前回(→こちら)の続き。
高校野球を見ていると、試合後の校歌斉唱で時折おもしろい歌詞やメロディーに出会うことがある。
我々世代としては「池田模範堂高校 校歌」(→こちら)もはずせないが、大阪人としては、やはり地元からもひとつ取り上げたいところだ。
そう、南波高校の校歌。
南波高校は、水島新司先生の名作『男どアホウ甲子園』の主人公である藤村甲子園が通う学校。
ここに、藤村甲子園を知らないヤングたちに説明すると、『男どアホウ甲子園』とは水島先生お得意の野球漫画で、内容としては、
極道とハーケンクロイツを旗印とする極右学生が戦ったり、ヒロインのあだ名が「美少女」だったり、「剛球仮面」なるマスクマンが甲子園のマウンドにあがったり、主人公がカンニングで東大に合格したり色々あったりしながら、藤村投手が「かたわ」「めくら」「びっこ」のナインを率いて甲子園を目指す。
というもの。
どんな話やねんという勢いだが、昭和のマンガは、まあだいたいが、こんな感じなんです(ホンマかいな)。
で、その南波高校校歌の歌詞。
私が最初に知ったのは『どアホウ』本編ではなく、スピンオフ作品『一球さん』。
藤村甲子園の双子の弟である球二、球三のバッテリーを擁する南波高校は、優勝候補の大本命に数えられながらも、真田一球率いる巨人学園に、なんと九回二死までノーヒットノーランに抑えられるという大苦戦。
そこから藤村兄弟の活躍で、執念の大逆転勝ちを見せるのだが、その熱い展開よりもなによりも、釘付けになるのが試合後の校歌斉唱。
ごちゃごちゃ言うより、聴いてみましょう。
沖のカモメと どアホウものはよ
どこで死ぬやら 果てるやら ダンチョネ
俺が死んだら 三途の川で
鬼を集めて 野球する ダンチョネ
鬼の野球はよ、地獄のサインよ
えん魔さまでも見とおせぬ ダンチョネ
なんというのか、高校野球史上これほど
「どこからどう、ツッコミを入れていいかわからない」
という歌も、めずらしいであろう。
高校の校歌に、まさかのダンチョネ節。ソリッドすぎるセンスである。
しかも歌詞がすばらしい。三途の川で、鬼を集めて野球。
鬼も、まさか亡者に「来たれ、野球部」とか言われても困るであろう。
もし鬼が、見かけによらず、趣味が読書とかの文化系だったらどうするのか。
そもそも「校歌」なのに、野球に特化しすぎである。サッカー部やバスケ部が、インターハイとかで勝ったときは、気まずいのではないか。
甲子園にこれが流れたら、椎名高志さんのマンガに出てきた「悪徳商業高校 校歌」に匹敵する事件であろう。
これはもう、やはりナンバつながりで、ぜひNMB48にカバーしてもらうしかあるまい。
秋元先生、ぜひよろしくお願いします。