私たちの社会は、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合したSociety5.0(超スマート社会)にすみやかに向かっています。
Society5.0の情報インフラは、巨大なクラウド群と無数のエッジから成ると考えられます。多くの場合、エッジにはセンサやアクチュエータがあり、 これらを制御する超小型高性能コンピュータとネットワークインタフェースが備えられています。クラウドは、物理的に分散された多数のサーバとなりますが、 論理的にはさまざまなサービスの総体として抽象化されることになると考えられます。
エッジ、クラウドのいずれにおいても、大量かつ多様なデータを扱うことになるため従来の情報処理技術の高度化などに加えて、 人工知能(深層学習など)、量子計算、光計算などがキーテクノロジーとなります。現実の諸問題に一定の時間内で回答するリアルタイム技術も、 多様化する社会のニーズに答えるべく高度化する必要があります。その上で、これらを統合し、システムとして高効率・省エネルギーで機能させるための 新しい回路技術、アーキテクチャ技術、ソフトウェア技術が必要となります。
JST CREST「Society5.0を支える革新的コンピューティング技術」は、こうした近未来の超スマート社会を念頭に、従来技術の単純な延長では得られない 新しいコンピューティング技術を研究開発することを目標として、2018年度より展開してまいりました。 具体的には、(1) 情報処理を質的に大転換させる新たなコンピューティング技術の創出、 (2)アルゴリズム、アーキテクチャ等の技術レイヤーを連携・協調させた高効率コンピューティング技術の研究開発を行っています。
今回のシンポジウムでは、本CRESTで採択された8つの研究の成果発表によって私どもの領域の成果をお示しするとともに、 これらを軸とする討論を行うことで、Society5.0の基盤技術がどのようなものになり、実社会にどのように展開されてゆくのか、 その姿と道筋を明らかにしたいと思います。