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2月23日 パパの帰りを待って

 ひろ君、パパの帰りを待っていました。

07:00のバイタル 心拍:103,血圧:135-95,SPO2:94,呼吸数:32,体温:37.5

血圧はギリギり許容範囲内だったので朝のラコール注入。
量も増えて、ラコール125cc+水125cc=250ccがスムーズに入った。

酸素マスクを外してからSPO2の数値が下がり気味なので、採血をして二酸化炭素が体内に溜まっていないかをチェックすることになった。
その結果、「CO2は溜まっていない正常値。呼吸数で本人がしっかりCO2を出しているのでしょう。酸素を入れすぎると呼吸数が減って逆にCO2が溜まる可能性があるので、このまま様子見しましょう」とのお話。

12:00のバイタル 心拍:112,血圧:148-98,SPO2:96,呼吸数:27,体温:37.1
13:00のバイタル 心拍:118,血圧:140-90,SPO2:96,呼吸数:29
血圧が高い為、ラコールskip。

16:00のバイタル 心拍:90,血圧:164-104,SPO2:96,呼吸数:31,体温:36.8

血圧が高い原因がはっきりしない。自律神経異常? or 脳圧亢進?
2月11日の急変以降、身体を動かすのは危険とのことでMRI検査も出来なかった。
頭の中の状態が分かり易いのが目の中とのことで、眼科のDrが眼底検査をして下さった。
その結果、「視神経乳頭を診ましたが乳頭浮腫は無く、脳圧亢進はしていないでしょう」との診断だった。

 学校の担任の先生が来てくれて、お友達から預かったとお手紙を2通頂いた。
「ごはんいっぱい食べて、元気になって、卒業式にきてね
「病院で勉強と食べる勉強も頑張って!、みんなおうえんしているからね!、大好きだからね
お友達が待っていてくれている。

19:00前 パパが仕事から戻ってきた。「ひろ君、ただいま」とパパ。
その言葉を待っていたのか、突然SPO2の数値が急速に下がり始めた。

前回の急変があってから、次に急変があった時の対応をパパ、ママ、お兄ちゃんの3人で話し合い意識を固めていた。
ひろ君の頭の中の海綿状血管腫は年々増加・増大し、特にこの1年間は出血が頻発し出血後の回復も悪くなっている。Drから、「脳のダメージが大きくなって来ている。病状が急変して、意識の無い状態で人工呼吸器を付けても、意識の回復は期待出来ない。人工呼吸器を付けるとその内、気管切開する必要が出てくる。昇圧剤も、一度使い始めると簡単には止められない。使う量もどんどん増やしていかないといけなくなるでしょう」と言われている。なので、延命の為の処置(気管挿管や昇圧剤)はやらないでおこう。ひろ君に委ねよう!。でも、会いたい人に会えるようにアンビューだけはやってもらおう!、と。

Drがひろ君の呼吸に合わせてアンビューで空気を送り、「弱いですがまだ自発呼吸はあります。あと1~2時間でしょう。会わせたい人には直ぐ連絡して下さい」と言。
一旦はSPO2の値が持ち直し、アンビューを外してひろ君の呼吸にまかせた。
そのうち、胸の上がりが無くなり口だけの呼吸となった。目に涙をいっぱい溜めて、とてもゆっくりな15秒に1回程度の呼吸。私達の期待に応えようと、ひろ君は懸命に生きていた。

その間に、身内や学校の先生方、教会の方々が次々と来て下さり、20名くらいの大勢の方に見守られる中、ひろ君はゆっくりゆっくり自発呼吸をしていた。目を開いて全員を確認し、ポロリと涙も


ママもパパももう少しだけ頑張って欲しかった。でも、限界まで頑張ってくれているひろ君に言えた言葉は「ひろ君、頑張っているね、とってもえらいよ!」だった。

召天する15分程前からSPO2の値、血圧、心拍、全てが急速に低下。そのうち心拍が0の状態となった。もう一度だけとアンビューをDrに依頼。
でも…、戻らなかった。パパが数回心臓マッサージをしてみるも心拍は戻らず。Drに「もう、いいです。ありがとうございました」とパパ。

急変から2h、教会の方々がずっと歌ってくれた「きみは愛されるためにうまれた」の歌に見送られながら、眠るように静かに天国へと召された。
21時07分、Drが亡くなったことを伝えた。

ひろ君は、パパが病院に戻るのを待って、ひろ君の愛した人たちが来てくれるのを待って、目を開いて全員を確認して、そして大好きな歌である「きみは愛されるためにうまれた」を聞きながら天国へと凱旋した。その姿は、うっすらと笑みを浮かべているような綺麗な顔だった。
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