某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

特定秘密保護法案―未遂は罰するー

2013-10-30 16:02:21 | ぼやき
 近頃色々なことがおかしくなっている。中でも、成立を急いでいる特定秘密保護法案と言うのはひどすぎる。自民党のボス連の中にも、安部さんの趣味であんな法律を作るより先にやることが山積しているではないか、と批判する人が何人もいる。しかし、急ピッチで成立させたいらしい。そうでないと日本から秘密が漏れる危険があるのでアメリカが情報をくれない、と言うのが理由。日本では情報開示もろくにせず、出したものも真っ黒で殆ど情報価値がないのに、何を言うか、と思う。
 最近は「首相の日程を細かく新聞に出すのもだめ」と女性の大臣が言いだした。特定秘密にしたいらしい。「殿のご乱行は隠す」と言うことか。秘密法と言うのは「何が秘密かは秘密」というものだから(何が秘密かを公表したら秘密ではなくなるから)、調べようとすると「それは秘密」となりやすい。核持ち込み密約から原発問題での情報隠しまで、日本政府は世界に冠たる「なんでも秘密」の国だから、此の上「特定秘密保護法」などが出来たら、何か知ろうとするとすぐ法律の壁にぶち当たる。日米関係の秘密は、大体がアメリカの情報開示で明らかにされるが、文書がアメリカで公開されても日本政府は認めないことが多い。答弁する方も辛いだろうな。嘘ばかり並べ立てるのだから。
 この秘密保護法案には当然だが罰則がある。それに続いて、必ず「前項の罪の未遂は罰する」とある。つまり、特定秘密を「知ろう」としたら、何もわからなくても10年とか5年の刑、というわけだ。だけど秘密かどうかはわからないのだ。極端な話、友人と雑談していて仕事の中身に触れたら、実は其れが秘密指定であって、言った方も聞いた方も検挙、てなことになる。秘密指定の業務にかかわっている会社やその社員には尾行がついたりする。飲み屋で聞き耳を立てる。翌日二人は検挙。びっくりするだろうな。
 知りたがりは、この前の戦時中ならスパイ扱いされ、非国民とさげすまれた。もうあの頃の記憶は消えているから、日本人はまた同じことを繰り返すのだろう。見ざる・聞かざる・言わざる。バスに乗り遅れるなと、我先に尻尾を振るのだろう。原発事故からまだろくにたたぬのに、もう原発輸出を喜び、再稼働に賛成する人たちがごまんと増えている健忘症国民だから仕方がないか。
 
 
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上院廃止 NO! アイルランドの国民投票

2013-10-08 03:33:16 | ぼやき
 上院廃止の可否を問うアイルランドの国民投票で、廃止反対51.73% 廃止賛成48.27%と言う僅差で政府提案は否決された。事前の世論調査とは逆の結果になった。日本なら早速首相辞任だろうが、あの国ではどうだろう。多分居直るだろう。今まで、国民投票で負けた首相が辞任した例はないから。
 廃止論がかなり優勢だと思われていたが、何故否決されたか。新聞は例によって、いかにもわかっていたかのように様々な理由をあげている。第一に行政府の権限独占の危険。上院がなくなると、行政府をチェックする議会の機能がなくなってしまう、という恐れを評論家たちが最初から訴えていたこと。国民もその危険を感じたのだろうと言う。第二に市民団体が著名人を呼んで反対意見を繰り返し市民に訴えたこと。賛成派はその活動に立ち遅れたこと。第三に反政府感情が強くあった事。首相ケニイはテレビ討論にも出なかったりして評判が悪くなった。もっとも、既成勢力への反対は常にあるのだが。第四に上院廃止により2千万ユーロが節約されると言う点についても、其の額自体が疑われて実際は8百万~1千万ユーロ位のものと言われ、またいかにアイルランドが小国だとはいえ、上院廃止という大事に比べて額が小さすぎる、ということから、財政再建にもならないとして、廃止に踏み切れない人も多数いたこと。そのほか、廃止か否かの二者択一ではなく、上院改革と言う選択肢もあれば投票の結果は違ったであろう、と言う意見もあった。
 これでアイルランドの議会制度はどのように改革されるのだろうか。

