素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「カムカムエヴリバディ」やっと最初から今日までがつながる

2022年03月29日 | 日記
 3日前の「カムカムエヴリバディ」三昧で飽和状態になってしまい、あと少しというところでnhkオンデマンドの視聴がストップしていた。内容が重いだけに消化する時間も要る。

 今日、明日はジムの休館日、時間に余裕があるので続きの(33)から(39)までを一気に視聴。安子とるいが別れてしまう、関係する人たちの善意の負の連鎖がよく描かれていた。「これが人生」という言葉が重かった。

 成長した深津絵里演じるるいが登場して大阪での生活が始まるところで、安子の誕生からるい、ひなたへと続く物語の線が私の中でやっとつながった。これで今週、来週の展開での一つ一つのセリフ、場面の意味するものがゆっくり味わえる用意ができたということ。

 ちょうど私の父が安子と同じ大正14年生まれということもあり安子の歩む世相の中に父を重ねることもあった。93歳で亡くなるまで胸の奥底には戦争というものがあったように思う。三重県退職校長会発行の近況報告集「いきがい」に毎年欠かさず投稿していた200字足らずの近況報告を読み直すとそのことがうかがえる。
(昭和62年・第5号)
 退職五年目の春、教育界から、大正生まれの仲間がすべて去ったことに一抹の寂しさを禁じ得ない。その反面、かつての部下の昇任、昇格を知る喜びも又格別である。励ましの便りを認めながら、唐の詩の一節「年年歳歳花相似、歳歳年年人不同」(劉希夷)が心をよぎる。
 人の世の移り変わりをしみじみ思う、きょうこのごろである。

(平成4年・第10号)
 去る四月、退教互主催の沖縄旅行に参加した。秘境西表島でのマングローブの茂る川上り、水牛車に乗っての海峡渡り等、沖縄ならではの旅を満喫。                            
 本島では、摩文仁の丘、ひめゆりの塔など、南部戦跡を訪ねたが、わずかに復元最中の首里城跡に、わが心の中に生き続けていた戦禍を偲ぶのみであった。旅を終えて今はただ復帰二十年の沖縄に全基地返還の日の一日も早からんことを念じている。 

(平成7年・第13号)
 戦後五十年の節目の年に同窓生、森岡清美氏の著書「若き特攻隊員と太平洋戦争」を読む機会を得た。若き特攻隊員が出撃を前に、親、兄弟、恋人などへの思いを切々と綴った手記をもとに、特攻の真実の姿を後世に残すべく、彼らの群像を描いた本著に深い感銘を受けると共に、同じ決死の世代に生き残った者のひとりとして、日々精一杯生きていこうと思う昨今である。

(平成12年・第18号)
 三月上旬、知覧特攻平和会館を尋ねる機会を得た。太平洋戦争末期、 幾多の若者達が、再び還らざる特攻出撃に飛び立っていった飛行場跡  
に建てられた会館である。館内には、若き隊員の遺影、遺品、生死の 狭間に揺れながら、切々と綴ったであろう遺書の数々に、深く胸を打たれた。「完全ナル飛行機ニテ出撃致シ度イ」と書かれた遺書は今も私の脳裏から離れない。 

(平成16年・第22号)
 昨年秋、かねての念願であった上田市に窪島誠一郎氏によって建てられた戦没画学生慰霊美術館「無言館」を訪ねた。ここには、日中、太平洋戦争で亡くなった画学生約四十名の遺作、遺品が展示されている。志半ばで無念の死を遂げた、芸術の若き使徒達のひたむきな情熱が絵を通して切々と語りかけてくるのを感じ瞼が濡れた。一度は訪ねていただきたい美術館である。

(平成18年・第24号)
 一月、辺見じゅん原作の映画「男たちの大和」を見ました。生存者の回想から始まり、家族との別れ、生死を共にする士官と部下、同僚との絆、壮絶な戦闘シーン、涙なくしては見られない映画でした。私の先輩、坪井さんは大和生存者のひとりですが、語り部として平和教育に尽力されている記事を教組新聞で拝見し、同じ世代を生きた者として平和への願いを新たにしました。

(平成21年・第27号)
 一年後輩の上出芳照君の死亡叙勲を新聞紙上で知った。彼は豊橋陸軍予備士官学校同期生であり、広島原爆被爆者でもある。彼とは原爆投下後の悲惨な現状、生死の境をさ迷った闘病生活の辛さを聞く機会があり、唯一残った八時十五分を指す腕時計を拝見した思い出がある。私は七月末広島から鳥取部隊へ復帰し被爆を免れた。今日ある幸せと平和への願いを新たに、彼の冥福を祈る次第である。
 

       
               
                  


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