某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

昭和26年の防空訓練

2009-12-24 23:25:56 | ぼやき
 敗戦後6年もたった昭和26年、立川市を中心に防空訓練を行うから協力しろという通知が、私どもの学生寮に来た。朝鮮戦争中で立川の飛行場が空襲される、という想定らしかった。
 国立の学生寮(中和寮)では大騒ぎ。寮委員会は即座に訓練反対を決めた。ではどうするか。まず、寮内のゴミ(田舎から送られてきた荷物を梱包していた筵、茣蓙、箱、板切れなど)を、寮内清掃作業と称して全部集めた。訓練は夜だから当日夕刻校門内にそれを積み上げ、サイレンと同時に火をつけた。寮内各室に待機していた学生たちは机上の読書灯を一斉に窓の外に出した。暗い国立の街の一角が明るくなり、景気の良い焚き火が高く炎をあげた。消防車がとんで来て大騒ぎ。
 翌日、私達寮委員は寮監の増田四郎先生に呼びつけられた。先生は少し青い顔をして黙っていた。暫くして「子供みたいなことをするな!」とおっしゃった。それで終わり。
 はるか後年、先生が文化勲章をお受けになったとき、あのお声を思い出した。「勲章反対」などといったら、「まだ子供のままか」と笑われただろう。
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Thank you ってどういう意味?

2009-12-24 20:12:50 | ぼやき
 アメリカの郵便公社危機を伝えるABC Newsで次のように言っていた。Thanks to the recession and internet,the U.S.Postal Service is in serious trouble.(不況とインターネットのおかげで、アメリカの郵便公社は深刻な困難に陥っている。)コンナ深刻な話を アナウンサーはThanks to から始めている。中学英語が頭にびりついている私は、「何に感謝してんだよ。やられたほうがサンキュウかよ」てな具合にまず反応してしまう。勿論感謝しているのではないことは百も承知だし、こういう言い方をするものだとも心得てはいるのだが。
 今自分の訳を見て、おや、と思った。日本語でも「おかげで」という。英語にすればThank youだ。何のことは無い、東西ともに、やられた奴が「おかげさまで」と「感謝」するのだ。一体どういうことだろう。 



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冬のビール

2009-12-24 00:46:30 | ぼやき
 まだ学部一年生だった昭和24年の冬。暖房が無いから(ラジエターがみな金属供出で取りはずされていたから、スチーム暖房が使えなかった。勿論燃料も無かったろう)えらく寒い。先生も学生も、教室で長く分厚い外套を着ていた。
 そんなある日、講義でいきなり先生が「日本でもそのうち冬にビールが飲めるようになる」と半ば絶叫した。びっくりした。こんなに寒いのに、ビールだなんて。
 大体、ビールなどという高級な飲み物は飲んだことが無かった。夏の大人の飲み物、と思っていた。先生はこう続けた。「日本の家屋はバラックで冬は寒い。だからコタツで体だけを温める。しかし、生産力が上がれば、家をもっと保温性の高いものにして、部屋ごと暖めるようになる。日本の冬は乾燥しているから、暖かい部屋で飲むビールが一番うまいのだ。冬はビールに限る。」と。
 「部屋ごと暖めるなんて」と福島育ちの私には信じられなかった。コタツに足を入れて寝ていたから、掛け布団に雪が積もっても暖かく寝られた。大人は熱燗を飲んでいた。冷たいビールを飲むなんて、風邪を引きたい馬鹿のすることだろうと思った。
 今夜は今まで、仲間と忘年会をしていた。最初は中ジョッキの生ビールで乾杯。誰も不思議に思わない。しかし、私はあの先生の絶叫をまた聞いたような気がした。
 「降る雪や 戦後は遠くなりにけり」
 
 
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