 日本でも大騒ぎの末国民投票法は成立している。あれを使うことを想定して今回のアイルランドを見ると何かが見えてくる。
 あの国は良く国民投票をし、政府が勝ったり負けたりしている。しかし、EU関係の条約などだと、事実上同じ法案を日をおいて再度国民投票にかける。「賛成になるまで何度でも国民投票をする」と豪語する政府高官さえいる。また、国民投票成立の要件として、有権者の何割が投票する必要があるか、という規定がない。だから、今回は39.17%という低い投票率でも成立しているし、全有権者の20 %の反対で、否決されている。有権者5人に1人の反対で、国民投票をするほどの大事が決められてしまう。棄権も政治的意思表明の手段だとはいうが、5分の1の人間に国の大事を決められてはちょっと(大変)困る。しかし、日本にも国民投票成立の要件は規定されていないから、棄権が多ければ10人に1人の賛成でも憲法改正案が通ると言うことさえ起こりうる。一事不再理などと言う規定はないから、やはり何度でも投票が出来る。どうすればいいのだろう。

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上院は不要かーアイルランドの国民投票―

2013-10-04 18:05:00 | ぼやき
 今日(10月4日)、アイルランドでは上院(日本でいえば参議院)を廃止するか否か、という国民投票をやっている。昔から「国会は下院(衆議院)だけでよい、上院は無駄だ。何の役にもたっていない」と言う声があった。前回の総選挙では、主要政党がみな上院廃止を公約に掲げていた。勿論今は賛成反対入り乱れて活発な論戦が繰り広げられてきていた。廃止賛成派がかなり多いらしい。
 廃止と言うのを、アイリッシュ・タイムズは'scrap'スクラップと表現している。まるでゴミを捨てるようだ。勿論abolishと言う単語も使ってはいるが。最初スクラップと書かれているのを見た時はギョッとした。いくらなんでも上院をまるでごみ扱いして、捨ててしまうとは。新聞は廃止に賛成なのだ、とすぐ分かった。
 廃止の理由は、上院がこれまでの議会史75年間に殆ど何の政治的役割も果たさず、金ばかりかかっている、と言うことらしい。廃止すれば2000万ユーロ(26億4千万円)節約できると廃止賛成側は言い、反対者達は、それは嘘だ、数字が大げさすぎるという。日本の参議院やアメリカの上院と違い、アイルランドでは上院議員選挙の有権者は15万人しかおらず、選ばれる議員はエリート特に大学の教員や卒業生が多い。つまりあまり民主主義的ではないと言われている。また、下院議員選挙の落選候補などを首相が上院議員に任命できる(11名)。「下院落選議員の倉庫」とも言われている。それならそうした制度を変えたらよさそうなものだが、下院と同じく国民の18歳以上全員が有権者になるのでは、下院と同じになって、上院の存在理由がなくなってしまうのだろう。
 廃止を主張する与党側は、ウインブルドン・テニスの勝者ボルグがマッケンロー(アイルランド系アメリカ人)に勝った姿(1980年)を廃止のシンボルに掲げた。1970年に上院を廃止したスエーデンに続け、と言うことらしい。ボルグ側の許可をとらずに使ったため、一日で消えたそうだが、マッケンローに勝った姿を使うのは少々無神経だ。そんな感想を持つのは日本人だけかもしれない。かれらはもっと神経が太い。無神経と言うべきか。また、大型犬グレイト・デーンとマオリの踊り手も廃止のシンボルに使った。デンマークが1953年に、ニュージーランドが1951年にそれぞれ上院を廃止したので、先輩に習え、と言うことだそうだ。
 日本でも参議院廃止論がかなりあった。今は「ねじれ」ではないから話題にならなくなったが、邪魔になればまた出てくるだろう。アイルランドの今回の「憲法改正」を世界の傾向などと言って利用する日が来るかもしれない。そういえば、今の日本国憲法のアメリカ側の案では、一院制だった。日本が粘りにねばって二院制にした。勿論貴族院を残したかったからだろうが、貴族制度がなくなったため衆議院と殆ど同じものになった。代議士を二回選べるから、一党独裁を防ぐには大変有効だが、同じもので無駄だ、政治を停滞させる、などとそのうち廃止論がまた頭をもたげてくるだろう。
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