最適化問題に対する超高速&安定計算

大規模最適化問題、グラフ探索、機械学習やデジタルツインなどの研究のお話が中心

事故から20年

2006年04月30日 04時52分28秒 | Weblog
チェルノブイリ原発事故からちょうど20年が経つこともあって様々な特集が組まれているが、事故が発生した4号機の封鎖や解体の問題もあって過去の事件というわけではないらしい。1985年になるがソ連にゴルバチョフがペレストロイカ(改革)やグラスノスチ(情報公開)を掲げて鮮烈にデビューしてきた。ソ連も少しずつ変わるのではと期待されていたが、事故の発表は遅れてしまい政治局が災害の情報を隠蔽していると非難された(アメリカの偵察衛星の写真公開の方が早かった)。ところが、日経ビジネス 5月1日号の記事でゴルバチョフ本人の主張によると情報の隠蔽ではなくて彼らソ連の最高幹部にも正確な情報が伝わるまでに数日かかったという。しかもこの事故こそが1991年のソ連崩壊の真因であるという。
冷戦崩壊後の様々な公開資料から見るとソ連も実は日本人が思っていたほど危機管理能力も無ければ、情報収集能力も無いのだということがわかる。アメリカも2003年のニューヨーク大停電や昨年のハリケーン被害を見ても意外と危機管理能力が無いことが判明した。ただこれらの国は大きいので危機に対して間合いが取りやすいし、一箇所の失敗を他の場所で取り返すことも出来る。シンガポールなどの国では一度の失敗で国が滅んでしまうだろう。
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緊急時の対応

2006年04月29日 05時36分27秒 | Weblog
先日の山手線に続いて京浜東北線でもトラブル。埼京線も濃霧のため遅延とかで、湘南新宿ラインや宇都宮線も混乱していた。結局約束の時間に30分遅れてしまった。山手線のトラブルも工事ミスだったが、今度も工事ミスの可能性があるが、問題なのは緊急時のJRの対応の仕方である。先日の山手線の事故でも振替輸送等の案内対応にも不手際があった。遅れることよりも正確な情報が入らないことが人々のイライラや不安を増大させる。情報が確定するまでアナウンスしないのだが、ある程度情報が入ったところで逐次乗客に知らせるのか検討の必要があるだろう。専門家も含めて災害や大規模テロ時の対応については心配している人が多い。

京浜東北線で8万人影響 信号システムが一時異常

 28日午前6時25分ごろ、東京都台東区のJR京浜東北線御徒町-上野間で、蒲田発大宮行き普通電車が「停止信号」を受信、緊急停車するトラブルがあった。
 JR東日本によると、枕木を締結する金具がレールに流れるATC(列車自動制御装置)の信号を妨害していたため、電車が相次ぎ停止信号を受信。金具を交換すると、復旧したという。
(共同通信) - 4月28日11時42分更新
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Let's note 10 周年

2006年04月28日 00時04分22秒 | Weblog
基地の移転費用などで3兆円も払うそうだ。以前もイラク派遣などで科学技術予算にしわ寄せが来たが、今回も予算が削られそうな感じだ。ところで先日も書いたように Intel が Pentium 4 のコアを捨てて、P6(Pentium Pro の系統)路線を続けていくという噂が立っている。Pentium M/Core Duo/Core Solo あたりから Conroe に繋がっていくのだろう。Panasonic の Let's note の夏モデルが5月19日ごろに出るらしい。CPU は Core Duo と Solo になっている。Let's note は昔は人気があまり無かったが、今は純国産、軽量、タフ、長時間駆動のノートとしてかなり人気があるようだ。私も 2000 年に Pentium 600MHz (192Mbyte) の Let's note を買って当時としては珍しい方だったが(Pentium III の搭載は早い方だった)、現在は東大で助手をしている T さんはもっと古い本当に初期のモデル(CPU は MMX Pentium か?)を使っていた。以前は注文しても納期は長かったのだが、今は大手量販店の店頭でも買えるようになってきた。個人的にはここまで軽量でなくても良く(2kg以内はOK)、むしろ高速、大容量の方がうれしい。とりあえず W5 モデルの見積もりを頼んでみた。

