某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

老残のこと伝わらず業平忌―能村登四郎

2009-12-06 13:25:24 | ぼやき
 昔、大岡信が朝日の「折々のうた」にこの歌をとりあげていた。今頃思い出して、なるほどと思った。美人には老いさらばえた姿になる話があるが、美男にはない。小野小町は老いて卒塔婆小町になるが、光源氏がよぼよぼのジジイになって鼻水をすすっていた、なんて後日談はない。
 一人の金持ちには、彼を恨む五百人の貧乏人がいる、とアダム・スミスは書いた。同じように、一人の美人には沢山のもてぬブ男と醜女の恨みが集中しているのだろう。だから「年取ったら無残になれ、ざまあみろ」という話が出来て、もてはやされる。卒塔婆小町はその典型だ。しかし、恨みは女性のほうが強いから、同性にきびしい。美男子はそんなにやっつけられない。
 先日、酒の席で「美人は何歳までか」と言う問題が出された。美人薄命というから若いはずだ。多分18歳くらいまでだと言うことになった。ではそれより年上の美形は美人ではないのか、となって、それは「佳人」だときまった。美人より佳人の方が少し年嵩だが教養がありそうで背筋が延びてしゃっきりしていそうだ。東海散士『佳人之奇遇』を思い出して、私は大きくうなずいた。
コメント
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