思惟石

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『ハプスブルクをつくった男』

2023-04-13 11:55:35 | 日記
講談社現代新書『神聖ローマ帝国』
おもしろパワーワードを連発していた
菊池良生先生の本です。

その中でもだいぶ著者の愛着が大きめだった
「ルドルフ4世(1339−1365)」が主人公なのが
『ハプスブルクをつくった男』。

ルドルフ4世は「建設公」と呼ばれ
後に神聖ローマ皇帝を世襲するハプスブルク家の
基礎をつくったと言われる人。

ですが、彼自身は皇帝ではなくオーストリア公。
当時の皇帝はルクセンブルク家のカール4世。

カール4世の娘さんが、ルドルフに嫁いでいるので
舅と婿の関係でもある。

歴史的には、皇帝カールVSハプスブルク家ルドルフ
なのだけれど、この本を読んでいると
革新的で暴れん坊でトリッキーなルドルフの
斬新すぎる治世に振り回される国民&皇帝(舅)の図、
にしか見えない。

楽市楽座っぽい施策をしたり
貨幣改鋳権放棄と消費税導入など
当時としては新しすぎる改革をゴリゴリ進めるあたり、
織田信長みがある人である。

ハプスブルク家初期の暴れん坊ですが、
なかなか強烈な施策と歴史的偽書「大特許状」を繰り出し、
26歳の若さで夭折します。

惜しいな〜と思ったのだけど
15世紀の年代記作者トーマス・エーベンハルトが
『オーストリア年代記』に
ルドルフが長生きしていたら、オーストリアを天まで昇らせたか、
あるいは奈落の底までつき落としていただろう

と書かれているそうです。
いずれにせよ、歴史と国民をぶんぶん振り回すタイプ笑
なるほど〜、ちょっと早すぎたか〜。

ハプスブルク家よりすこし遡るホーエンシュタウフェン朝の
最後の神聖ローマ皇帝であるフリードリッヒ2世も、
先進的かつ偉大すぎたせいで次の代に続かなかったことを考えると、
歴史ってこういうことなのかな、と思う。

ちなみにハプスブルク家のフリードリヒ3世は
菊池先生曰く「神聖ローマ帝国の大愚図」である。
厳しい〜笑

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