P.S. 5月2日に飲み会の予定です。関係者の方はよろしく。現役ポリスのゆんゆんも来るそうです。秋葉原のUDXは思ったよりいい所が多いのでこちらにするかもしれません。
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GGF17

2006年04月27日 10時21分24秒 | Weblog
GGF7 に続いて GGF17が日本で5月10日から12日まで開催される。アメリカ、ヨーロッパ、アジアと周って10回に1回ぐらいは日本に開催が来るのだろうか。前回(GGF7)は新宿の京王プラザホテルで行われた。今回は本当は秋葉原のダイビルか UDX あたりが使えれば良かったが、様々な事情から東京国際フォーラム(旧東京都庁)なった。参加費が毎度のことながら大変高い。もちろん研究などを披露する場所であるが、Grid に関する国際的な規格を議論して決める場所でもある。固定メンバーがいるので日本で開催されてもヨーロッパで開催されても参加人数に大きな変化は無いそうだ。
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GridASPの初適用

2006年04月26日 03時55分52秒 | Weblog
GridASP の開発は経済産業省による「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」などの支援を受けて行われていたが、このたび建設業界(鹿島建設)に初めて本格的なグリット環境が実現されることになった。詳しくはこちらのプレスリリースを見ていただくとして、社内の技術計算用コンピュータ資源(計算資源やディスク資源など)を効率的に利用するためのグリット環境の構築が目的になっている。SDPA Online Solver なども GridASP を使ったらどうかという話があるのだが、いずれは GridASP のシステムも考慮することになるだろう。GridASP Toolkit が公開されていてドキュメントも整理されてきている。ただ産総研側の技術的なサポートなしで単独で行うのは少し厳しいかもしれない。
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スパコンと最適化

2006年04月25日 23時43分47秒 | Weblog
アメリカの国防予算は日本円で約50兆円ぐらいと言われているが、追加予算などもあって実際にはもっと多いと言われているし、双子の赤字(財政赤字、貿易赤字)も拡大してさらに状況が危険になっている。以前アメリカでの 国際会議 SC(SuperComputing)に参加したときに、アメリカのいろいろな研究者と話しをしていると一見国防とは関係無い目的にまで国防予算を使って研究が行われているようだった。ただ多くの民生品技術も軍事技術に転用が可能なので関係ないとは言えないが、国防総省が科学技術予算を管理しているという面もあるようだ。そのせいか向こうは比率で言えば民間投資の割合は日本より低いようで、予算が付く分野と付かない分野に相当な差がある。アメリカには Blue Gene を始めとして超高速コンピュータが多く存在しているが、最先端のものは核兵器のシミュレーションなどに使われていて、例えば最適化の基礎研究などには大規模なコンピュータを使用している例はあまり聞くことはない。
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次期CPU(Conroe コンロー)

2006年04月24日 01時33分45秒 | Weblog
インテルが次期CPU(Conroe コンロー)の詳細を3月に開催された IDF 2006 Spring で発表した。Conroe はデスクトップ用の CPU だが、現在 PentiumD 9xx に対して、性能は4割高く、消費電力は4割低いと言われている。Pentium 4 は高クロック、高消費電力路線でやってきたが限界が来てしまったのか、Intel は以前の P6(Pentium Pro, Pentium II, Pentium III)を進化させて同時に実行可能な命令数を増やす(4命令実行)という方法を採用した。普通ならば Pentium 4 を開発する以前にこういった方法を考えそうなものであるが、そこがまた面白いところである。Pentium 4 が発表されたときには、Pentium III はもはやクロックを上げるのが難しく発展の余地が少ないという説明がされていたように思う。
昔は Intel の x86 系よりも Motorola の 68系の方が大型コンピューターの思想を取り入れてアーキテクチュアも理解しやすく、市場でのシェアはともかく 68系の方が技術的には評価が高かった。しかし 68040 あたりで限界が来たのか、それ以降はパソコンの世界では使われていない(Mac は PowerPC に行ってしまった)。Intel も Pentium あたりで発展が危ぶまれたが、P6アーキテクチュア(x86 命令翻訳機付き RISC チップ)で新たな展開を迎えた。ここに来て P6 にまた注目が集まっている。
Pentium M, Core Duo, Conroe 共に P6 系である。Pentium 4 は近い内に消えてしまうのだろうか。
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新学部新学科

