最適化問題に対する超高速&安定計算

大規模最適化問題、グラフ探索、機械学習やデジタルツインなどの研究のお話が中心

SDPA と gcc

2006年08月31日 02時31分50秒 | Weblog
SDPA のバージョン1から5では、meschach というあまり知名度の高くない数値計算ライブラリを用いている。この meschach が gcc のバージョン3以降だとソースファイルを変更しないと make できなくなっている。今では SDPA のバージョン5以前を用いる必要性は低いと思うので特に問題はない。SDPA のコード自体は times 関数に関するマクロを少し変更するだけで対応できる。
SDPA-M という SDPA に MATLAB のインターフェイスを付けたソフトウェアがあるが、問題によっては SDPA と結果が異なる場合がある。これは SDPA の問題なのか、SDPA-M 用に変換するときの問題なのか、あるいは比較的古い gcc などを用いたときに起きる現象なのか調査中である。
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Microsoft Windows Compute Cluster Server 2003 日本語版

2006年08月30日 22時22分51秒 | Weblog
Microsoft Windows Compute Cluster Server 2003 日本語版が10月2日に発売されるようだ。昨年のシアトルの SC2005 で結構大々的なキャンペーンをやっていたが約1年経って日本語版が出ることになった。Microsoft などは別として現時点で Windows で HPC を行うメリットは感じられない。企業などの新規ユーザーの獲得が目的と思われるが、市場全体が大きくなってユーザーも増えれば全体としては良い影響も多いだろう。


マイクロソフトがHPC市場に本格参入

 マイクロソフトは8月24日、Windowsと連携するハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ソフトウェア「Microsoft Windows Compute Cluster Server 2003 日本語版」の発売を10月2日から開始すると発表した。これまでLinuxベースでの構築が一般的だったHPC市場にマイクロソフトが参戦することにより、現状でパートナー31社がそれぞれ対応ハードウェア、ソフトウェア、構築サービスの提供を表明しており、市場の活性化が期待される。

 従来のスーパーコンピュータに代わり、科学技術、金融、製薬といった分野の研究開発で利用されて注目を集めているのが、多数のPCサーバを連携させ、低コストで高い演算処理ができるHPCクラスターだ。Linuxベースが多かったこの領域に投入されたのが、Windows Compute Cluster Server 2003(Windows CCS)となる。
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SDPAの精度

2006年08月29日 03時43分25秒 | Weblog
以前のブログにも書いたように SDP においては中心パスに近づけば変数行列の条件数が良くなるので、数値的にも安定する。よって実行時間が増大する可能性があるが短いステップサイズで中心パス付近をゆっくり進めば最終的な精度が上がりそうな感じがする。しかし実際には最適解付近に進むと中心パスから離れてしまう。
やはり探索方向を出すための Shur Complement 行列の各要素計算に誤差が多いのだろう。また Shur Complement 行列のCholesky分解にも原因がありそうだ。具体的に以下の点に対処すれば(大変難しいのだが)、SDPA の精度を上げることが出来るだろう。

1:Numerical Cancelation を防ぎながら Shur Complement 行列の各要素を計算する。特に変数行列 Z の逆行列の計算に注意する。
2:Shur Complement 行列のCholesky分解時に相対的に小さい対角要素に注目して対処する。
3:Iterative Refinement などを用いて線形方程式の解の精度を上げる
4:多倍長計算を用いる。

これでも精度が上がらない場合には HRVW/KSH/M という現在の探索方向自体に限界があるという可能性も考えられる。
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ソフトウェアの進歩

2006年08月28日 23時24分00秒 | Weblog
Linpack でなく実行性能ではいまだに世界最高レベル(世界最高なのかもしれないが)の高速演算を行っている地球シミュレーターだが、ソフトウェア側の技術も相当進歩した。当初は大気・海洋モデルで全地球を10km 単位でメッシュで分割して計算する予定だったが、3.5km メッシュでの計算も可能になっている。これにはソフトウェア側での改良や進歩なども関係していると思われる。
ハードウェア、特にPCクラスタなどは理論計算性能と実行計算性能に大きな差があり、しかも予定していたほど性能が上がらないこともあるのだが、ソフトウェアやアルゴリズムの改良によって予想外の結果が上がることもある。SDPA なども非常に古いバージョン(1 や 2 など)を最新のコンピュータで実行しても遅いし、精度が出ないので最新の成果がコンピュータの高速化だけでないことがわかる。CPLEX なども普通の PC で驚くほど大きな整数計画問題が解けるようになっている。
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高速道路

