素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

加賀美幸子さんの講演での話が掲載されてました

2010年04月23日 | 日記
 高校時代は朝6:20に家を出て、夜は早くて19時に帰るという生活をしていたので、昼過ぎに家に帰ることができる定期テストの期間は気分的にゆっくりできる時だった。そういう時NHKで山田幸子アナの司会する番組を見るのが楽しみであった。声と雰囲気が魅力的であった。加賀美に姓は変わったが、異例中の異例と言われている定年まで東京アナウンス室勤務だったというのも力があったからだと思う。

 たまたま送られてきた「NHK学園生涯学習通信講座 総合講座ガイド」の“巻頭言~とっておきの話~”に加賀美さんの記念講演の一部が紹介されていた。『自分の思いをいかに伝えるか?』ということは教師という仕事をしている時はもちろん、これからも大きな課題として持ち続ける私にとって、ヒントをもらいました。

 私はアナウンサーですが、どんな仕事でも、言葉で内容や心を伝えるという点では同じです。でも同じ内容でも、人によって、より伝わる人とそうでない人があります。話し方で言えば、その人がそのまま現れる息づかいも大事ですが、内容について言えば、伝わっただけではだめで、相手の心が動かなければ、物ごとは成就しませんね。

 では言葉のどんな所に心を動かされるのか。私自身のテーマでもある「ゆとり」というものにどうやら鍵があるように思うのです。

 若い時、それまでは順調でしたが、ある時「あなたは今どき流行らない」と言われ、仕事が少なくなった時期がありました。でも私は「流行らなくてもいい。流行るものは廃れるのだから」とゆっくり構え、逆に地味で目立たないけれど価値ある番組を徹底的に大事にしようと決めたのです。必ず誰かが見ていてくれる、と。(中略)

 古典は現代の小説と違って、書き過ぎていない良さがあります。あいだを自由に想像して埋めていくことができる。だから古典は千年も生きているし、私たちの生きるヒントも与えてくれる。すると物事を「ゆとり」を持ってとらえることができるようになる。古典のおかげで、私は言葉の基礎を身につけ、「ゆとり」の心の大切さを実感しました。

 政治・経済・外交・教育・恋愛でも、またお店でも会議でも全て、相手の心を動かさなければ何も成就しない、ということを痛いほど経験します。私は心動かされる言葉に出会った時は、必ず心に刻み、書き留めておくようにしています。 

 その人の人間としての「ゆとり」が言葉を通じて垣間見えたとき、それを聞く人の心が動かされるのではないか、そんな風に思っています。

 人の心を動かすのは、小手先の技術ではない。今、多くの政治家が、普天間のこと、高速道路の新料金のこと、郵政問題、新党結成などについて語るのを聞く機会があるが、もう一つ心に響かない。人間としての幅広さ、すなわち「ゆとり」を感じないからかと思い当たった。

 『心を動かすことができるのは、“ゆとり”のある言葉。』を肝に銘じて、精進しようとけなげに思いました。  

 
コメント
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