2006年04月23日 21時09分33秒 | Weblog
耐震偽装問題などにも関わらず首都圏ではマンションの売り上げが好調らしい。これだけ偽装問題が大事件になっているのだから、今後偽装はやりにくいだろうという変な安心感と戸建て住宅の方が偽装された場合には発覚しにくいので危険ではという思惑もあるようだ。いずれにしろマンションなどの集合住宅は今後も増えていくので、マンションの管理を専門に研究する学科を大学に新設しようという意見もある。それはマンション管理士になるといった技術的なことだけではない。超高層マンションなどでは低層階と最上階で価格に数倍の差があることも珍しくない。一般的には住民の所得格差が大きいほどマンションの運営、管理がやりにくという(いろいろな意味で)。
また最近ではロハス(Lifestyles Of Health And Sustainability)を総合的に(工学系も含めて)研究する学部学科を作ったらという意見も聞くことが多い。アイデアならば誰でも出せるが実際に物にするのは大変だろう。
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先端産業と就職

2006年04月22日 19時20分30秒 | Weblog
某有名私立大学理工学部(当然こちらの大学ではない)のデータだが、学部卒業者の約50%がいわゆるIT関係の企業に就職して、システムエンジニアなどの職業に就いている。この学部は数学、物理、機械、電気、電子、情報、経営工学など様々な学科を持っているが、結局就職先としてはそれぞれの分野ではあまり多くの求人が無いので、多くがIT産業に就職するという状況になっている。例えばロボット産業やバイオ系などは確かに成長産業であって今後も市場の拡大が見込まれるが、だからと言ってそんなに多くの人材がその産業で生活していけるわけではない。様々な統計データを見ると10年後も最も就業人口が多いのは、IT産業でありその他の先端産業の就業人口は少ない。例えばロボット系などは最近どこの理工系大学でも学科などを設けているが、本当にその分野に進めるのは上位の大学のごく一部の人である。その点を割り切る必要がありそうだ。
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秋葉原

2006年04月21日 22時59分36秒 | Weblog
今日は秋葉原のダイビル(産総研)で打ち合わせを行った。すでに知られているように駅前を中心に秋葉原の景観や雰囲気が相当変わりつつあるが、その中で個人的に大きいと思っているのは、普通の人?(特に秋葉原に興味の無い人)を秋葉原に気軽に呼びやすくなったということである。昔から好きな人は好きな町だが、以前ならば秋葉原で打ち合わせとか飲み会をするというのは特別な事情が無ければほとんど有り得ない話である。しかしまだ10店も行っていないが、結構おいしい店が多い。
月刊 アスキーの5月号(以前と比べると本当に薄く、軽くなった)の86ページに1993年からの DOS/V関連ショップのマップが特集の一つとして載っている。92年ぐらいだと海外のPCの個人輸入あるいは秋葉原のショップなどでの購入がさかんになり始めたころであり、当時国産のPC(Intel386,20MHz,5.6Mbyte)を使っていたが、それよりも安い値段で海外のAT互換機(Intel486,33MHz,16Mbyte)が手に入り、しかも日本語 Windows 3.0 がハイレゾ(死語,1024x768)で動作して、みんなで狂喜乱舞した覚えがある。サポート無し、インターネットも無い時代なので何かあっても自力で対処しなければならない。この10数年ぐらいで本当に消えていった店も多い。とても懐かしい名前が並んでいるが、昨年末にぷらっとホームの店舗が閉じられたことは知らなかった。
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部屋と電源とネットワーク2