2006年08月27日 23時07分27秒 | Weblog
いろいろと難しいことはあるのだろうが、日本の高速道路の作り方がおかしいと思っている人は相当多いようだ。場所によっては無理に渋滞させようとしているのではないかと思う。圏央道のあきるのIC と八王子 JCT 間の開通は18年秋ごろと言われていたが、八王子城跡トンネルの工事に手間取ったので開通が遅れる見込みになっている。しかし中央道も上野原-八王子間も6車線化しないと(最低でも上野原-八王子JCT)、圏央道開通時には JCT 付近から小仏トンネルぐらいまで渋滞が激しくなるのではないだろうか。
首都高速も中央環状線新宿線の開通が遅れて全線開通が平成21年度になってしまった。品川線の方はまだ工事が始まったばかりなので、中央環状線(C2)の全線開通はいつになるのか予想も付かない。都心環状線(C1)については様々な案が出ている。C1 の全撤去(可能性は低そうだが)や全地下化(これも費用がかかって無理か)、8の字やバイパス案(5号線の上りの緩和)などが検討されている。都心環状線の浜崎橋JCT から左周りに三宅坂JCT等は東京オリンピックに合わせた突貫工事なので、都心環状線も作り直さなければならない時期が来るだろう。


日本橋の空「復活」へ 首都高は地下移転 有識者会議

 東京・日本橋上空の首都高速道路の移転計画をめぐり、小泉純一郎首相肝いりの有識者会議「日本橋川に空を取り戻す会」(通称・日本橋みち会議)の第3回会合が12日開かれ、地下に移転する案を軸にして具体的な検討を進めることで合意した。建設区間は江戸橋ジャンクションから竹橋ジャンクションに至る約2キロを想定。4000億~5000億円にのぼる事業費の分担が今後の課題となるが、地元企業などにも負担を求めることで、遅くとも10年以内の完成を目指す。
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CEATEC Japan 2006

2006年08月26日 23時09分32秒 | Weblog
基本的に毎年展示の見学に行っているが、CEATEC Japan 2006 が10月3日から7日まで開催される。電子部品・デバイスだけでなく情報家電、ワイヤレスネットワーク、クルマ、放送などの新製品、新技術が展示されている。昔は Windows World なんて言う展示会もあったが、もはや Windows だけで人を呼ぶというのは難しい。それに CEATEC は Windows などのソフトウェアと異なり日本企業が世界のトップを走っている分野が多いので見に行く価値は大きい。
展示会に行くのは好きなのだが、幕張メッセともなると遠いのでそんなに気軽に行けない。東京ビッグサイトならば電車一本で行けるのだが。
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行列の条件数と SDP

2006年08月25日 06時05分30秒 | Weblog
行列演算においては行列の条件数が非常に重要になることが知られている。例えば行列が実対称行列ならば、最大固有値の絶対値を最小固有値の絶対値で割った比になる。実対称半正定値行列ならば、全ての固有値が0以上なので、単純に最大固有値と最小固有値の比になる。条件数の最小値は1であるが(最小固有値が0より大きければ)、1に近いほど数値誤差が少なくアルゴリズムの収束性も良い。
SDP において中心パスに近いほど条件数が良くなるが、実際には最適解に近づくにつれて変数行列 X と Z の条件数が悪化していく。X と Z の条件数が悪化すれば当然 X と Z から計算される行列の条件数も悪化する。ただし反復法なので X と Z の条件数が悪化するというよりも前の反復において正しく X や Z の計算が行われていないと言った方が正しい。特に Z の逆行列をコレスキー分解を用いて計算しているが特にこの部分が危険である。Z の逆行列を多倍長計算を用いて計算すると精度が良くなるという結果がある。個人的には多倍長計算+Iterative Refinement でもっと精度が良くなると思っているが。
IEEE 754-1985 の倍精度計算では有効数字は16桁なので現在の行列の条件数では現在得られている精度で限界ということだろう。多倍長計算と条件数を減らす工夫等が必要になる。
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地上デジタルと番号ポータビリティー制

