燐光群創立40周年記念公演 『わが友、第五福竜丸』大千秋楽公演の会場・串本町文化センターは、もともとのホールの形状が、真っ白な反響板がホール完成後に付け加えられたということで、かなり特殊な状況でした。可能な限り隠し、かわして、いつもと同じに近いように舞台を仕込んだことは、お伝えしたとおり。私たちはその特別なやり方を「串本町スペシャル」と言っていました。
最初は、大臣柱の内側をぐるり「コ」の字で囲む反響板が目立って困ると思いました。上部は跳ね上げられましたが、横は東西に折るしかありませんでした。折っても真っ白なので、照明はハレるし、どうしたものかと、ギリギリ「大臣柱にはもともとこういう真っ白な板がついた構造だったのだ」と思える形に、仕上げました。照明も、極力当たらないように絞ってくれました。
さて、横の、大臣内側の反響板を、奥に向けて折ると、当然、その分、舞台横の袖の部分が、客席に近いところが使えなくなります。フェンス前の位置で、袖からの出入りがあり、どうしてもそこは三尺ほどあけなければならず、全体の奥行きを奥側にずらさなければならなくなります。しかしそれだといろいろと田の部分で帳尻が合わず、不都合が出てくるのです。こまりました。
ところが。
横の板にはドアのように、ちょうどドアサイズで外側に折れる形状になっていて、そこを折り、フェンスと高さもほぼ同じ、なんだかおさまりのいいデザインで、三尺くらいの奥行きを稼げることになったのです。奥行きを変えずにすんだのです。
まあ、ドアのように開いた形の所からの出入りも、考えようによっては、なんだか面白い、のです。
そうして「串本町スペシャル」は、ほんとに、楽しい部分もある「スペシャル」に、なりました。
あらためて、この公演のために尽力して下さった皆様に、ほんとうに感謝しています。
燐光群『わが友、第五福竜丸』既に終了した上演情報です。
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https://rinkogun.com/portfolio/20231117_wagatomo_dai5fukuryumaru/