素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

続・「日本の中世」から「今」を考える

2014年05月19日 | 日記
 国力と人口は密接な連関を示すことは現代の世界を見ても明らかである。今、日本で少子化や過疎化のことが問題になっているのもそのことに大きく起因する。講義の中で歴史を人口増から考えるという新しい視点が得られた。中世がすっぽり入る1000年で600万から1200万と微増に過ぎなかった人口が1600年から1700年の100年間で倍増の2400万~2500万になった。江戸時代は中世に倍する国力を有していたと大雑把に言える。そのことから、「公権力」が強くなり法を犯したものへの取り締まりがきちっとなされることと「平和」は比例関係にあるといえる。「公権力」の中身については別にして、利害の対立する者の集まりである社会を安定させるためには「公権力」は必要である。

歴史を俯瞰すると、混乱期(戦国)と安定期(平和)の繰り返しである。混乱の中から強力な「公権力」が生まれると一定の秩序ができ安定する。しかし、それは強力な力を背景に反するものを押し込めたに過ぎないので、時の経過と共にそれらは噴出してくる。その繰り返しを通じて、より多数の人間にとってましな「公権力」が形成されていくということに思いが至った。

 「アラブの春」と呼ばれた、2011年初頭から中東・北アフリカ地域の各国で本格化した一連の民主化運動によって,チュニジアやエジプト,リビアでは政権が交代したが、その後の混乱は新しい秩序を打ち立てる難しさを示している。100年単位の時間が必要なのかもしれない。

 「世界の警察」を自他共に認めてきたアメリカも相対的に力に陰りが見えてきた」。となると、創立から間もなく70年になる国際連合も過度期を迎えているのかもしれない。 英語表記の「United Nations」は第二次世界大戦中の枢軸国に対する連合国を指す言葉であり、「国際連合」は意図的な誤訳である。(中国語ではそのまま「聯合國」と呼ばれる。)このあたりをしっかり踏まえて、「国連」に幻想を持ち過ぎないことだ。欧米対中露という構図ができつつある。ただ、英・仏もEUをめぐって民族主義的な勢力が勢いを持ってきて不安定な要因を抱えている。

 国連と日本国憲法の誕生は第二次世界大戦後の国際社会の指針を示したもので不可分のものと考えてよい。

 国という単位を越えて広がっていくのが「経済」と「宗教」である。この2つが新しい局面を迎えてきたことは明白である。これから20年ぐらいは、新しい秩序を模索する時代になりそうである。  そういう視点で今、大河ドラマ「軍師 官兵衛」を見ると面白い。

 また、gaccoは6月16日に開講する早稲田大学政治経済学術院准教授の栗崎周平さんの『国際安全保障論 ~戦争と平和のパズルを分析的に読み解く~』受講することにした。

 講座内容は以下のようになっている。今の関心事にピッタリである。

この講義では国際関係、とくに昨今の日本を取り巻く安全保障環境を理解するために、国際政治学における主要な理論や実証的な知見を概観する。安全保障の戦略的環境は戦争の影、つまり武力行使の可能性によって特徴付けられる。よってこの授業では以下の4つの論点について講義を行う。

(1)戦争の(政治的)原因のミクロ的基礎を理解するための戦争に関するパズルとその解としての戦争原因のモデル。クラウゼヴィッツの戦争の定義から、戦争とは何かを理解し、その原因を探ることで、なぜある国は軍事的な挑発行動をとり、なぜ核開発を行い、またなぜ領土紛争は武力行使へのエスカレートしやすいのかを説明する。

(2)政府や政治指導者が直面する国内政治上の諸問題や利害関係、そして国内の政治過程を規定する政治制度は、政府の外交政策の策定や履行に大きな影響を与える。それは時に国際紛争を誘発し、また時には紛争の平和的解決を促進しうることを論じる。

(3)国家が自国の安全保障を図る際に、軍事的緊張や武力衝突の発生を予防し、さらに既存の秩序や平和といった現状を維持しようとする施策は抑止である。抑止には核兵器を背景とした核抑止と、通常兵器を想定した通常抑止の二つの論理が存在する。ここでは冷戦期から今日に至る核戦略の変遷を辿り、また米軍の抑止力に依存する日本の拡大抑止政策の成否に関する実証結果を概観する。

(4)軍事同盟は国家が採用する安全保障政策の最も伝統的な選択肢であり、日本の防衛政策は日米同盟に深く依存する。しかし、国際政治学の理論から眺めると同盟を締結することの合理性には疑義が生じる。更に、沖縄の基地問題など大きな国内的な政治問題の原因ともなっている。それにも関わらず、なぜ日本政府は同盟を堅持するのであろうか。逆説的ではあるが、同盟は大きな政治リスクを抱えるからこそ機能しうることを解き明かす。近年の国際政治学は、ゲーム理論を採用することで、多くの理論が書き換えられている。

この講義ではその成果を取り入れつつ、実証研究での知見に裏打ちされた新しい国際政治学の論理を用いて、これら4つの論点を解き明かしていく。
 
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