2006年08月24日 22時38分36秒 | Weblog
シュレッダーにネクタイを巻き込まれて窒息死するという事件が以前あったが、シュレッダーに巻き込まれている紙等を試しに引っ張ってみると普通の体勢で普通の力では引き出すのはまず無理。スイッチを素早く切るしかないので普段からスイッチの位置を頭に叩き込んでおく必要がある。FAX にネクタイを巻き込まれた人もいたらしい(これもストップボタンを押す)。
地上デジタル放送のエリアはどこまで広がったのかと思っていたが、今年中には完了する予定になっている。放送エリアで無いところでも CATV などに加盟するば視聴できる。コピー制御については緩和される方針だが、地上波はほとんど見ないので CS 放送だけでも先行で実施して欲しい。もはやテレビの時代は終わりと言われるが、複雑で不便なコピー制御はさらにテレビ離れを加速することになる。
この秋に携帯電話の番号ポータビリティー製が始まるとあの会社から他の二社へ相当数移動すると言われているが、いろいろな噂を聞いた感じではそれが正解のようだ。
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階層型グリッド

2006年08月23日 22時57分07秒 | Weblog
グリッドによる並列計算は基本的にマスター&ワーカーモデル(クライアント&サーバモデルとも言う)が使用されることが多い。しかしワーカーの台数が数百台以上になってしまうとシステムの効率が悪化してくるので、サブマスターノードを設置するなどして3層からなる階層型グリッドを構築するミドルウェアの開発が行われている。以前作成した Ninf-G と Ninf-1 による二段階のマスター&ワーカーモデルもその一つだったが、対故障性や動的なノード再構成などの面では使いやすいシステムではなかった。最近提案されてきている複数のシステムはアプリケーションを研究している人にとっては大変注目に値する。
新しいシステムでは、Java が使用されていることも多いが、Java 以外の言語で書かれたソフトウェア(C や C++ など)の呼び出しも意識して開発されているのが望ましいと思う。
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ゼロスピンドル VAIO 2

2006年08月22日 10時49分54秒 | Weblog
ゼロスピンドル VAIOは、地上デジタルのワンセグチューナー付きなのでテレビ代わりにも使用しているが、テレビと考えるとパソコンの起動時間はかなり重要である。起動時間を測定してみたが、電源を入れて”ようこそ”の画面が出るまで32秒、ログインして(指紋認証)ワンセグのソフト(VAIO モバイル TV)が起動してテレビが見られるまでにさらに55秒だった。電源を入れてから2分以内でテレビが見られるのは、通常のノートパソコンを使用しているユーザーから見るとかなりの速さである。単にテレビとして見れば遅くてイライラするところだろう。もうこの速さにも慣れてしまったが、CPU、メモリ、ビデオチップは並の速さでもいい。HDD こそがボトルネックなのだと痛感させられた。
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近づきつつある大災害

2006年08月21日 20時38分29秒 | Weblog
ビッグコミックスピリッツに連載されている日本沈没だが、他の映画、TV版、漫画などと比較しても単に現代を舞台にリメイクしたのではなく、新しい理論や技術なども加えて秀逸な別の作品になっている(今のところは。現在公開中の映画とは別の結末にしてい欲しいが)。この感性、柔軟性、先進性が日本の漫画(アニメ)が世界で評価が高い理由の一つであると思う。
また人気の背景には、これから起こる自然災害に対する大きな不安があることは間違いないだろう。1973年に発売された小説は高度経済成長の曲がり角を迎えた日本がこれから没落していくのではないかと言った警告でもあり、本当に日本が沈むと思っていわけではなく日本沈没が一種の隠喩として使われていた。しかし現在は、東海、東南海、南海の三連動巨大地震や超巨大台風の襲来、豪雨や旱魃など自然災害で日本が壊滅するのではないかという不安が増大しつつある。次の東海地震は三連動である可能性が高まって来た以上、単に漫画や映画の世界だけの話ではない。

