素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「本音で向き合う。自分を疑って進む」(佐伯夕利子著・竹書房)読み終わる

2024年05月17日 | 日記
 昨日は、星田発8:07の列車に乗ったので通勤、通学の時間と重なりすし詰め状態であった。京橋駅で環状腺に乗り換える人の波、ホームで列車を待つ人の多さ異空間に飛び込んだ感覚で、懐かしくもあり新鮮だった。一転、鶴嘴駅から乗車した近鉄の快速急行松阪行は私を含めても数名しか乗客がいないほぼ貸し切り状態。1時間45分余りはゆったりと読書タイム。佐伯さんの本の残り3分の一ほどを一気に読む。電車のほど良い揺れと音で意識が薄らぎ、本の落ちる音で目覚めるという至福の時間を過ごした。

 2018年から2022年までの4年間Jリーグの特任理事、常勤理事として一緒に働いたリーダーの村井満チェアマンに関する記述は心に残った。
 「私たちは、短時間で何かを決定したり、ぐいぐい引っ張ってくれたりする行動力のあるカリスマ的なリーダーに憧れがちだ。私も以前はそう考えていた。もちろんそんな牽引力が必要な場面もあるが、現代のリーダーシップ像はメンバーの能力を引き出し、主体性を持たせることが必要とされる。議論を省いて独断で推し進める力ではなく、ありったけの異なる意見を聴きそれらを良い悪いで『判断しない力』がこころのインテリジェンスだと言えよう。
 これまで知り合ったリーダーは『従わせる』リーダーが多かったが、村井さんは『慕われる』リーダーだと感じる。例えば、部下などを従わせているとしよう。皆言う通りに動くのだが、そのリーダーが慕われているかと言えばそうとは限らない。チームの空気感や幸福度、発展性に違いが顕れる。従わせるリーダーよりも、慕われるリーダーのほうがチームのパフォーマンスが圧倒的に豊かなのは一目瞭然だろう」


 ただ、彼女が就任した4年間はコロナ禍で自由に動くことが出来ず、充分にその知見を発揮できなかったのは惜しかった。日本のフットボール関係者と膝を突き合わせて話をする時間をコロナウイルスに奪われたため果たせなかったことを3つのメッセージとしてまとめている。
  ①プアでなく豊かな議論を
  ②あらゆるハラスメントと決別し、指導環境を健全化することに本気で取り組んでほしい
  ③「仕組みを変える」ことに力を尽くしてほしい

 それらのベースには人権問題への高い意識が必要不可欠である。巻末に載せられた「スポーツ現場におけるハラスメントとの決別宣言」は一読に値する。この8830字に上るレポートはJリーグでの任期を終える直前に書かれたものである。

 学ぶことの多い本だった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「母の日」と「誕生日」の祝... | トップ | サンジソウ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事