某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

高倉健と「ほたる」

2014-11-20 22:19:45 | 心に残る経験
 鹿児島の知覧特攻平和会館を見学した事がある。入口に大きな石の碑があって、「ほたる」と大書してあった。高倉健とも彫りこんであった。何のことかわからず、気にしながら入場した。
 室内の壁には特攻攻撃で戦死した方々の写真がびっしり飾られてある。中には17 歳などという少年もいる。粛然として見入っていると「上野さん、上野さん」と後ろで呼ぶ声が聞こえた。びっくりして「ここでも知り合いに会うか」と振り向くと、車椅子の老婦人と付き添いの若い女性(全然知らない人たち)が写真に向かってまた「上野さん」とよんだ。手の先には「上野少尉 21歳 鹿児島県」と記された写真が飾ってあった。不思議な御縁。上野少尉が私を呼んだのだろう。思わず手を合わせた。
 これでは入口の「ほたる」もどういう意味か確かめねば、と館員らしい人に聞いた。高倉健主演の映画で知覧の元特攻隊士を描いた映画と教えられた。
 近所の人々と、毎月1回ビデオを見る会をやっている。始めはアイルランド映画を見て、その歴史的or社会的背景を説明していたが、10年も続いているのでアイルランド映画が種切れになり、何でも見るようになっている。良い映画を知った、と「ほたる」を借りてきて観た。皆の感想は色々だったが、私は高倉健主演の映画というのをあまり見た事がなかったから感心した。正直に言うと、やくざ映画の俳優とばかり思っていたからちょっと驚いた。「何故高倉健が韓国におもねるような特攻映画に出るか」などという的外れな批判もインターネットで読んだ。「目あき千人めくら千人」というから仕方がないが、高倉健も可哀そうに、と思ったのを覚えている。昨日彼の訃報を知って思い出した。ご冥福をお祈りする。
 
コメント
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