鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

「限界集落」について

2008-01-15 06:07:42 | Weblog
1月13日の10:10からNHKテレビで放映された「ご近所の底力」では、高齢化率が高く、また若い人が出て行ったために、限界に来ている(つまり廃村寸前の)集落のことを「限界集落」と言っていました。「そうか、限界集落と言うのか」と、「限界集落」という言葉を初めて耳にして、その言葉に込められた危機感・悲哀感が伝わってきて暗澹たる思いにさせられました。過去7年間で消滅した集落は70以上。今後10年間に消滅するであろう集落は400以上に上るという。高齢化により田畑の耕作が不可能になって「耕作放棄地」が増える。「耕作放棄地」が増えていけば、山から猪や猿や鹿などが出没するようになりわずかな耕地を荒らす。高齢化と人口減少により集落の伝統的行事や消防団などの自治組織も崩壊していく。お年寄りが亡くなっていけば、わずかに残っていた耕地も住んでいた家も放棄されてしまう。群馬県南牧(なんもく)村星尾地区の方が出演されていましたが、集落から「子どもの姿が見えなくなり、子どもの声が消えてしまった」との、あるおばあさんの言葉が悲痛でした。集落が消えればやがて社(やしろ)もなくなり先祖代々からの共同墓も朽ち果てていくことでしょう。先祖が切り拓いた棚田や棚畑も、すべて雑草や雑木の繁る土地になっていくに違いない。民俗学者の宮本常一さんが高度経済成長期が始まる頃にすでに危惧していたことが、これから10年間で一気に加速されていくのでは、と思わざるを得ませんでした。私が住んでいるところは妻の実家の近くで、昔からの集落があるところを「下段(しただん)」、上の国道に沿ったところを「上段(うえだん)」と言っていますが、その「上段」にあります。「上段」はかつては畑が広がるばかりでしたが国道の開通とともに新しい住宅がどんどん建って人口が増えています。それに対して昔からの集落である「下段」の方は高齢化が進み、子どもの数はどんどん減っています。歴史ある町で、かつては映画館があったほど栄えた町でもあるのですが、今はいかに「活性化」させるかが大きな課題となっているような町の一つとなっています。「限界集落」ほどの危機的状況に陥っていなくても、「活性化」が大きなテーマとなっている地域は全国津々浦々にあるのではないでしょうか。 . . . 本文を読む