最適化問題に対する超高速&安定計算

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巨大 SDP(H2O)と計算結果 その3

2011年02月23日 11時28分44秒 | Weblog
以下のブロック対角構造を持つ大きな SDP(量子化学の T2Prime 条件が付いた水分子(H2O)の基底状態でのエネルギー計算)に関する記事は過去にも何回か書いているので、例えばこちらなどを参照していただきたい。以前は解くのに大変苦労した大きなサイズの SDP であるが、最近のソルバーと計算機の能力から見ると気軽にベンチマーク問題として使用できるレベルになってきた。

問題名 : H2O.1A1.DZ.pqgt1t2p.dat-s


SDPARAによる、これまでの結果(実行マシンと計算時間等)は以下の通りである。

2006年
○産総研 AIST Super Cluster M64
2,060,237.619s(8CPU) ~ 24 日
2010年
○SDPA クラスタ
49,037.9s(32CPU x 4コア = 128コア) ~ 13.6 時間
○京大 T2K スパコン
27,523.8s(512CPU x 4コア = 2048コア) ~ 7.6 時間
○計算サーバ
809,261.3s(12コア) ~ 224.8時間(9.4日)
○新クラスタ計算機
32,379.1s(32CPU x 6コア = 192コア) ~ 9時間

クラスタ計算機等で SDPARA を用いなくても、メモリ搭載量の大きなサーバ上で SDPA を用いることによって解くことができる。
以下の計算サーバ2(48コア : Magny-Cours)では、遂に 52.7 時間で解くことができた(1サーバでは新記録)。

◯ソフトウェア SDPA 7.3.3 + GotoBLAS2 1.09 + MUMPS 4.9.2(全て ILP64 対応済み)

○計算サーバ1 (2 CPU x 6 コア = 12 コア)
CPU : Intel Xeon X5670(2.93GHz / 12MB L3, 6.4 GT/s QPI) x 2個
メモリ: 128GB (16X8GB/2R/1333MHz/DDR3 RDIMM/CPUx2)
OS : Fedora 14 for x86_64

Make bMat time = 325615.410191, 98.967555
Cholesky bMat = 2224.704378, 0.676177
makedX = 358.400734, 0.108932
makedXdZ = 423.330152, 0.128667
Main Loop = 329012.280619, 100.000000
Total = 329022.309176, 100.003048

329,022.30秒 = 91.4時間(38反復)


○計算サーバ2 (4 CPU x 12 コア = 48 コア)
CPU : AMD Opteron 6174 (2.20GHz / 12MB L3) x 4個
メモリ : 256GB (16 x 16GB / 1066MHz)
OS : Fedora 14 for x86_64

Make bMat time = 188045.009399, 99.007619
Cholesky bMat = 948.128923, 0.499200
makedX = 169.111246, 0.089039
makedXdZ = 303.963261, 0.160040
Main Loop = 189929.837494, 100.000000
Total = 189947.080959, 100.009079

189,947.08秒 = 52.7時間(38反復)
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