先週、ペンタックス645Dのイベントに招待された。上海市洛川路の元工場跡に、センスの良いアトリエなどが並ぶ一角で開催。ネット上で参加募集してきた人が大半だが、異常に若い人が多かったのには驚いた。通常、中判デジタルに関心を持つ人達は金のあるおっさんが多いと思っていたが、どうもこの国では年齢はあまり関係ないような感じだ。
最新のデジタルレンズも含め旧645レンズで撮られた風景の作例も見たが、改めてペンタックスレンズの軟らかい描写力に脱帽。国産レンズの中にあって、昔からペンタックスのレンズ描写は他社とは違って描写が軟らかく、それでいてちゃんと解像しているというとてもバランスの良いレンズが多かった。今回の上海での展示作品も安藤智仁氏が旧645レンズで撮影した写真を見たが、豊富なトーンと解像感はフィルムを思わせる描写力だった。本人に聞くと最終処理のシャープネス処理はやってないとの事。世の中、シャープネス至上主義傾向に向いている今現在、もう一度レンズの描写とは何なのかを考えた方が良いような気がする。11月22日から開催される安藤智仁氏の写真展ギャラリーKINGYO「東京レトロ」にてそのバランスの良い描写を見る事が出来る。
プリントされた写真やネット上の小さな写真を見て、「シャープですねぇ」と言う言葉を良く聞くが、画像がシャープであれば良いのかという疑問がいつも私の中にある。最近よく見るポートレートの写真で、髪の毛やまつ毛が針金のように硬く写った画像を見ると、その時点で写真を見たくなくなる。
レンズテストの数値やグラフや他者の評価に惑わされず、写真を自分の目で見て判断できる人が以外と少ないのは日本だけでなくこちらの国でもかなり多い。それは、日本のカメラ雑誌の中国語版の影響もかなりあるようだ。
写真は、2枚ともライカ ズミター50mm f2 リコーGXR MOUNT A12で撮影