡田がかっこいいなあ。
相変わらず俺は特になにかを解決したわけではないけど、
おもしろかった。
最後までいい感じ。

(<ススキノ探偵シリーズ>2作目です。
 第1作が28歳
 刊行ごとにちゃくちゃくと歳を重ねていますが、
 「俺」氏、人間的にはあまり変わらない笑)


『てのひらの闇』藤原伊織
途中まで、「また同じような性格の主人公だよ!」
「おっさんに恋する歳下美人付きだよ!」
と思ったけど、後半の加速感がとても良かった。
最後の数十ページの密度も良かった。

(どの作品もハードボイルドでストイックなおじさんが主人公なので
 「あれ?前作と主人公一緒かな?」と二度見します。
 『テロリストのパラソル』とか『ひまわりの祝祭』とか。
 毎度のことですが、自分の記憶力に不安になりました笑
 大丈夫!別人だけど、キャラはほぼ一緒!記憶は合っている!!
 とはいえ『てのひらの闇』の主人公・堀江おじさんは
 同名同設定で短編でも描かれているし
 『名残り火』という続編も執筆されているので、
 作者としてはお気に入りだったのかもしれません。
 というか、藤原伊織はおもしろいですよ!
 どの作品も文句無しに面白いハードボイルド!
 主人公は二度見レベルで似てるけど…笑)


『東京日記2 ほかに踊りを知らない』川上弘美
こういうウソ日記を書けるようになりたいものです。
本当にステキ。

『東京日記1 卵一個ぶんのお祝い。』の続編。
 不思議日記シリーズというか。
 日常なのにヘンテコでふんわりと甘いような怖いような。
 本当にステキ)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする