今、パラリンピックの児童の生徒・児童の観戦をめぐって、学校が判断に困っている。それは、何としても観戦をさせたい側と感染を心配して止めさせたい側で、意見が対立しているからである。今日の東京新聞・本音のコラム欄で、前川喜平氏が「東京都教育長の法律違反」として、鋭い指摘をしているので紹介したい。
東京都教育長の法律違反
前川喜平
東京都教育委員会(都教委)で、教育長による法律違反の会議運営が行なわれている。
8月18日の都教委の臨時会で、藤田裕司教育長はパラリンピックへの学校連携観戦を実施する方針を示したが、出席した4人の教育委員は反対の意見をのべたという。
これは「議決を要しない報告事項」なので「実施の決定に影響しない」という報道があったが、都教委として学校連携観戦への都立学校への参加の可否や市町村教委への指導・助言の内容を決めるのだから、これは単なる報告事項ではない。教育委員5人に教育長を加えた6人の合議で意思決定すべき事項であって、教育長が専決で決めてよい事項ではない。
「都教委と教育委員が異例の衝突」という報道もあったが、この表現は間違っている。正しくは「4人の教育委員と教育長との間で意見が分かれたということだ。十分議論した上で、意見が分かれる場合には多数決で議決しなければならない。教育長は教育委員会の会務を総理する(地方教育行政法13条1項)が、議決の際は教育委員と同じ1票を持つにすぎず、可否同数の場合のみ教育長の決するところによる(同法14条4項)。
6人中4人が反対する中で議決を行なわず、学校連携観戦を実施する方針を撤回しなかった藤田教育長の会議運営は、法律違反である。
(現代教育行政研究会代表)
東京都教育長の法律違反
前川喜平
東京都教育委員会(都教委)で、教育長による法律違反の会議運営が行なわれている。
8月18日の都教委の臨時会で、藤田裕司教育長はパラリンピックへの学校連携観戦を実施する方針を示したが、出席した4人の教育委員は反対の意見をのべたという。
これは「議決を要しない報告事項」なので「実施の決定に影響しない」という報道があったが、都教委として学校連携観戦への都立学校への参加の可否や市町村教委への指導・助言の内容を決めるのだから、これは単なる報告事項ではない。教育委員5人に教育長を加えた6人の合議で意思決定すべき事項であって、教育長が専決で決めてよい事項ではない。
「都教委と教育委員が異例の衝突」という報道もあったが、この表現は間違っている。正しくは「4人の教育委員と教育長との間で意見が分かれたということだ。十分議論した上で、意見が分かれる場合には多数決で議決しなければならない。教育長は教育委員会の会務を総理する(地方教育行政法13条1項)が、議決の際は教育委員と同じ1票を持つにすぎず、可否同数の場合のみ教育長の決するところによる(同法14条4項)。
6人中4人が反対する中で議決を行なわず、学校連携観戦を実施する方針を撤回しなかった藤田教育長の会議運営は、法律違反である。
(現代教育行政研究会代表)