2006年04月20日 17時07分04秒 | Weblog
今日は新しいクラスタ計算機設置場所について政治的な交渉に行った。部屋は何とかなりそうで、ネットワークも場所によっては光も可であるが、最悪でもメタリックケーブルで Global IP が引けそうだ。問題は電源と空調だが、これは技術的な問題と言うよりは政治的な問題になってきた。大学の管財課との交渉になるので、出来るだけ大物を味方に付けるということで、やはり理工学部長からもお願いしてもらおうと考えている。政治的なことは良くわからないが、とりあえず交渉ができる体制を整えつつある。研究的には死活問題なので何とかしていきたい。
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五重塔2

2006年04月19日 05時04分18秒 | Weblog
前回の続きで、また専門家の方から貴重なご意見を頂いたが、心柱には心柱の役目があるので、無くても耐震性に影響しないというのは違うのではということである。全体で揺れを吸収していくので、小さな地震では心柱の役目はわかりにくいが、歴史的には400ガル以上(震度7)の揺れにも(複数回)遭遇している可能性もあって、その場合にはやはり心柱が最後の拠り所として役目を果たすと指摘されていたが、私もその可能性は十分にあると思う。
つまり中規模までの揺れでは、全体が小さな変形の摩擦エネルギーによって揺れを吸収しているが、大きな揺れの場合には、それだけでは揺れを吸収できないので心柱等が重要な役目を果たすというのが有力な説である。そこまで始めから考えて設計されたということだろう。
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Cell のブレードサーバー

2006年04月18日 22時53分43秒 | Weblog
Cell に関する情報は非常に期待できるのだが、何しろ値段がわからないし安く出てくる保証もないのであまり期待しない方が良いかもしれない。
例えばこちらにも多くの情報が載っているが、
1: Cell 3GHz の Dual プロセッサのブレードサーバーが発売される予定。Cell は SPEも入れると 1CPU で 9 コアなので、1ブレードサーバーで 18 コアになる。数台揃えれば単精度TeraFLOPS 級の性能。20 台ぐらいあれば倍精度 TeraFLOPS 級のスーパーコンピューターになってしまう。このぐらいの方が管理が楽なので、数年以内にこちらに切り替えて既存の x86 系のクラスタを大幅に縮小できれば幸い。
2: Cell では Linux 以外にも μITRONが動作する。
もう古い話だが、開発ツールの情報もある。自分のところで用意するのも良いが、産総研あたりが巨大 Cell クラスタなどを導入してくれないだろうか。
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Online Solver 停止

2006年04月17日 20時46分26秒 | Weblog
SDPA Online Solver が先週の土曜日から月曜日まで止まっていた。原因を調べると電源のファンが寿命からか停止してしまい、非常に内部が高温になって停止したようだ。至急電源やついでにメモリ等も予備の部品と交換して再起動した。しかしもう稼動してから3年以上(製造からは4年以上)が過ぎているので寿命が来ているのかもしれない。2001年から2003年ぐらいに調達したPCやパーツ等は今年度ぐらいが限界でないかと思う。
来年度からはよりシンプルで高機能化して再出発する予定である。計算サーバ用は他の大学等の機関にも協力を求めて増強することになろう。

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耐震偽装

2006年04月16日 22時16分07秒 | Weblog
専門家の方から以下の記事を読んでみたらと勧められた。まだ見てないが、早めに読んでみよう。
月刊現代 今月号(5月号)の p28--46の
魚住昭
追及! 耐震偽装問題
  霞ヶ関の迷走と悪知恵
建築学会の論文集などを見てもわかるが、専門家の間ですら耐震基準については意見が分かれている。よほど勉強して実務を積んだ専門家でないと厳密な判断は難しいと言われている。もし専門家が巧妙に偽装を仕掛けてきたら見抜くのは難しく、最悪の場合では鑑定を頼んでも専門家によって判断が分かれるとなったら(今でもそういった事例が報告されているが)、素人である一般人はどう判断したら良いのだろうか?良く指摘されるが一級建築士の中で構造系が専門の人は少数派である。試験勉強でしか構造計算を勉強したことの無い人も多いようである。
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