マンションの耐震偽装問題などは大ニュースなので大きく報道されるのは当然だが(どう考えてもマンションより一戸建ての方が欠陥が多そうだが)、あまり報道されない大事件というのがある。一つ目は探査機はやぶさがイトカワに着陸成功していたというものである。
ミッション達成度によると、すでに200点に達している。全部成功しないと失敗と言われそうだが、すでに十分目的を果たしているわけである。電気推進エンジンやそれによるスイングバイ、また自立航法によるハヤブサへの接近と着陸である。普通ならば一面トップの記事であり、海外のメディアの方が注目していたりする。
二つ目はハルピンでの化学工場爆破事故である。単なる爆破事故ではなく、これは水源確保の問題である。公害大国日本と言われた日本の60年代でもここまでひどくは無かった。これも大きく報道してもらいたい。
はやぶさ:20日イトカワに着陸 岩石採取はできず
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は23日、人類初の小惑星への着陸、岩石採取を目指していた探査機はやぶさが20日午前6時10分ごろ、地球から約3億キロ離れた小惑星イトカワへ着陸していた、と発表した。小惑星に探査機を着陸させ、離陸させたのは世界初の快挙。しかし、着陸直前にはやぶさが障害物を検知して姿勢が乱れたため、最大の目的だった岩石を採取するための装置は動かなかった。
JAXAは、当初、「高度約10メートルまで降下したが、着陸には至らなかった」と発表していた。しかし、22~23日にはやぶさが記録したデータが地球へ届き、解析した結果、着陸が確認された。
また、秒速約10センチという速度で着陸した衝撃によって、イトカワ表面の砂が舞い上がり、機体内のカプセルに取り込まれた可能性もあるという。
プロジェクトを率いる川口淳一郎・JAXA宇宙科学研究本部教授は「着陸が分かった瞬間、プロジェクトチームは大喜びだった。今後の惑星探査の手本になってくれると思う」と話した。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)11月25日(金)
通巻第1312号
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中国吉林省の猛毒ベンゼン、松花江へ流れだしハルピンを恐怖のどん底へ
流れはアムール川からハバロフスクへ注ぎ込み、ロシアも警戒にはいった
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日本の一部の新聞でもハルピンの市民400万人が恐怖に顔を引きつらせてミネラルウォーターの買い出しに走っている風景を伝えた。市民の一部はすぐさま列車、長距離バス、飛行機を利用して上流地域の安全地帯へ逃げた。
化学工場の爆破事故は11月13日に起きたのだが、北京政府がこれを認めたのは十日後の22日になってからだ。しかも事故の詳しい説明をせず、軍を投入していた。じつは事故直後から汚染を確認していたのだ。松花江の水が悪影響を受ける可能性が高いとして、11月22日から4日間、ハルピン市は水道供給を停止した。
事故直後、現場に近い吉林市の松花江から基準の100倍もあるベンゼンなどを検出ており、この汚染がハルビン市に到達するのは23日、汚染水がなくなるのは25日午後になる見通しだと政府が事後に発表したのだった。
ともかく吉林省の化学工場の爆発は猛毒ベンゼンを松花江へと注ぎ込み、汚染水は川の流れにのって380キロも下流域の大都市・ハルピンへ達した。
おりから札幌の雪祭りとならぶほど有名なハルピンの氷祭りは、中国から数百万の観光客を呼び寄せるシーズンでもある。これでは観光業は壊滅の恐れさえある。
ハルピンでは小学校が11月30日までの閉鎖が決まり、15ある総合病院は緊急体制にはいる。中央政府は水供給の臨時部隊を派遣した。
もとより中国の水不足は深刻なうえ、主要な44の河川は汚染されており、多くの都市では水道水として使えない。急ぎすぎた工業化が公害対策をおざなりにしてきたからで、この被災は人災でもある。