<ゆっくり地震>今年1月から、三重・志摩半島付近で発生か

 東海地震の想定震源域から約100キロ西の三重県志摩半島付近で、今年1月から、ゆっくり地震が起きている可能性があることが国土地理院の観測で分かった。21日の地震予知連絡会(大竹政和会長)で報告した。
 ゆっくり地震は、陸側のプレート(岩板)と、その下に沈みこむフィリピン海プレートとの間で起きるゆっくりとした滑り。東海地震との関連が注目されている。
 浜名湖周辺で00年からゆっくり地震が起きていたが、05年までに停止した。今回のゆっくり地震はそのすぐ南西隣で起きた可能性があり、陸側プレートが今年1月からの半年間で南東方向に約1センチずれたと見られる。
 国土地理院の熊木洋太・地理地殻活動研究センター長は「今後も観測を続け、東海地震などへの影響を評価したい」と話している。
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ゼロスピンドル VAIO

2006年08月20日 04時18分11秒 | Weblog
結構人気があるらしい VAIO の type U だが、ゼロスピンドルモデルは動作が予想以上に速い。HDD の代わりに 16GB のフラッシュメモリが搭載されている。CPU は Core Solo の 1 から 1.2GHz ぐらいだし、グラフィックのインテル 950 なのでその部分はそんなに速いとは言えないのだが、例えばソフトをインストールするときに CD の中身をメモリスティック DUO にコピーしてからインストールすると今まで経験したことが無いほど速い。また Norton のウイルススキャンも相当速い。やはり通常 HDD が一番のボトルネックになっていることを痛感させられる。
地上デジタルのワンセグ対応になっているが、微弱な電波でも結構安定して受信が出来る。さすがはデジタルでアナログではこうはいかない。
しかしやはりキーボードが非常に使いづらい。同じくらい小さくても W-ZERO3 のキーボードの方がはるかに使いやすい。やはり Bluetooth 対応の小型キーボードが必要なのか?
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瞬間停電

2006年08月19日 22時05分41秒 | Weblog
長期停電後に計算機の電源を入れ直したと思ったら、落雷(おそらく変電施設)によって瞬間停電(10秒以内だったらしいが)が発生してほとんどの計算機が止まってしまった。予算の都合上 UPS を設置してある計算機はほんの一部なので一度停電するとその影響はかなり大きい。UPS が設置してあれば、10秒ぐらいの停電は別に問題ないのだがエアコンも止まってしまうので、結局自動で復旧というわけにはいかない。毎日雷雨が来る可能性もあるので、とりあえず SDPA Online Solver の運用に最小限必要な計算機だけ再起動して終わりにした。今年度中は安定した運用は難しいだろう。
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量子化学 SDP の数値実験の終了

2006年08月18日 03時39分31秒 | Weblog
昨年の秋から約10ヶ月に渡って量子化学分野での SDP(分子の基底状態エネルギーの下界値計算)に対する数値実験が終了した。結果は大変良好で新しく提案した制約条件の効果については概ね予想通りの結果が出たようだ。あとは論文にして発表するだけになった。合計で問題数は200問でそれほど大した数ではないが、ASC などの高速計算機を動員しても10ヶ月かかったことから総計算量は大変大きいことがわかる(実際にはパラメータを変えながら複数回実行した問題も多かった)。
使用計算機は ASC P32(64 から 256 CPU), ASC M64(8 から 16 CPU), Opt クラスタ(16CPU), Core クラスタ(4CPU) である。256CPU の時の理論性能はちょうど 1TFlops に相当する。最も多かったメモリの消費量は 409.6Gbyte で、最も長い実行時間は約 24 日である。
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Fedora Core 6

2006年08月17日 23時21分34秒 | Weblog
Fedora Core 6 のスケジュールが発表されている。予定では10月9日に正式版のリリースが予定されているが、バージョン 6 の正式版が出てくる前に Fedora Core 4 の通常のサポートが終わってしまった(正確には Legacy Project に移行)。幾つかのサーバは Fedora Core 4 で運用しているので今後の対策が必要になる。Fedora Core 6 がどうように変わるのかについては、現時点での最新版である Fedora Core 6 test2 を使用して調べてみようと思う。
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